先日、予防接種を受けに来られたお子さんの保護者の方から、こんなご質問がありました。
「ロタワクチンを接種した後、家族に胃腸炎がうつることもあるって聞いたんですけど、どんなことに気を付けたらいいでしょうか?」
詳しくお話を伺うと、お友達のお子さんがロタワクチンを接種した後に、そのご家族が胃腸炎にかかったという話を聞いて、心配になったとのことでした。
たしかに、身近な人にそういったことがあると、不安になりますよね。
そこで今回は、『ロタワクチン接種後に家族に胃腸炎がうつることはあるのか?』ということについて、わかりやすくお話ししていきます。
ロタワクチン接種後に胃腸炎がうつる!?
その答えは、『可能性は低いけれど、うつることはあり得ます』です。
日本ワクチン産業協会が発行している『予防接種に関するQ&A集』によると、ロタワクチンを接種したお子さんの便には、接種後およそ1週間程度、ロタウイルスが排泄されます。
しかし、ロタワクチンで使われているロタウイルスは、ウイルスそのものではなく、弱毒化されているものです。
そのため、感染力は野生株と比べると断然低くなります。
また、腸内で繁殖するわけではないので、排泄される量も少ないです。
しかし、可能性がゼロというわけではありません。
そのため、この排泄されたウイルスによって、周囲の家族がロタウイルスに感染し、胃腸炎を発症する可能性は“低い”とされていますが、まったくないわけではなく、二次感染のリスクはあるということになります。
その、二次感染を防ぐには、「手洗い」がとても重要になってきます。
特にオムツ交換の後は、石けんを使って丁寧に手を洗い、水でしっかり洗い流すことが大切です。
以前にもこのブログでお伝えしましたが、ロタウイルスなどの胃腸炎の原因となるウイルスは、アルコール消毒では効果がありません。
石けんと流水による手洗いが最も有効な対策です。
また、家庭に高齢の方や、免疫力が低下している方がいる場合は、特に手洗いを徹底するようにしましょう。
まとめ
ロタワクチンを接種するのは、だいたい生後2~3か月ごろの赤ちゃんです。
この時期は、赤ちゃんのお世話で毎日が手いっぱいになりがちで、『自分のことはつい後回し…』という声もよく聞きます。
しかし、可能性は低いとはいえ、ロタワクチンを接種した赤ちゃんの便に含まれるウイルスから、周囲に胃腸炎がうつることもあり得ます。
また、育児の疲れから免疫力が落ちて、普段はかからないような病気にかかってしまうこともあります。
だからこそ、自分が体調を崩さないためにも、家族みんなが元気でいるためにも、ロタワクチン接種後は特に、オムツ交換のあとは普段以上に『丁寧な手洗い』を意識していただけたらと思います。