先日、SNS(LINEニュース)で、”おむつなし育児”に関する記事を目にしました。
おむつなし育児とは、簡単に言うと、”紙おむつも使いながら、なるべくおむつの外で自然に排泄させる機会をつくる育児”のことを言います。
おむつなし育児をすることによって、おむつの購入量が減り、家計の節約につながったり、おむつかぶれが軽減されたり、また、実際におむつ外しをする時の大変さがなくなったりと、様々なメリットがあります。
そういった、赤ちゃんの排泄サインを見極めて、おむつに頼らず育てるという考え方に、
『なるほど。確かにそうだよね』と感心した反面、
『これ、すごく大変そうだし、現実的には難しいかも…』と感じた部分もありました。
そのため、SNS上でも賛否両論の意見が飛び交っていました。
中には、小児科医の意見も紹介されていて、
「メリットもあればデメリットもある。“こうすべき”というよりは、子ども一人ひとりの様子を見て、その子に合った関わり方をすることが大切」とのこと。
・・・
うん。
まぁそうですよね。
子育てに、『これが正解!』という絶対的な答えはないため、それが正直なところだと思います。
そこで今回は、『当院の院長先生にも聞いてみよう!』ということで、当院の院長先生に、”おむつなし育児”についての考えを伺ってみました。
長年、現場で子どもたちや保護者と関わってきた小児科医としての視点から、少しでも参考になるお話をお届けできればと思います。
おむつなし育児について[当院院長の見解]
■院長先生のコメント■
今回の”おむつなし育児”については、SNSで見かけた小児科の先生が言っていたことに、私も同意します。
最近は、何でも「良いのか・悪いのか」の二択で結論を出そうとする風潮がありますが、子育てにおいては、そんなに簡単に割り切れることばかりではありません。
少し話はそれますが、先日『子どもと電子機器(スマホ・タブレットなど)の関わり方』についての講演を聞きましたが、その内容がとても興味深かったんです。
講演会では、
「特に発達に特性のあるお子さんほど、電子機器の活用が助けになることもある」
と話されていました。
その話を聞いて、もちろん、メリットばかりではなく、使い方のルールを守らせる、時間や場所を管理するなど、大人にも子どもにも負担はあります。
しかし、それをきちんとサポートして、”デメリットを減らす工夫ができれば、得られるメリットの方が大きくなる”と思いました。
スマホを、子どもを放っておくための”道具”として使うのはもちろんよくありません。
しかし、親子で関わるきっかけになるのなら、絵本の代わりにスマホを使っても良いと私は思っています。
「スマホ=ダメ!」ではなく、”どう使うかが大事”なんですよね。
これは、”おむつなし育児”にも通じる話です。
きちんとした知識と指導のもとで取り組めば、十分意味のある方法です。
しかし、家庭環境や親子の性格など、”前提条件が違う中で、表面的な成功例や失敗例だけを見て判断するのは早計”です。
例えば、食物負荷試験もそうです。
『食べさせて治す』だけでは不十分で、”医師の指導のもと、段階的に調整しながら進めることが大切”なんです。
また、おむつなし育児に限らず、子どもも大人も”初めてのことには不安があるのが当たり前”です。
そうした不安を減らしていけるような、”サポートや声かけが何よりも大切”だと思います。
実際、私自身の子どもが、トイレトレーニング中にうまくいかなかった時、つい
「そっか~、できなかったか~」
と声をかけたら、子どもは責められたように感じてしまい、しばらくトイレを嫌がるようになってしまったことがありました。
そのため、“失敗した時の声のかけ方や対応には、本当に気を付けた方がいい”と思います。
『できる・できない』ではなく、”子どもがどう感じたか、どう受け取ったか”に寄り添う姿勢が、どんな育児方法にも共通して大切なポイントだね。
と話してくれました。
まとめ
やっぱり、子育てに関しても『これが正解!』というものはないんですよね。
今回の”おむつなし育児”についての記事を読んでも、
『なるべくおむつの外で自然に排泄する機会をつくる育児のこと』と書かれていて、
『絶対におまるやトイレで排泄させなきゃいけない』というものではなさそうです。
だからこそ、
『できそうな時にはやってみる。難しい時はおむつで過ごす』と、そんな”ゆるやかな取り入れ方”でもいいのかな、というのが私の正直な感想です。
ただ、院長先生も話していたように、もし取り入れてみたいと思ったら、しっかりと情報を調べたり、指導できる人の話を聞いたりして、”正しい知識のもとで始める”というのが安心ですね。
おむつなし育児に限らず、SNSやネットでは、本当にたくさんの育児情報があふれています。
でも、中には、
『それって医学的にはどうなんだろう?』と思うようなものも少なくありません。
だからこそ、”ネットの情報をうのみにせず、信頼できる医師やかかりつけ医に相談してみる”というのも一つの方法です。
誰かと比べすぎず、わが子と自分たちのペースを大切にしながら、納得できる子育てをしていきたいですね。