皆さん、BCGの予防接種を受けた記憶ってありますか?
私が子どもの頃は、まだ小学校・中学校でツベルクリン反応検査をやっており、その時の検査結果が私は陽性だったため、追加での接種はありませんでした。
そんなこともあり、自分のBCG予防接種の記憶は全くありません。
今では、学校でのツベルクリン反応検査は廃止されているため、学校でそんなことをやっていたということを知らない親御さんも多いかと思います。
そうなってくると今は、”BCGの予防接種は、人生で赤ちゃんのときに1回だけ”ということになります。
人生で1回だけの予防接種。
しかも、自分の記憶にない赤ちゃんの時となると、何に気をつければいいのか、わからないことや不安なこともあるかと思います。
そこで今回は、BCGの予防接種を受ける前、そして、受けた後に気をつけることについてお話していきます。
BCG予防接種の接種前に気をつけることって?
BCGの予防接種前に気をつけることですが、ほとんどは他の予防接種を受ける前と同じですが、一つだけ追加で気をつけてもらいたいことがあります。
それは、『前日から左腕にステロイドの塗り薬を塗らないこと』です。
BCGは左腕(腕の外側の肩~肘の間)に接種するのですが、日本では他の予防接種と違って、”はんこ注射”で接種します。
皮膚の表面に薬液を垂らして、そこに『管針(かんしん)』という特殊な針を押し付けて打つことになります。
(日本以外では、他の予防接種と同じ皮内接種ですが、腫れが強かったり、跡が残って目立ったりしてしまうということから、日本でははんこ注射での接種方法となりました)
その接種部位にステロイドの塗り薬を塗ってしまうと、予防接種の効果がしっかりとつかない可能性があるため、当院では、前日から接種後1週間は、左腕にステロイドの塗り薬を塗らないようにとお伝えしています。
前日に塗ってしまうと、予防接種が延期になってしまうので気をつけてくださいね。
ちなみに、ステロイドの入っていない塗り薬(保湿剤など)に関しては特に制限はありませんので、いつも通り塗ってもらって大丈夫です。
また、お子さんの使っている塗り薬に、ステロイドが入っているかどうかわからない場合は、事前に問い合わせて確認してください。
あと、『接種日の前日~接種後1週間は塗らない』というのは、当院での決まりのため、病院によってはその期間が違う場合もありますので、その病院の指示に従ってくださいね。
BCG予防接種の接種後に気をつけることって?
BCGの予防接種後に気をつけることですが、1週間程度は接種部位(注射を打った部分)の反応を注意してみていてください。
もし、接種した日や翌日など、早いうち(遅くても7日以内)に赤く腫れ上がった場合は、すぐに注射を受けた病院へ連絡して受診してください。
というのは、通常だとBCGの接種部位は、大体10日ぐらいしてから赤いポツポツができて、1・2ヶ月後くらいに最も反応が強くなります。
しかし、早期に赤みなどの反応が見られた場合は、『コッホ現象』という、お子さんが結核に感染している可能性がある反応かもしれません。
そのため、早めにBCGの予防接種を受けた病院(病院で受けていなければ保健所)へ連絡して、医師の診察を受けることが重要になってきます。
『これって、赤みが出てきてるのかな?それとも普通の反応なのかな?』と、判断が難しい場合も、念のため病院を受診しておいたほうが親御さんも安心できると思いますので、心配な場合は受診してくださいね。
また、接種後10日後くらいの赤いポツポツの出方や、その後の経過には個人差があります。
以前、
「ママ友から、『うちの子はこんなに赤くならなかったよ。病院へ行ったほうがいいんじゃない?』って言われて心配になっちゃって…」
と、不安そうに受診された親御さんがいました。
その子は、元々皮膚が弱く、常にスキンケアを必要とするようなお子さんだったので、先生が診察して、
「この子の皮膚ならこれくらいの反応になるよ。うん、大丈夫だよ」
と話されていました。
その後、その親御さんは安心して帰られました。
このように、反応・経過には個人差があります。
そのため、普段の皮膚の様子を知っている医師、かかりつけ医をもつこと。
そして、そこで予防接種を打つことって改めて重要だと思います。
まとめ
BCGの予防接種は1回きり。
また、他の予防接種とは違い”はんこ注射”ということから気をつけなければいけないこともあるため、今回この記事を書くことにしました。
今回はBCGの予防接種について書きましたが、予防接種の種類は様々あります。
子どもの病気や発達(成長)についてはもちろんですが、予防接種等でも不安なことや疑問があれば、受診の際に気軽に聞いてください。