記事タイトルを見て
「1歳児に噛みつきが多い?えっ?子どもって噛むの?」
そう思われた方もいるんじゃないでしょうか。
また、保育園や幼稚園で『お友達に噛まれた』、『お友達を噛んでしまった』、そういう経験をお持ちの親御さんもいらっしゃると思います。
記事タイトルにある通り、子どもの噛みつきは、1歳児に多く見られます。
しかし、2歳・3歳になってもず~っとお友達を噛みつき続けるというわけではありません。
子どもの噛みつきは一過性・一時的なもので、1歳児に噛みつきが多いのには、ちゃんと理由があるんです。
ということで今回は、なぜ1歳児に噛みつきが多いのか、その理由についてや、子どもがお友達に噛みついた時の正しい叱り方と、噛み傷の処置方法についてお話していきます。
1歳児に噛みつきが多いのはなぜ?正しい叱り方と噛み傷の処置方法
なぜ1歳児は噛みつきが多いの?
なぜ1歳児に噛みつきが多いのかというと、1歳児はまだ自分の思い、気持ちを言葉で伝えることができず、又、うまく表現することができないため、噛んで自分の気持ちを伝えようとするんですね。
私が保育士として働いていた時、3年連続で1歳児の担任を持った経験があり、その時は、毎年この噛みつきに遭遇していました。
噛みつきで一番多かった場面は、おもちゃの取り合いの中で起こる噛みつきでした。
1歳児は、お互いに誰がどのおもちゃを使っているのか、これは今使っていいおもちゃなのかなど、そんなことはまだ全然わからないので、
「このおもちゃであ~そぼ♪」
と思ったものは、なんの悪気もなく持っていく、取るという行動に出ます。
その時、取られた側は
「今そのおもちゃで遊んでたのに!」
という思いから、お友達の腕や足、背中、時には顔をガブリと噛むんです。
保育士として噛まれた側の親御さんに説明する時は、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
また、1歳児の場合、お友達とどう接すればいいのかが分からず、思わず噛んじゃうということもあります。
私が一番ビックリしたのは、朝、お友達に挨拶に行くのかなぁと思って微笑ましく見ていたら、いきなりガブリ( ̄□ ̄;
あれはさすがに衝撃的でしたね。
この場合、子どもはほんとなんの悪気もないんです。
それだけに、親御さんに説明というか理解してもらうのがなかなか難しく、大変だったことを今でも覚えています。
子どもは、2歳・3歳と成長していく中で言葉を覚え、自分の思いを相手に伝えられるようになったり、お友達との関わり方がわかるようになったりしてくると、噛みつく姿は減っていきます。
噛みつきは一過性のもので、ずっと続くものではありません。
『1歳児は言葉が未熟だから噛むという行動で自分の思いを表現している』
そう思い、少し暖かく見守ってあげてください。
噛みついたときの正しい叱り方と噛み傷の処置方法
暖かく見守ってあげてくださいとは言いましたが、噛みつきを放置していいということではありません。
子どもに、”噛みつきはよくないこと”だと、ちゃんと伝えなければいけません。
この、伝え方・叱り方が重要です。
噛みついたときの正しい叱り方としては、ただ単に噛んだから叱るというのではなく、子どもが噛んだ理由を大人が代弁してあげたり、噛んだら痛いという相手の思いを伝えてあげたり、また、噛まずにどうすればよかったのかを伝えることが大切です。
噛んだ後、お友達が泣いているのにニコニコ笑っている子どもに対して
「仕方ないわよね」
と言って、噛んだ子どもを放置するのは絶対ダメです。
良いことと悪いことの区別がつかなくなり、今後、言うことを聞かなくなります。
また反対に、”噛むことはダメなことってちゃんと伝えなきゃ!”という思いが強すぎて、
「ダメでしょ!!ごめんねは!!ちゃんとあやまりなさい!!」
と、子どもに詰め寄りすぎるのもダメです。
悪いことをした”ということに対して、謝らせることは大切です。
しかし、子どもにも必ず噛んだ理由があります。
「○○したかったんだよね」
と、まずは噛んだ子どもの思い、なんで噛んだのかという理由を代弁してあげる。
その上で、お友達は痛い思いをしているということを伝え
「○○って言えばいいんだよ」
と、教えてあげてください。
もちろん、1回言っただけでは子どもはわからないので、何度も何度もその都度、根気よく伝えていってください。
ちなみに私が叱る(叱ってた)時は、お友達を噛んだその子をその場から少し離して、真剣な表情で、いつもより低めの声で言うようにしていました。
子どもが噛みついたときは、ただ単に怒るのではなく、なぜ噛んだのかその理由を代弁し、噛みつかれた側の思いを伝え、どうすればよかったのかを伝えて、しっかりと叱るということが大切です。
と、噛んだ子どもを叱ることについて色々とお話していきましたが、子どもが噛まれた時は、まずは噛まれた子どもを手当することが第一です。
噛み傷の処置方法としては、まずは患部を流水で洗い流します。
冷やすという理由もありますが、細菌を取り除く(洗い流す)という理由もあります。
そして、噛み痕になる前に、氷のうなどでしっかりと冷やします。
また、出血していたり、噛み傷が深く気になる場合は、太陽(日の光)に当てると傷が治りにくくなり、また、痕も残りやすくなるので、ガーゼで覆ったり絆創膏を貼るなどして、なるべく日の光に当たらないようにしてください。
間違った処置方法として、噛まれた部分を揉むというのがあります。
噛み痕を消したいためにゴシゴシと揉んでしまうその気持ちは分かるんですが、その場合、内出血を起こし、症状を悪化させてしまう可能性がありますので、揉むのは絶対にやめてくださいね。
【子どもが怪我や病気の時、クリニック(小児科)はどのタイミングで受診すればいいの?】
まとめ
今はしいの木こどもクリニックという小児科で働いていますが、それまで私は、長年保育士として働いてきました。
子どもの噛みつきについて親御さんにアドバイスさせていただいたり、子どもの発達について勉強したことを、保育士という立場から様々なアドバイスをさせていただいてきました。
そんな私の経験が活かせればという思いから、今回この記事を書くに至りました。
1歳児に噛みつきが多いのは、言葉の未熟さが大きな原因です。
噛んだ・噛まれたというのは、親としてはとてもショックな事だとは思いますが、言葉が未熟だからこそ、大人が言葉でしっかりと伝えていってあげる必要があるんです。
そして、言葉でしっかりと伝えたあとは、子どもをギュッと抱きしめて、愛情をたっぷりと注いであげてくださいね。