皆さんの中にも、ご自身やご家族が花粉症でお悩みの方が多いのではないでしょうか。
実は私自身も、3年ほど前からスギ花粉の時期になると鼻水や鼻づまりがひどくなり、「とうとう花粉症デビューだな…」と実感しました。
それまではニュースで花粉の話題を見ても「花粉症の人は大変だなぁ」と他人事のように思っていたのですが、いざ自分がなるとそのつらさに驚きました。
スギ花粉の症状は花粉の季節が過ぎれば落ち着きますが、他の花粉やダニ、ハウスダストにも反応がある方は、一年を通してアレルギーの症状に悩まされることがあります。
ある調査によると、日本人の約4人に1人(26.5%)がスギ花粉症、約23%が通年性アレルギー性鼻炎を持っているそうです。
そんなアレルギー性鼻炎の治療には、原因となる物質(アレルゲン)を避ける方法や、薬で症状を和らげる方法がありますが、もう一つ『アレルゲン免疫療法』という根本的な治療法もあります。
今回はその中でも、飲み薬(内服)で行う『舌下免疫療法』について詳しくご紹介します。
舌下免疫療法ってどんな治療?

舌下免疫療法は、『アレルゲン免疫療法』と呼ばれる治療の一つです。
簡単に言うと、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ体に慣らすことで、症状を和らげたり、体質の改善を目指す治療法です。
くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどの症状を改善する効果があり、完全に症状がなくならなくても、薬の使用量を減らすことができます。
服用方法は、薬を舌の下に1分ほど置いてから飲み込むというもの。
一見簡単そうに思えますが、いくつか注意点があります。
アレルゲンを取り込む治療のため、体が温まると副作用が出やすくなります。
そのため、服用の前後2時間は激しい運動や入浴を避ける必要があります。
生活リズムに慣れるまでは少し大変かもしれませんが、患者さんのお話を聞いていると、寝る前に服用される方が多い印象です。
副作用としては、口の中のかゆみ・腫れ・不快感、唇や喉の違和感、耳のかゆみなど、口まわりの症状がよくみられます。
まれにアナフィラキシーなどの重い副作用が報告されていますが、当院で治療している方では重症例は見られていません。
スギ花粉に対する治療は、花粉が飛んでいない時期にしか開始できません(体が過敏に反応してしまうため)。
一方、ダニやハウスダストに対する治療は一年を通して始めることができます。
治療を始めてから効果を感じるまでの期間は、ダニ・ハウスダストでは数ヶ月、スギ花粉では次のシーズンごろから。
そして、3〜5年ほど継続することで最大の効果が得られるとされています。
根気のいる治療ではありますが、しっかり続けることで治療終了後も症状の軽減が期待できます。
患者さんの中には
「続けるのが大変だったけど、やってよかった」
とお話しされる方も多いです。
ご家族で話し合いながら、無理のないペースで続けることが大切ですね。
まとめ
舌下免疫療法は、アレルギーを根本から改善できる可能性のある治療法です。
私自身も興味があるのですが、毎日の服用や通院の手間を考えると少しハードルを感じる気持ちも分かります。
それでも、実際に
「症状が軽くなった」
「春が楽になった」
とお話しされる患者さんが多く、確かな効果を感じています。
花粉症やアレルギー性鼻炎の治療というと耳鼻科を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、当院(しいの木こどもクリニック)でも舌下免疫療法を行っています。
(担当医は月・火・木・金の午前中に勤務しています)
「薬を減らしたい」
「根本から治したい」
「話だけでも聞いてみたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
