当院・しいの木こどもクリニックでは、『かかりつけ医』として予防接種・乳児健診・診察の 『トータルケア』を提案させて頂いています。
患者様の中には、
『診察は○○クリニックで』
『予防接種は、いつも行ってるクリニックで打つと、その後、行くのを怖がっちゃうから△△医院で』
と、分けている方もみえると思いますが、それにはデメリットもあるってご存知でしたか?
今回は、トータルケアとして、予防接種と診察を同じクリニックで受けることのメリット、分けたことによるデメリットを、事例を通してお話していきますね。
かかりつけ医で予防接種や診察を行うメリット【事例①】他の病院では打っていいって言われたのに…
先日、予防接種にみえたA君。
接種券の問診部分の「一ヶ月以内に病気にかかりましたか」の欄に『手足口病』と書いてありました。
ご家族に確認すると、先週他院で、手足口病と診断されたとのことです。
予防接種は、打つことによって抗体(免疫)をつけるための物なので、近々で病気にかかっていると、その抗体(免疫)がうまくつかなくなってしまうので、避けたほうがいい場合があります。
A君がかかった『手足口病』は、当院の規定では『発症(熱や発疹が出た日)から3週間空ける』となっています。
このため、先週かかったA君は、今日の予防接種ができません。
ご家族の方に説明すると
「他の病院では、打ってもいいって言われたのに…」
と言われました。
はい、この『いつから予防接種を打っていいか』というのは、一律に決まっているものではなくて、病院(先生)ごとに違ってくるものなんです。
診断された病院で
「打ってもいい」
と言われても、実際に予防接種を打つ病院としては
「痛い思いをして注射をしても、しっかり抗体(免疫)がつかなかったらもったいない」
と、延期させてもらっています。
もし、A君が当院に受診していたらどうだったでしょうか?
先ほどお伝えした通り、手足口病は、発症から3週間空けないと予防接種ができません。
逆に言えば『発症から3週間後であれば予防接種ができる』ということです。
このように、いつから予防接種ができるのかがはっきりしている場合は、事前に予約日の変更をすることができます。
当院で診断されて、当院で予防接種の予約がある方には、こちらから予約日の変更のご連絡をさせて頂いています。
ただし、予約の空き状況を確認してからになるので、少しお時間をいただきますが、必ずお電話させて頂いています。
A君が当院に受診していたら、診断された時点で予約日の変更ができ、今回のように来てもらっても予防接種ができなかった、という事にはならなかったと思われます。
当院の問診板には、『1ヶ月以内に予防接種の予定はありますか?』という質問があります
これは、病気によっては予防接種を延期しないといけないものもあるので、そのために記入してもらっています。
もちろん、当院が休診の時に、他の病院を受診されることもあると思います。
そこで、何か病名を言われて、
「予防接種は打ってもいいよ」
と言われても、A君のように打てない場合もありますので、1ヶ月以内に予防接種の予約がある場合は、事前に当院にお問い合わせして頂くと、間隔を空けなくてはいけない場合は、予約の変更もできますよ。
例として、それぞれ空ける期間は違いますが、突発性発疹、水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹、風疹・麻疹、おたふくかぜ、手足口病、溶連菌、伝染性紅斑(りんご病)、インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス(流行性結膜炎)、ロタウイルス、ヘルパンギーナなどがあります。
また、中には本人はかかっていなくても、家族・クラスメイトにかかった子がいると打てない病気もあります。
例として、水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹、風疹・麻疹、おたふくかぜ、溶連菌、インフルエンザがあります。
このような病気と診断された時は、当院に確認していただくようお願いします。
かかりつけ医で予防接種や診察を行うメリット【事例②】予防接種スケジュールの組み直しが大変!
