2018年6月、沖縄のはしかの終息宣言が出されました。
愛知県でもはしかの発生の報告が数件あったようですが、大きな流行にならなくて本当によかったです。
ところが先日、当院・しいの木こどもクリニックのある岡崎市で
「はしかのお子さんがいました」
とのお知らせが回ってきました。
幸いなことに、今回は大きな流行にはならずにすみました。
でも、『はしか(麻疹)は怖い病気』ということを、なんとなく知っていても、どんな病気でどんな症状が出るのかは知らないという方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
正直、私(看護師)も『はしか(麻疹)=あまり流行ってない病気』という認識をしてしまっていたので、国家試験の時に勉強したっきりで、2016年の関西国際空港での流行や、沖縄での流行が起こる前はすっかり忘れていました(^^;
そこで今回は、はしか(麻疹)はどんな病気なのか。
その症状や、予防方法・感染対策についてお話していきます。
はしか(麻疹)ってどんな病気?症状や予防方法(感染対策)
はしか(麻疹)ってどんな病気?症状は?
はしか(麻疹)とは、麻しんウイルスの感染によって起こる感染症です。
感染経路は、空気感染(飛沫核感染)の他に、飛沫感染、接触感染もあります。
また、その感染力はとても強く、1人の発症者から12~14人に感染させると言われています。
インフルエンザは2~3人と言われているので、インフルエンザよりも感染力は強いんです!
潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は10~14日と言われています。
症状は、最初は38℃台の発熱や、咳・鼻水・くしゃみなどの風邪のような症状、倦怠感や不機嫌、目の充血や目ヤニなど目の症状が出ることが多いですね。
小さい子だと、下痢や腹痛が出ることもあります。
この、初期の発熱は、だいたい2~4日続くと言われています。
その後、一旦熱は37℃台くらいまで下がり、半日後くらいに、今度は39℃くらいの高熱が出ます。
(熱のグラフをつけると、山が2つあるように見えるので、二峰性の発熱と言われます)
そして、この頃に発疹が出始めます。
最初は、顔や体に出てきて、だんだんと手足にも広がっていきます。
発疹が広がりきると熱は下がっていく傾向で、3~4日で解熱します。
発疹もだんだんと盛り上がった感じになり、色が濃くなり、そして薄くなっていくという順に変化していきます。
また、発疹の出る1~2日前には、頬の内側に白色の斑点(コプリック斑といいます)ができるのも、はしか(麻疹)の大きな特徴になります。
そして、はしか(麻疹)の感染力が一番強い時期が、実は、発疹の出る前の時期なんです。
はしか(麻疹)=発疹の出る病気 というイメージですが、発疹が出る前の、風邪のようにも思える時期から人に感染させてしまうので、そういう意味でも非常に怖い病気なんです。
はしかの症状や予防方法・感染対策
はしか(麻疹)は、先ほどお伝えしたような特徴的な発疹や熱の動き、頬の内側の斑点が出てくるまでは診断が難しい病気になります。
熱が出てすぐだと、風邪と診断される事もあるので、あまり気にせず、お子さんを連れてちょっとした買い物なんかに行ってしまうこともあるのではないでしょうか。
当ブログでも、日頃のうがい・手洗いやマスクの着用の大切さをお伝えしていますが、はしか(麻疹)に関しては、はしか(麻疹)ウイルスがとても小さいウイルスになるので、マスクでは防ぐことができず、そういった日常の予防方法・感染対策が効かないんです。
そのため、出来る対策としては、はしか(麻疹)の流行している場所には行かない、流行期には不要な外出を避ける、といったことしかできないんです。
ということは、住んでいる地域で流行してしまうと、物凄く大変だということがおわかりいただけるかと思います。
また、沖縄での流行の時も
「ワクチンを接種しましょう」
と呼びかけがありましたが、はしか(麻疹)に関しては、予防接種が重要になってきます。
というか、他に有効な予防方法・感染対策がないと言われています。
現在、はしか(麻疹)の予防接種は『麻疹・風疹混合ワクチン』(MRワクチン)として、1歳頃と、5~6歳頃の2回の定期接種になっています。
MRワクチンは、1回目の接種でほとんどの方に免疫(抗体)がつくと言われていますので、お子さんの場合、1歳頃の1回目の予防接種をしっかりと受けていれば、ほとんど問題はありません。
5~6歳頃の2回目の接種は、その免疫を大人になってからも維持するためのものなので、
「まだ1回しか受けてない…。どうしよう…。」
と、過剰に心配しなくても大丈夫です。
しかし、はしか(麻疹)の免疫(抗体)は、早いと10代後半で下がってしまうこともあるので、受けれる時期になったら忘れずに2回目の予防接種も受けてくださいね。
また、病院などの医療機関を受診する際にも気をつけてもらいたい事があります。
それは、発疹や発熱など、『はしか(麻疹)かもしれない』と思う症状がある場合は、医療機関を受診する前に、必ず医療機関に連絡をするということです。
連絡をせず、直接受診してしまうと、他の患者さんと接触してしまい、本当にはしか(麻疹)だった場合、感染を広げてしまう恐れがあります。
あと、付き添いは、お子さんの状態に詳しい方が付き添うようにしてください。
というのは、看護師や医師が、周囲でのはしか(麻疹)の発生状況や、予防接種の有無、症状やお熱の経過などを詳しくお聞きするからです。
問診時、子どもの状態がふわ~っとしかわからないと、正しい処置・対処ができないため、お子さんのためにも、付き添いはお子さんの状態に詳しい方が付き添うようにしてください。
あと、はしか(麻疹)の感染力は強いので、受診の際は、バスや電車などの公共交通機関はなるべく使わないようにしてくださいね。
まとめ
私自身、はしか(麻疹)について、実際にはしか(麻疹)の患者さんをみたことがないというのもあって、正直、よく知らない・忘れてしまっていた事がたくさんありました。
そのため、今回は自分の知識の整頓もかねてこの記事を書くことにしました。
お母さんやお父さんでも、今回のはしか(麻疹)に限らず、『○○という病気について、よく知らないから不安・心配』という方も、結構多いのではないでしょうか。
分からないこと、心配なことは、遠慮なく受診の際に聞いてくださいね。