厚生労働省によると、11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」だそうです。
みなさんはご存じでしたか?
私は、12月に入って、たまたま厚生労働省のホームページを見て初めて知りました(苦笑)
これは、
「細菌が薬剤耐性を持ってしまうことを防ぎましょう!」
「そのためには、抗菌薬(抗生剤)を正しく使用しましょう!」
という啓蒙活動のことなんですが、なんだか難しそうでとっつきにくいですよね。
でもこれは、お子さんの病気にも深く関わってくる大事な話なんです。
そこで今回は、「抗菌薬(抗生物質)」と「薬剤耐性菌(やくざいたいせいきん)」について、簡単にお話していきますね。
(薬剤耐性菌を増やさないために)抗菌薬の正しい使い方

まず、「抗菌薬ってどんな薬?」というところからお話ししますね。
抗菌薬(抗生物質)は、細菌が原因の感染症を治すためのお薬です。
例えば、細菌による中耳炎、肺炎、膀胱炎などで使われます。
(当院では、溶連菌感染症でも処方することが多いですね)
一方で、ウイルスが原因の風邪やインフルエンザには効果がありません。
実は、小さなお子さんの感染症の多くは、細菌ではなくウイルスが原因なんです。
そのため、「風邪症状の時に抗菌薬を飲ませたら早く治る」ということはありません。
次に、「薬剤耐性菌」についてです。
細菌も生き物なので、抗菌薬(細菌にとっての“毒”)を繰り返し浴びるうちに、
「この薬を効かなくしてやろう!」
と、薬に強い性質(耐性)を身に着けてしまうことがあります。
そうして抗菌薬に耐性を持ってしまった菌が”薬剤耐性菌”です。
抗菌薬が必要のない場面で使ったり、途中でやめてしまったりすると、耐性のある菌だけが残り、薬が効きにくい菌が増える原因になります。
薬剤耐性菌を増やさないためのポイントとしては、
1.医師が「必要」と判断したときだけ使うこと
2.処方された抗菌薬は、決められた回数・日数を守って飲み切ること
の、この2つです。
服薬途中で体調が良くなっても、自己判断で中止しないようにしましょう。
また、以前もらった薬を別の時に使うのもNGです。
まとめ
抗菌薬は、とても大切で頼りになるお薬です。
でも、使い方を誤ると、いざというときに効きにくくなることがあります。
お子さんの体を守るためにも、そして、未来の医療を守るためにも、「抗菌薬を正しく使うこと」そのものが、最良のおくすりになります。
ご家庭で気になる症状があるときは、むやみに薬を使うのではなく、どうぞお気軽にご相談ください。
