お子さんの身体の成長って、親だけでなく、本人も結構気にしますよね。
身体測定のたびに、
「◯cm伸びてた」
「あんまり伸びてなかった…」
「◯kg増えてた」
と、一喜一憂しますよね。
小学校の中学年~高学年ごろになると、身長や体重のことだけでなく、男性・女性としての身体の成長も見られてくるため、ふとした時に『あっ、大人になってきてる』と、びっくりすることもあるのではないでしょうか。
さて、そんな身体の成長ですが、思春期が始まる頃に起こるものですが、他の成長と同じようにもちろん個人差があります。
始まりが早い子もいれば遅い子もいます。
ですが、中にはだいぶ通常より早く思春期の成長が来てしまうことがあり、個人差として放っておくことがいけない場合もあります。
そこで今回は、通常より思春期の変化が早く起こってしまう『思春期早発症』についてお話していきます。
思春期早発症って何?
まず、思春期が早く来てしまう状態のことを、字のとおり『思春期早発』といいます。
その思春期早発といわれる中で、思春期が早く来てしまうだけでなく、他の症状や、今後問題が出てくる可能性があると判断されると『思春期早発症』という診断がつきます。
そもそも、思春期とはどういったものなのかをまずお話しますね。
子どもから大人へ成長するために、心身ともに変化する時期を思春期といいますが、この思春期が始まることで、性ホルモンというホルモンが分泌され、身体が男性らしく・女性らしく変化し、身長もよく伸びていきます。
通常、女の子は9歳半頃、男の子は11歳頃より少しずつ変化が出てきますが、その通常より2~3年以上早く思春期の変化が起こってしまうことを『思春期早発』といいます。
女の子は、まず胸のふくらみから始まって、下の毛が生え、初経が来て、と成長していきます。
男の子は、精巣の大きさが一定の大きさを超えることから始まって、下の毛が生え、ひげが生えたり声変わりしたりと成長していきます。
なので、女の子の場合は8歳くらいまでに、男の子は10歳くらいまでに、胸や精巣の大きさの変化がみられてきた場合は『あれ?通常より早くない?』と、気にしてもらった方がいいですね。
ただ、胸や陰部など、パッと見てすぐ変化のわかる場所ではないため、お子さんと一緒にお風呂に入っている場合や、お風呂上がりに裸でうろつくことがある、という場合以外にはなかなか気づかないかもしれません。
そのため、
「自分の身体に何か変化があったら教えてね」
などと伝えておいて、お子さん本人も気づいたときに親に言いやすい環境にしておくことが必要だと思います。
また、男性らしく・女性らしくといった変化以外にも、思春期は身長がよく伸びる時期でもあります。
この思春期の始まりより早く急激に身長が伸びたという場合も、思春期が早く始まっている可能性があるので、気にしてもらった方がいいですね。
ちなみに、女の子の方が思春期の始まりが早いため、女の子の方が、心の面でも大人びてきたりするのが早いんですよね。
小学校高学年の女子が、同級生の男子を『子どもっぽい』と思ってしまうのも、ここからくるんです。
繰り返しになりますが、子どもの成長に個人差はあるものです。
しかし、思春期の始まりがあまりにも標準より早い場合は、その原因を詳しく調べた方がいい場合もありますので、一度クリニックを受診して、相談してもらった方がいいですね。
成長が早いと良くないの?治療が必要なの?
思春期早発症で問題になることは3つあります。
①低年齢で急速に体が完成(成熟)してしまうため、一時的に身長が伸びた後、小柄のままで身長が止まってしまうことがある。
身長の伸びはじめが早いと、最初は他の子よりも背が高くなりますが、他の子たちが思春期を迎え、身長が伸び始めた頃には伸びが止まってしまうため、どんどんと抜かされてしまいますし、最終的な身長も、平均より低くなってしまう場合があります。
②幼い年齢で胸がふくらむ、毛が生える、月経が発来するなどの症状が出現するために、本人や周囲が戸惑う、心理社会的問題が起きることがある。
他の子たちより先に身体が成長すると、『自分だけ周りと違うのではないか?』『からかわれたりしたらどうしよう』という不安や戸惑いが出てしまいますよね。
心の成長にも個人差があるので、まだ精神的・性格的に幼い子だと、自分の身体のことを『嫌だ・気持ち悪い』と思ってしまうこともあるかもしれません。
③まれに、脳などに思春期を進めてしまう原因になる病変が見つかることがある。
思春期が始まるのは、脳の視床下部・下垂体というところからホルモンが分泌されることで起こります。
ごくまれにですが、脳に腫瘍などがあるせいで、そのホルモンの分泌が早まってしまうことが、思春期早発症の原因になることもあります。
思春期早発症が疑われた場合は、血液検査でホルモンの値をみたり、レントゲンで骨の成熟度をみたり、必要があれば脳に異常がないか、MRIの検査を行ったりします。
ただ、当院ではできない検査もあるので、大きな病院に紹介させてもらって、そこで診断をしてもらうことになります。
その結果や、患者さんの成長度合いなどによって、思春期の進行を遅くする薬を使う治療をしたり、そのまま治療せず、成長を見守ったりと、紹介先の病院からの返事を見ると、いろいろなパターンがありました。
当院からは、年に数人くらい紹介させてもらいますが、だいたいが治療をせず、見守るパターンだったと思います。
時々、薬での治療をする場合もありました。
脳腫瘍など、何か病気が見つかったパターンは、開院から10年以上経ちますが、今のところありませんでした。
まとめ
お子さんの成長って、早くても遅くても、心配になってしまいますよね。
異性だと、そもそもどう成長するのか分からないし、同性だと、自分の子どもの頃の記憶はあっても、それが標準だったのかが分からないので、結局あまり参考にならないし、わからないことだらけですよね。
私も、小児科で長く看護師をやっていますが、
「うちの子の成長ってどうなんでしょう?」
と聞かれても、正直に言うと、すぐにはわかりません。
お医者さん(先生)だったらちゃんと判断できますが、それには情報が必要です。
今までの身長・体重の成長の記録だったり、いつ頃に胸が膨らんできて…や、下の毛が生えてきて…という情報だったり、今現在の身長や体重が、標準と比べてどうなのかなど、いろいろな情報が必要です。
急性の病気ではないので、急いで受診しなければいけないものではないですが、受診しようと思った時に記憶や記録があいまいだと、先生もしっかり判断できないこともあります。
私もそうですが、人間の記憶ってけっこうあやふやですよね。
これは去年の話だったのか、一昨年の話だったのかが分からなくなって、家族と会話が全然かみ合わないことがつい最近もありました。
お子さんの成長で気になることがあったら、もしかしたら今後必要な情報かもしれないので、どこかに記録しておくといいですね。
また、お子さんの成長に関しては、先生からお話したいこともたくさんあり、ご家族も聞きたいことがたくさんある場合が多いので、しっかり時間を取らせていただくために、普段のWebの予約では受診ができません。
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