例年、夏の時期になると、いわゆる”夏かぜ”と呼ばれる病気が流行し始めます。
“夏かぜ”は、正式な病名ではなく、主に以下のようなウイルス性の感染症を指します。
・アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱・いわゆるプール熱)
・ヘルパンギーナ
・手足口病
今回は、この”夏かぜ”と呼ばれる病気について、それぞれどのような特徴があるのかを、簡単にご紹介していきます。
夏かぜってどんな病気?夏に流行る3つ病気!
先ほどもお伝えした通り、『アデノウイルス感染症』『ヘルパンギーナ』『手足口病』など、夏に流行しやすい感染症をまとめて”夏かぜ”と呼ぶことがあります。
ただし、これらはそれぞれ異なる病気です。
そのため、病院で
「夏かぜですね」
と言われたときは、できれば
「どの病気のことですか?」
と、もう少し詳しく聞いてみるといいですね。
それでは、それぞれどのような特徴があるのかを、簡単にご紹介していきます。
■ アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱・プール熱) ■
主な症状は以下の通りです。
・発熱
・のどの痛み(咽頭痛)
・目の充血
名前の通り、アデノウイルスが原因となる感染症です。
アデノウイルスは、さまざまな症状を引き起こすことがあり、胃腸に感染すると下痢を起こすこともあります。
■ ヘルパンギーナ ■
主な症状は以下の通りです。
・高熱(急に38~40℃ほどの熱が出ることが多い)
・のどの奥や口の中にできる小さな口内炎のような発疹
特に乳幼児に多く見られます。
■ 手足口病 ■
主な症状は以下の通りです。
・発熱
・のどの痛み
・手のひら、足の裏、口の中や周りに出る発疹
発疹は、手の甲や指に出ることもあり、体にはあまり出ませんが、お尻に出る場合もあります。
年によって流行するウイルスの型が異なるため、発疹の出方も変わることがあります。
そのため、「去年の手足口病と違うけど、これもそうなの?」と、戸惑われる方もいるかもしれませんね。
また、ヘルパンギーナと手足口病は、原因となるウイルスが似ているため、途中で診断が変わることもあります。
例えば、最初の受診時に
「口内炎があるけど、手足には発疹がないからヘルパンギーナですね」
と言われたのに、翌日に手足に発疹が出て再受診すると
「手足口病ですね」
と診断されることもあります。
口の中の症状も手足の発疹も、同時に出てくれれば一度で診断できるのですが、そううまくはいかないこともあるんです。
※ 治療と注意点 ※
アデノウイルス感染症・ヘルパンギーナ・手足口病のいずれも、特効薬のような治療薬はありません。
発熱や痛みなどの症状に合わせて対症療法を行い、最終的には自分の免疫力で回復を目指す形になります。
ただし、予防接種の予約が入っている場合は注意が必要です。
病気によって、予防接種を延期すべき期間が異なります。
また、病院によって判断が異なることもあるため、予防接種を受ける予定の医療機関に、あらかじめ確認しておきましょう。
さらに、保育園・幼稚園・学校などへの登園・登校についても、病気ごとに『出席停止期間』や『治癒証明書(登園許可証)』の有無が異なります。
こちらも、園や学校に確認しておくと安心ですね。
まとめ
“夏かぜ”とひとことで言っても、実はそれぞれ別の病気です。
治療方法は、どの病気でも基本的に『症状に合わせた薬を使い、体の免疫力で治していく』という点で共通しています。
しかし、登園・登校の出席停止期間や、予防接種を受けるまでに必要な待機期間は、病気によって異なります。
そのため、
「夏かぜですね」
と言われた場合でも、“具体的にどの病気かをきちんと確認することが大切”です。
また、一度診断された後でも、症状が変化したり長引いたりする場合は、”別の病気の可能性”もあります。
そんなときは、迷わずもう一度受診してくださいね。