生後3ヶ月のBちゃん。
発熱と、咳・ゼーゼーがあって受診され、検査の結果、RSウイルスと診断されました。
幸いなことに、ゼーゼーしながらも母乳を飲んだり、夜も寝れているということだったので、お母さんと相談して、大きな病院に紹介・入院をすることなく、自宅で様子を見ていくことになりました。
その時、お母さんから
「来週予防接種の予約があるんですが、どうしたらいいですか?」
と質問がありました。
当院の規定では、RSウイルスにかかった時は『解熱(熱が下がって)から、2週間空ける』となっています。
事例①の手足口病は”発症から”なので、診察の時点で打てる日がはっきりしていますが、今回は”解熱してから”なので、いつお熱が下がるかはまだ分かりませんよね。
こういった場合は、この時点で予約の取り直しをすることができないので、熱が下がってから再度、予防接種・健診の専用ダイヤルにお電話をして頂くことになります。
ちなみに、『熱が下がった』とは、お熱が37.4℃以下の状態が丸1日続いたことを言います。
子どもの場合、37.5℃は熱があると考えます。
午前中に熱が下がったと思っても、夕方からまた上がってきた、なんてこともあるので、1日通してお熱がないことを確認してからお電話してもらうといいですよ。
でも、熱が下がってから2週間後に、前回できなかった予防接種を打って、そうすると、『さらにその次の予防接種はどうしたらいいの?』と、心配になったりしますよね。
当院では『プランニング』という、生後2ヶ月~5ヶ月頃までの、予防接種のスケジュールを組ませてもらうシステムがあります。
Bちゃんも、この『プランニング』でスケジュールを組んでいました。
当院の『プランニング』の良い所は『体調不良で予防接種が延期になった際も、その後のプランをすべて組み直して、1度組ませていただいたプランは、最後まで全てフォローさせていただく』という所だと思います。(自画自賛ですね(^^; )
Bちゃんの場合だと、お熱が下がったことの連絡をしてもらえれば、後はそこからのスケジュールを、スタッフが組み直してお母さんに連絡しますので、またその日に予防接種に来てもらえれば大丈夫です。
こうして、5ヶ月頃までのたくさんある予防接種を打ち忘れることなく、なるべく早期に打っていただけるようサポートさせてもらっています。
病気は待ってはくれません。
ごく一部ですが、重症化してしまう場合もありますし、『早めに予防接種しておけば…』という後悔だけはしたくないですよね。
かかりつけ医で予防接種や診察を行うメリット【事例③】風邪のひき始め?終わりかけ?
予防接種を打ちにきたC君。
問診の『今日、体の具合の悪いところはありますか』の欄に、『咳、鼻水』と書いてありました。
C君のカルテを見ると、ちょうど先週に、咳と鼻水の症状があって受診しています。
お母さんに聞くと、その時から症状が続いているということでした。
先生が診察すると、
「ちょっと喉が赤い感じがするけど…」
と。
おや、今日は予防接種できないのでしょうか?
「でも、先週受診してくれた時よりは全然よくなっているから、今はもう終わりかけの印象だし、予防接種しても問題ないでしょう」
とのことで、C君は無事に予防接種ができました。
(C君的にはうれしくないと思いますが(ーー; )
事例①でもお伝えしましたが、予防接種は打つことによって免疫(抗体)をつけるものです。
病名のつかない、いわゆる『普通の風邪』といわれるものでも、風邪の真っ最中や、ひき始めの時に打ってしまうと、風邪に対して免疫(抗体)が働いているので、せっかく予防接種を打っても、免疫(抗体)が作られにくくなってしまいます。
しかし、風邪の終わりかけであれば、風邪に対する免疫(抗体)の働きは落ち着いているので、予防接種の免疫(抗体)がしっかりつくので、打っても大丈夫なんです。
診察して、『喉が赤い』だけだと、なかなか判断がむずかしいこともありますが、C君の場合は、前回当院を受診してくれていたので、スムーズに判断することができました。
これは、当院をかかりつけ医としてくれていて、診察も予防接種も当院で行ってくれていることのメリットですね。
まとめ
予防接種って、子どもはもちろん、大人でも嫌なものですよね。
当院・しいの木こどもクリニックの院長先生も、注射が大嫌いなので、どうしたら痛みが少なく注射ができるか、たくさん調べたそうです(^^;
そのおかげで、注射が終わった後
「あれ、思ってたより痛くない」
と言ってくれる子もいましたよ。
痛い思いをしたのに、免疫がしっかりとつかなかったらすごくもったいないし、万が一、その病気にかかった時の事を考えると心配ですよね。
当院・しいの木こどもクリニックでは、『予防接種の推進・啓蒙』をクリニックの方針の1つとして挙げています。
(予防接種に関して、当院では『VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう』という活動に参加しています。クリニックのホームページにリンクが貼ってありますので、興味をもたれた方は、ぜひ見てみてくださいね)
かかりつけ医として、ワクチンで防げる病気で苦しむお子さんが一人でも減ることを願っています。