季節の変わり目って、どうしても体調を崩しがちですよね。
当院でも、
「寒暖差のせいで風邪をひいちゃったみたいで…」
と、受診される親御さん(子ども)が多いように思います。
その中で時々、
「咳が出るので、咳止めのテープも処方してもらいたいです」
と言われることがあります。
また親御さんから、
「咳止めのテープを使ってもよくならなくて…」
という話もよく聞きます。
咳が多い時などに処方されるテープの薬は、ざっくり言うと咳止めのテープで間違いではありません。
しかし、咳が出る原因によっては、あまり効果を感じられないこともあります。
そこで今回は、咳止めテープの効果や、どんな原因の場合には効くのか(どんな原因だとあまり効かないのか)ということについてお話していきます。
咳止めのテープの効果(役割)って?
ざっくり、『咳止めのテープ』と理解されている事が多い薬ですが、正確には、『気管支を広げる効果のあるテープ』になります。
そのため、“気管支が狭くなって咳が出ているような場合”によく処方されています。
ここで、咳が出る原因を簡単にお話します。
咳は、体に入ってくるウイルスや細菌などの病原菌を、体の外へ出すために出ています。
またそれ以外にも、痰などの分泌物が多いと、それを出すために咳が出ます。
他にも、気管支が過敏になっている場合にも咳が出ます。
痰などが少なくても、気管支自体が狭くなっていて、そこにひっかかってしまうと咳が出やすくなります。
気管支が狭くなっていると、息をした時に、「ヒューヒュー」とか、「ゼーゼー」といった音が聞こえることもあります。
特に赤ちゃんや子どもの場合は、大人よりも体が小さいため、相対的に気管支も細く、「ゼーゼー」しやすいということがあります。
また、夜~明け方は、人間の身体の生理的に気管支が狭くなるため、咳が出やすくなります。
そのため、夜、寝ている時に咳が出ている場合には、よく『咳止めのテープ』が処方されます。
私自身も、子どもの時に喘息をもっていたのですが、やっぱり夜に咳が増えたり、「ゼーゼー」することが多かったですね。
幸いなことに、大人になってからは喘息が出ることもなくなりました。
しかし、1回だけ喘息がひどく出てしまったことがありました。
その時は、朝方の3時~4時頃に咳が止まらなくなり、とてもじゃないけど寝れなくて、思わず起きてしまいましたね。
頭の中の片隅にある、冷静な部分では、『うわ~、ホントに朝方にひどくなるんだ~』と思っていました。
しかし、頭の中の大部分では、『マジ無理!全然寝れんし!これ死ぬかもしれん!』って思うくらいしんどかったです!
大人の私でこれだけ苦しいと感じたということは、子どもにとっては、もっと苦しいことだと思います。
また、その苦しんでいる子どもの様子を見ている親御さんも辛いかと思います。
あまりしばらく様子を見るということはせず、早めにクリニックを受診することをおすすめします。
咳止めのテープはどんな場合に効くの?
先ほど少しお伝えしましたが、咳止めのテープは、狭くなっている気管支を広げる効果のあるテープです。
そのため、『気管支が狭くなっていることが原因で咳が出ている』という場合によく効きます。
一方、痰が多かったり、痰がねばっこくてひっかかってしまって咳が出る場合には、いくら気管支を広げても、咳が減ったように感じられないこともあります。
また、気管支が過敏になって咳が出る場合は、そもそも気管支の過敏性を抑えなければいけませんので、この場合もあまり効果を感じられません。
『咳止めのテープだから、貼ったら咳がよくなるはず!』と思って使っても、『あれ?前回は良かったのに、今回はあんまりよくならないな』という場合は、咳の出る原因が前回とは違うということになります。
また、子どもに限らずですが、咳が出る原因は1つではなく、複数の原因であることもあります。
そんな時は、咳止めテープ以外に、痰を出しやすくする薬や、気管支の過敏性を抑える薬を一緒に使うことが重要になってきます。
まとめ
先日、
「咳止めテープを使っても咳が止まらないので心配で…」
と話される親御さんがいらっしゃいました。
その親御さんを見て、『”咳止めテープ=どんな咳でも止めるテープ”と思っていると、いつまで経っても良くならず、子どもも親もずっと大変!』と思い、今回お話しさせていただきました。
咳が出る原因によっては、咳止めテープを使ってもよくならない場合があります。
診察し、咳止めテープを処方され、それを使用しても症状が続くという場合は、違う原因が考えられますので、再度クリニックを受診し、医師に相談していただきますようお願いいたします。