今年の秋は、夏の暑さから一変し、寒くなりましたね。
そうかと思えば、気温が30度を超えることもあったりして、暑さや、朝晩の寒暖差によって体調を崩してしまったり、体がバテてしまったりと、なかなか大変ですね。
しかし、そんな人間を尻目に、すこぶる元気な奴らがいますよね。
「ぷぅーーん…ぅーん…」
そう!
蚊です!
寝ようと思って電気を消して、横になった途端出てくることって多くないですか?
私は、あの音がすると一気に眠気がふっとび、退治するまで安心して眠れないので、ほん~~っと嫌なんですよね。
それ以外でも、日中涼しくなってきたからと外で遊んでいると、気づいた時には手足に虫刺されが1箇所、2箇所、3箇所…。
しかも、結構パンパンに腫れていたりすると『うちの子は一体に何に刺されたの!?』って思う時もありますよね。
見た目もですが、かゆくてつらそうにしている我が子を見ているとかわいそうで、なんとかしてあげたいって気持ちになりますよね。
そこで今回は、蚊に刺されると一体なぜ腫れるのか、その原因について。
そして、子どもがかきむしる前にやりたい、蚊に刺されて腫れた時の正しい対処方法についてお話していきます。
蚊に刺されるとなんで腫れるの?子どもがかきむしる前に正しい対処を
蚊に刺されるとなんで腫れるの?
ご存知の方も多いかと思いますが、蚊に刺された時、蚊は人間の血を吸うだけでなく、自分の唾液を流し込んでいきます。
血液を固まりにくくして吸いやすくする役割や、人間に気づかれないように麻酔の役割をしているのですが、この唾液が、あのやっかいなかゆみの原因なんです。
蚊の唾液に対してアレルギー反応がおこる事でかゆみが出たり、腫れてきたりするのですが、子どもは大人よりも様々な刺激に対して敏感なので、大人よりも腫れてしまうんです。
以前、
「子どもが虫に刺されてしまったみたいで、すごく腫れちゃったんですけど、変な虫に刺されていないでしょうか?」
と心配そうに受診されたお母さんがいらっしゃいました。
先生が診察して、
「多分、蚊に刺されたんだろうね」
と言うと
「うそぉ!?これ、蚊ですか!?」
とすごくびっくりされていました。
そのお子さんは、皮膚が荒れやすく敏感な体質だったので、思った以上に腫れてしまったようです。
また、何回も蚊に刺されることで、アレルギーの反応の仕方も変わってくると言われています。
私たち大人が蚊に刺されて、すぐに赤くなったりかゆくなったりするのは、『即時型反応』という、すぐに症状が出て、比較的早く治まることの多いアレルギー反応です。
一方、赤ちゃんや小さい子どもに多いのが、『遅発型(遅延型)反応』というもので、蚊に刺されてから数時間~1日ほど経ってから、赤みやかゆみ、腫れなどの症状が出て、症状が治まるのにも数日~1週間ほどかかると言われています。
そこでよくあるのが、先生に
「蚊に刺されて腫れたんだろうね」
と言われ、
「えっ、いつ刺されたの?今日は外に出かけたりしてないのに」
というお母さんの反応です。
大人からすると ”蚊に刺されて腫れる=ちょっと前(数分~数時間前)に刺された”、という感じですが、赤ちゃんや小さい子どもの場合は、刺されたことによる症状が、翌日になって出てくることもあるので、『一体いつ刺されたんだろう?』と不思議な感じになってしまうんです。
また、まぶたの辺りを刺されてしまったお子さんがいて、目が半分開かないくらいに腫れてしまった、ということもありました。
まぶたの皮膚は厚みがないため、どうしても表面の方に腫れが広がってしまうので腫れがひどく見えてしまうということなので、必要以上に心配する必要はありません。
このように、刺された場所によっては、腫れが目立ってしまうということもあります。
子どもが蚊に刺された時は、子どもは大人より腫れやすいこと、時間差で腫れることもある、などということを知っておくと、実際に子どもが蚊に刺されて腫れたときにも、慌てずに対処できるのではないでしょうか。
腫れた場所を子どもがかきむしる前に正しい対処を
では、蚊に刺されてしまった時には、どう対処すればいいのでしょうか。
当院・しいの木こどもクリニックの院長先生は、よく、腫れや炎症を火事に例えて
「初期消火が大事なんです」
とお話されています。
言い換えると、”蚊に刺されたことに気付いたらすぐに対処することが大切”、ということです。
自宅では、刺された場所を水で洗うなどして清潔にして、かゆみがある場合は、市販のかゆみ止めを塗ったり、濡れタオルやタオルにくるんだ保冷剤などで冷やしてあげましょう。
腫れや赤みがひいてくるようであれば、そのまま様子を見てもらって大丈夫です。
しかし、腫れや赤みがひかない、子どもがひどくかゆがる、かきむしって傷になってしまった、刺された箇所がじゅくじゅくしてきたなどという場合は、かかりつけのクリニックを受診することをおすすめします。
もちろん、それ以外でも心配な時は受診してください。
また、蚊以外の虫に刺された時は対処法が異なる場合もありますので、何に刺されたのか、周囲の状況なども踏まえて確認してください。
虫刺されで受診していただいたとき、当院では、蚊に刺された時の塗り薬として『リンデロンVG』という薬をよく処方しています。
これは、炎症を抑えるためのステロイドと、抗菌作用のある抗生物質が混ざったお薬になります。
腫れや赤みを抑える作用と、傷口から菌が入って化膿しないようにする作用があります。
あとは、かいてしまうと腫れがひどくなったり、跡が残ったり、とびひになってしまうこともあるので、なるべくかかないようにしましょう。
でも、子どもって
「掻いちゃダメ!」
っていくら言っても、なかなか…。
そういう時は、絆創膏やガーゼ、虫刺され用のパッチなどを使って、刺された部分に手がいかない・かけないようにするといいですよ。
ただし、テープなどによってかぶれてこないかは注意して見てくださいね。
かゆみがひどい時は、先程の『リンデロンVG』とは別の、かゆみを抑えるため塗り薬もあるので、受診の時に先生(医師)に相談してみてくださいね。
まとめ
蚊に刺された時のかゆみって、私たち大人でも嫌なものですよね。
それが、まだ小さい子どもの身にも…と思うと、早くなんとかしてあげたいですよね。
さらに、腫れてきてしまったりすると『どうしたらいいの?』と困ってしまうお母さん・お父さんの気持ち、よ~く分かります。
今回の記事を読んでもらい、少しでも蚊にさされた時の心配が減ってもらえればと思います。
わからないこと、心配なことがある時は遠慮なく受診して、先生(医師)に相談してくださいね。