当院・しいの木こどもクリニックでは、『かかりつけ医』として予防接種・乳児健診・診察の『トータルケア』を提案させて頂いています。
でも、トータルケアって言われても、なんだかピンときませんよね。
また、『それって、何がどういいの?』って思いますよね。
そこで今回は、トータルケアの1つである乳児健診、それを、かかりつけ医でうける事のメリットについて、いくつかの事例を通してお話していきます。
かかりつけ医で乳児健診をうけるメリット【事例①】体重増加不良?栄養不足?
当院で10ヶ月健診を受けたAちゃん。
身長や体重を測定して、カウプ指数という、身長と体重から計算して出される赤ちゃんの体型のバランスを見る数字が、14.7でした。
カウプ指数について、当院では
「15~20が平均的なところ」
と説明しているので、今回のAちゃんの数字、14.7というのは平均より少ない、つまりは痩せ型と判断されます。
でも、Aちゃんは当院をかかりつけ医としてくれていて、4ヶ月健診も当院で受けてくれています。
その時の記録を見ると、カウプ指数は14.0でした。
あれ?以前の方がだいぶ痩せていますね。
さらに当院の記録を見ていくと、Aちゃんは体重の経過をみるために、定期的に受診してくれています。
その時のカウプ指数を見ると、14.4だったり14.5だったりと、だいたい14の半ばでした。
体重の経過をみさせてもらうときに色々お話を聞くと、Aちゃんなりに離乳食も進んでいるし、元気に過ごしているようです。
こうやって何回か体重をはかったり、カウプ指数を計算していく中で、『Aちゃんにとってのカウプ指数14.7は普通・正常かも』という判断ができます。
これが、今までに当院で健診や診察を受けていない子だと、『痩せてるね』という判断になっていたかもしれません。
また、当院をかかりつけ医にしてくれていて、診察にも来てくれている子だと、『最近病気で受診してないかな?もしかしたらそのせいで食欲が落ちたりして、今日の体重が少なくなっていないかな?』などということも分かります。
実際に、あまり体重が増えていなかったBちゃんの記録をみると、健診の1週間前に胃腸風邪で受診していて、下痢や食欲低下のせいで体重の増えが悪かった、ということもありました。
ちなみにBちゃんは、胃腸風邪がよくなって、食欲が戻ってからは順調に体重も増えていました。
身長・体重を測定して、カウプ指数を計算するということは、かかりつけ医以外の病院や、自宅でもできますが、それを評価するというのは、今までの経過や記録が分かっている、かかりつけ医の方がしっかりとできるものです。
測定するだけでなく、
「身長の伸びや体重の増えは大丈夫かしら?」
「ちゃんと栄養は足りているの?」
という相談もしたいという場合は、かかりつけ医を受診して相談されることをお勧めします。
当院・しいの木こどもクリニックでも、健診や診察の時に栄養状態・体重の増え方などが気になった子には、診察の予約を取らせてもらって、定期的に経過をみさせてもらうこともあります。
お母さんからお話を聞いたり、アドバイスをしたりして、少しでもお母さんの心配がなくなるようにしていますので、心配な時はご相談くださいね。
かかりつけ医で乳児健診をうけるメリット【事例②】運動機能の発達が遅い?
4ヶ月健診や9・10ヶ月健診では、身長や体重などの計測だけでなく、赤ちゃんの成長・発達についても診ています。
診ていくポイントとしては
●4ヶ月健診
首はすわっているか。
あやすと声をだして笑うか など。
●9・10ヶ月健診
ハイハイ、つかまり立ち、伝い歩きなどの運動機能が順調に発達しているか。
小さい物をつまむなど、指先の発達は進んでいるか。
名前に反応するかなど、耳の聞こえはどうか などがあります。
それぞれの月齢で『平均的な発達の進み具合』というのがありますが、赤ちゃんの発達は個人差が大きいので、平均的なところまで進んでいなくても、今後もその子なりに発達が進んでくれていれば問題はありません。
当院で10ヶ月健診を受けたCくん。
10ヶ月での平均的な運動機能の発達は『伝い歩きをする』という所ですが、Cくんは一人でのお座りはできますが、ハイハイやつかまり立ち、伝い歩きはまだできません。
先生の診察の結果、他の成長や発達には問題がなく、何か大きな病気で運動の発達が遅れているような様子ではありませんでした。
当院ではこのような場合、これから先、Cくんなりに発達が進んでいるかの経過をみるために、次回受診していただく予約を、だいだい2ヵ月後にお取りしています。
一人歩きが1~2歩できるくらいまでは、こういった感じで定期的にフォローしています。
Cくんは、その後も定期的に受診してくれて、途中でお母さんが
「こんなにゆっくりで大丈夫でしょうか?」
と心配されたこともありましたが、今まで診させてもらった経過から
「Cくんのペースなら、こんな感じ大丈夫ですよ」
とお伝えすることができました。
かかりつけ医として、ずっと診てきたからこそ分かったことです。
ちなみにCくんは、その後、ちゃんと歩けるようになりましたよ(^^)
このように、当院ではかかりつけ医の責任として、健診後の定期的なフォローも行っています。
