小児科に受診するお母さんから、心配されることのランキング上位に入ってくるのが、
「子どもの食欲がないんです。熱がでてからご飯を食べないんですけど大丈夫ですか?」
という質問です。
自分の事だと、
「少しぐらい食べなくても、まっいっか」
って思いますよね。
特に私の場合、普段、食欲旺盛なので、少しぐらい食欲がなくなって、食べられないくらいがちょうどいいかもって思うんですが、子どものこととなるととても心配になります。
「いつも食欲旺盛なのに、急に食べなくなっちゃった」
「もともと食が細いのに、さらに風邪をひいてごはん食べなくなっちゃったけど、栄養は足りてるかな」
と、不安になりますよね。
でも、風邪の時に食欲がなくなるのには、ちゃんとした理由があるんです。
そこで今回は、風邪の時はどうして食欲がなくなってしまうのか、その理由について。
そして、子どもが風邪の時でも食べやすいレシピをいくつかご紹介していきます。
子どもが風邪でご飯を食べないけど大丈夫?おすすめの食べ物やレシピを紹介
子どもが風邪でご飯を食べないけど大丈夫?理由は?
私たち大人でも、風邪をひくと普段より食欲がなくなりますよね。
子どもも同じなんです。
それは、からだが全力で風邪のウイルスや菌などと戦うため、それ以外のことはお休みして、戦うことに専念させるためなんです。
元気な時は当たり前にしている、ご飯を食べるということも、実は結構なエネルギーを使っているんです。
余談ですが、熱が出ている時にグッタリしたり、元気がないのも同じ理由です。
遊んだりすることでエネルギーを使ってしまい、風邪をやっつける方にエネルギーが使えなくなってしまうので、脳がゆっくり休めと指令を出して休ませているんです。
こういう話を聞くと、人間の体ってよくできているな、おもしろいな~と、つくづく感じます。
また、それ以外にも、子どもが風邪でご飯を食べない理由はいろいろ考えられます。
例えば喉が痛いこと。
大人でも、唾を飲み込むだけでも痛くて、何も食べたくないって時ありますよね。
大きくなってくると、自分で喉が痛いと言える子も増えてきますが、まだ子どもが小さい場合は、喉が痛いということを伝える事ができず、ご飯を食べないことでアピールしているんです。
今年の夏、大流行した手足口病。
当院・しいの木こどもクリニックでも、多い時で1週間に80人以上、手足口病の患者さんが来院した時期もありました。
あの病気も、手足の他に、口の中にも発疹がいくつもできて、喉が痛くて大変なんです。
その他にも、代表的な喉の痛みの病気は、ヘルパンギーナ、溶連菌、アデノウイルスなどなど、喉が痛くなる病気はたくさんあります。
また、気持ちが悪くて食べられない、吐いてしまうなど、胃腸症状がでているときも、なかなかごはんは進みません。
ちょっと違いますが、大人も飲みすぎた翌日、二日酔いだと食欲がなくなったり、前日の夜に焼き肉食べ放題なんて食べてしまった翌日は、何も食べたくないと感じることありますよね。
気持ち悪い中、嘔吐が続いている中で無理に食べさせてしまうと、嘔吐を繰り返し、悪循環になってしまうため、そういった時はむしろ食べない方がいいことだってあるんです。
このように、風邪の時に食欲がなくなったり、ご飯を全然食べなくなったりする理由はいっぱいあるんです。
そのため、風邪のときはご飯を食べなくても大丈夫です。
また元気になれば、今までのように少しずつ食欲は戻ってきてくれます。
ただひとつ注意してもらいたいのは、食事を食べなくていいなら、水分も摂らなくて大丈夫なのかどうかということです。
食事は数日ほとんど食べれなくても問題ありませんが、水分は少しずつこまめに摂っていく必要があります。
その理由は脱水です。
脱水については他の記事で詳しく書いてますので、よろしければそちらを読んでくださいね。
子どもが風邪でご飯を食べない時のおすすめの食べ物やレシピ
「子どもが風邪の時って、何を食べさせたらいいんですか?」
という質問も多く受けます。
ざっくり言ってしまうと、
「子どもが食べられるものを食べられるだけ食べる」
です。
特に胃腸風邪の時は
「何を食べさせたらいいですか?」
という質問が多いですね。
そんな時、当院・しいの木こどもクリニックの院長先生は、おもしろい例を話してくれます。
午前中、胃腸症状で受診した子どもが、診察中お母さんに
「帰りマック(マクドナルド)行こうよ~」
と言っていたそうです。
それに対してお母さんは
「マックはだめだよ」
と断ったそうです。
それに対して院長先生は
「食べたかったら食べてもいいよ。その代わり、もしかしたら油っこいから、お腹痛くなっちゃうかもしれないけど、それでもよかったらいいよ」
と答えたそうです。
後日、あのあとどうしたかを確認すると、帰りにマックへ行って、腹痛が起こるわけでもなく、すべて食べ切ったそうです。
こういう話を聞くと、
「風邪のときにマック!?」
と思ってしまうお母さんも多いと思います。
実際に私もびっくりしました。
風邪といったら、昔から消化のいいものをと言われてきましたから。
でも、よくよく考えてみると、消化の良いものを作って食べないよりも、食べられるものを食べた方がよいのではないかなと思ったりもします。
しかし、消化にもエネルギーを使うため、消化にいいものの方が、胃への負担は少なくてすむのも事実です。
そこで、風邪の時でも食べやすい食べ物は、喉が痛い時はハチミツが有名ですよね。
ただし、1歳未満のお子様は摂取できませんので、気を付けてください。
なぜ1歳未満の子にハチミツを食べさせたらダメなのかは、こちらの記事を参照ください。
風邪といえば、しょうがを使った料理。
特にこれから寒くなる冬にはもってこいです。
しょうがの入った野菜スープや、しょうがたっぷりのうどんもおすすめです。
ただし、熱すぎると胃がびっくりしてしまうので、ほどほどに冷ましてから食べて下さいね。
後は定番中の定番、卵雑炊。
これは、食べやすいうえに栄養もあります。
特に、お粥や雑炊など、とろんとした食べ物は、サラサラの汁気が多い食事や固形物より、のど越しもよく、喉が痛い時にも食べやすいと思います。
あとは、子どもの大好きなゼリーやプリンも、つるんとして食べやすいのでおすすめです。
まとめ
風邪の時に子どもがご飯を食べない、食欲がない理由について。
そして、食べなくても大丈夫なのか。
また、おすすめの食事などについてお話ししました。
おすすめのごはんも食べれず、水分しか飲めない(摂れない)ときは、お茶やお水ではなく、なるべく甘味のある飲み物の方が、カロリーも摂れて、エネルギーに変わるのでいいかもしれませんね。
普段はあまり飲ませないようにしているご家庭も多いかもしれませんが、そういう時は特別です。
ただ、その特別が長く続くと、”ジュースしか飲まなくなっちゃった”ということもあるので、そこの見極めも大切です。
今回の記事で、風邪をひいた子どもが、1日でも早く元気になるためのお手伝いと、お母さん方の不安が少しでも和らいでくれたら幸いです。