昨年(2024年)から、日本でも『点鼻タイプのインフルエンザワクチン』が使用できるようになりました。
注射ではなく、鼻にスプレーするタイプのワクチンで、特に欧米では、以前から子どもを中心に広く使われてきたものです。
当院でも、2025年シーズンより、点鼻ワクチンを少量ですが導入します。
そこで皆さんが気になるのが、
■ 注射のワクチンとどう違うの?
■ 効果はどちらが優れているの?
■ 副反応や安全性は?
といった点ではないでしょうか。
そこで今回は、点鼻インフルエンザワクチンのメリット・デメリットについて、わかりやすくご説明していきます。
点鼻のインフルエンザワクチンのメリット・デメリットって?
2024年から日本でも使用可能となった「点鼻タイプのインフルエンザワクチン」。
注射とは異なり、”鼻の中にスプレーする”ことで接種するタイプのワクチンです。
まずはその、点鼻インフルエンザワクチンの「メリット・いい点」についてお話していきます。
■ 注射のような痛みがない! ■
なんといっても、”針を刺す必要がありません”。
特に注射が苦手なお子さんにとっては大きなメリットですね。
■ 鼻や喉に「局所免疫」ができる■
点鼻ワクチンは、ウイルスが最初に入ってくる、”鼻や喉の粘膜に直接作用”します。
そのため、IgA抗体(局所免疫)が作られ、ウイルスの侵入を早い段階で防げる可能性があります。
注射タイプとは違う、このワクチンならではの特徴です。
(簡単に言うと、『痛みが少なく、より自然な免疫がつきやすい』ということになります)
■ 接種は1回でOK(12歳以下も!)■
通常、注射のインフルエンザワクチンは、”12歳以下は2回接種”が推奨されていますが、点鼻ワクチンは、”1回の接種(左右の鼻に1回ずつ噴霧)で終了”します。
通院回数が減るのも、忙しいご家庭には嬉しいポイントです。
■ 効果は注射と「同等」との説明あり■
メディアではさまざまな意見がありますが、メーカーからは、『注射タイプと効果に差はない』との説明を受けています。
※効果が出るまでには、”接種後2週間程度”かかります。
■ 他のワクチンとの間隔も、特別な制限はなし■
点鼻ワクチンは『生ワクチン』ですが、”当院では、他の予防接種との接種間隔に制限は設けていません。”
※ 医療機関によって異なる場合がありますので、接種前にご確認ください。
一方で、点鼻ワクチンの『デメリット・注意点』もあります
■ 接種できるのは【2歳以上~19歳未満】■
0~1歳のお子さんや、大人(19歳以上)の方には接種できません。
※ 当院では、接種間違いを防ぐため、点鼻と注射とで、予約日時を分けています。そのため、ご家族全員で同じ日に接種をするというのが難しい場合があります。
■ 鼻水や鼻づまりがあると効果が下がる可能性も■
鼻にスプレーするため、”鼻水が多い・鼻が詰まっている状態では効果が下がる”可能性があります。
鼻水がある場合は、『事前に鼻をかんでください』とされていますが、小さなお子さんはまだうまく鼻がかめないこともあり、難しいかもしれません。
■ 生ワクチンのため、軽い症状が出ることも■
ごくまれに、接種後に、以下のような”軽いインフルエンザ様症状”が出ることがあります。
・発熱
・鼻水
・喉の痛み
また、接種後しばらくは、鼻の粘膜にウイルスが残っているため、”検査で『インフルエンザ陽性』と出ることもあります。”
その際は、本当に感染しているのか、ワクチンの影響なのか、判断が難しくなってしまいます。
■ 含まれるウイルス株の種類が少ない■
注射ワクチンは、A型2種+B型2種(計4種)に対応していますが、点鼻ワクチンは、A型2種+B型1種(計3種)です。
そのため、”予防できるインフルエンザの型が少ない”という点があります。
■ ワクチンの費用が注射より高い場合も■
点鼻タイプは、”ワクチンそのものの単価が高め”です。
ただし、12歳以下の2回接種と比較すると、”通算では安くなることも”あります。
ただし、13歳以上(1回接種でOKな年齢)の方には”割高”に感じるかもしれません。
両者を比較するとこんな感じになります。
今後、点鼻ワクチンの普及によって、選択肢が広がることで、”お子さんやご家族のライフスタイルに合わせた接種方法”が選べるようになっていきそうです。
ご不明な点は、お気軽にスタッフまでおたずねください。
まとめ
ここまで、点鼻タイプのインフルエンザワクチンの”メリット・デメリット”についてご紹介してきましたが、個人的には、一番のメリットは”痛みがないこと”だと思います。
針を刺さずに済むので、”注射が苦手なお子さんでも受けやすく、保護者の方の負担も軽くなる”のではないでしょうか。
もちろん、鼻にスプレーすること自体が苦手なお子さんにとっては、それがデメリットになる場合もありますが…。
とはいえ、どんなものにもメリットとデメリットはあります。
そのため、
・お子さんの性格や年齢
・ご家庭の通院のしやすさ
・接種のしやすさ、受けやすさ
などをふまえて、「注射」か「点鼻」かを選んでいただければと思います。
ご不明な点やご相談がありましたら、受診時にお気軽にお声がけください。