もちろん、健診では特に問題がなくても、後から気になる事が出てくる場合もありますよね。
そういった場合も、受診していただいて診察した結果、定期的にフォローしていくこともあります。
何か気になる事、心配な事があれば、受診の時にご相談ください。
ただし、ご相談の内容によっては、当日Webで予約して受診していただいてもお話を聞くことができない場合もあります。
低身長や肥満、発達の相談(落ち着きがない、癇癪(かんしゃく)がひどい、など)は、しっかりとお時間をとってお話を聞いたり、先生からお話させて頂いたりしたいと思いますので、別途予約が必要になります。
そういった予約は、お電話でも受け付けていますので、受診を希望される場合は、代表ダイヤルへお電話ください。
予防接種・健診の予約ダイヤルではないので、お間違えのないようにしてくださいね。
『これはWebの予約でいいの?電話で予約した方がいいの?』と迷った場合は、一度お電話で確認していただいた方がいいですね。
かかりつけ医で乳児健診をうけるメリット【事例③】赤ちゃんの皮膚トラブル
4ヶ月健診を受けにきたDちゃんは、顔や首周りなどに、乾燥や湿疹がありました。
お母さんにお話を聞くと、今までは市販の保湿剤を塗っていたけど、良くならないので、健診の時に相談しようと思っていたそうです。
皮膚トラブルに関しては、院長先生はよく『マラソンのようなもの』とお話されています。
1回薬を塗って終わり!ということではなくて、スキンケアとして、しばらく続けていくことが大事になりますが、その中で状態が良くなったり悪くなったりすることもあります。
これは、マラソンで言うと、他の選手と抜きつ抜かれつしながら走っているような感じです
ここで焦ってペースを崩してしまうと、完走すら難しくなってしまいますよね。
子ども、特に赤ちゃんのスキンケアも同じです。
時には、一時的に皮膚の状態が悪くなってしまうこともあります。
『ちゃんとやってるのに…』と悲しくなってくる時もあるかもしれません。
でも、お母さんたちが頑張ってケアしてくれていることは、絶対に無駄じゃありません!
どうしても長期戦になってしまうので、1日1日ではあまり変化を感じることが少ないと思いますが、数ヶ月、あるいは1年後には良くなってきている、というお子さんを今までに何人も見てきました。
なので、必要以上に焦ったりしなくても大丈夫ですよ。
ですが、『ちゃんとお薬を塗ったりケアしているのに良くならない』という時は、もしかしたらお薬が合ってないのかもしれません。
残念ながら一目見ただけで、どのお薬を塗るといいのかが100%分かることはあんまりないんです。
なので、
「じゃぁお薬出しておくので塗ってくださいね」
で終わる訳にはいかないんです。
今回のお薬を塗って、どう変わったかを診ていくことが大事で、良くなっていたら、お薬が合っていると考えて、同じ薬を続けてもらう。
変わらない・悪くなっている場合はお薬を変えてみる、と状態に合わせて薬を変えていくことも必要になります。
健診の時だけでスキンケアの大切さをしっかりお伝えするのは、時間の都合上難しい場合が多いので、皮膚トラブルについてのご相談があった時には、お母さんさえよければ、診察時間に改めてお話を聞きに来てもらうことをお願いすることがあります。
(通常ですと、診察時に医師の指定はできないのですが、こちらから受診をお願いした場合は、健診の担当が院長先生なので、院長先生の診察を指定してもらうことが可能です)
なぜスキンケアが必要なのか、お母さんたちに理解してもらったうえで毎日のケアを行ってもらいたい。
かかりつけ医として、納得して治療していただけるよう、お話させてもらうことも大切なことだと思っています。
【赤ちゃんのスキンケアは体の洗い方と保湿剤の塗り方が重要!】
まとめ
以前も当ブログでお伝えしましたが、乳児健診は、赤ちゃんの成長や発達をみるだけではなく、お母さんとお話しして、わからないことや、不安なことを話せる場になるようにと考えています。
中には、お医者さんに対して『なんだか聞きづらい、相談しづらいなぁ』と、思ってしまう方もいるかもしれません。
「せっかく色々聞こうと思ったのに、ぜんぜん聞けなかった・・・」
というのもよく聞きます。
ちょっとひいき目が入っているかもしれませんが、当院・しいの木こどもクリニックの先生は、院長先生をはじめ、非常勤の先生たちも、皆さん人当たりもよくて話しやすい先生だと思いますので、気になったこと・心配なことはどんどん聞いてもらって大丈夫ですよ。
(特に院長先生はお話好きで、お話も上手なので、隣で聞いている私自身も色々と勉強させてもらっています(^^) )
健診だけ、予防接種だけ、診察だけ…と、病院を分けていらっしゃる方もみえますが、それだと、お子さんに関して見落としている情報がそれぞれの病院にあるかもしれません。
そうすることで、もしかするとお子さんに対して『その時に一番いい選択』ができないこともあるかもしれません。
当院は、『常にお子さんのため』の考え方を大切にしています。
そのために重要なのが『トータルケア』だと私達は考えています。
何がお子さんに対して最善なのか、クリニックの立場で出来る限りのことをやっていきたいと思っています。