「子どもが高熱を出すのが初めてで、高熱を出すとけいれんをすることもあるって聞いて心配で…」
と、当院を受診されたお母さんから時々聞かれます。
熱が出て辛そうな子どもの姿を見ているだけでも心配です。
そんな状態の時に更にけいれんを起こすかもって、親としては不安でたまらないですよね。
また、
「子どものけいれんに気付けるのか正直不安です」
というお母さんもいらっしゃいます。
普段生活している中で、けいれんを起こしている子どもを見る機会はあまりないため、お母さんが不安になるのも無理ありません。
そこで今回は、そんなお母さんたちの心配事が一つでも減るよう、子どもが熱を出した時に起こすけいれん、熱性けいれんについて、その症状や、対処方法等についてお話していきます。
子どもの熱性けいれん時の症状って?対処方法を知って慌てないように
子どもの熱性けいれん時の症状って?
子どもが熱を出した時に起こすけいれん、熱性けいれん。
この、熱性けいれん時の症状は、大きく分けて3つ、『熱が38℃以上あること』『けいれんしている』『視線が合わない』です。
ちょっと一つずつお話していきますね。
■熱があること(38℃以上)
熱性けいれんというぐらいなので熱があります。
熱性けいれんを起こす時は、大体熱が38℃以上になります。
熱性けいれんは、熱の変化によって起こります。
熱はないと思っていたけど、子どもがけいれんを起こしたので、もしかしてと思って熱を計ってみたら、思いのほか熱が高くなっててびっくりするということがあります。
ただし、熱が38℃以上あるからといって、必ずしも熱性けいれんを起こすというわけではありません。
■けいれん
普段の風邪の時の体の震えとは明らかに違う震え方をします。
けいれん時は、手足をばたつかせたり、全身に力が入っている状態で震えます。
けいれんした子のお母さんたちに話を聞くと、
「気付けるか心配だったけどすぐにわかりました。普段の震えとけいれんとは全然違いました」
と言われる方もいるぐらい、けいれんを起こすとパッと見ただけで分かるので、気付けるかどうかという心配はしなくても大丈夫ですよ。
■視線が合わない
自分の目の前にお母さんがいるのにもかかわらず、視線が合わずボーッとします。
視線が合わないというのは、子どもがよそを向いているというのではなく、正面を向いているけど、なんだか遠くを見ているという感じがわかりやすいでしょうか。
お子さんたちって不安な時とか、お母さんの顔を見ると安心しますよね。
熱性けいれんの時は、そのお母さんが目の前にいても反応しないんです。
また同等に、目が上の方を向いてしまうということもあります。
上記が熱性けいれん時の主な症状です。
熱性けいれんを起こす年齢は、生後6ヶ月~6歳ぐらいまでです。
その中でも多いのが1~2歳なので、この年齢の子どもを持つお母さんは、特に気を付けてあげてください。
そして、熱性けいれんは熱が出てから24時間以内に起こしやすいと言われています。
このように、お子さんの年齢や時間など、様々な条件が重なった時に熱性けいれんは起こしやすくなります。
子どもの熱性けいれん時の対処方法
子どもが熱性けいれんを起こしたら、正直、お母さんたちはビックリして慌ててしまいますよね。
って、私たちが看護師ではなく、”親”の立場になると、結構同じように慌てちゃったりしちゃうんですけどね(^^;
でも、慌ててしまうと悪いことばかりでなんにもいいことはないので、まずは対処する前に落ち着くようにしましょう
そして一呼吸おき、落ち着いたらよく子どもを観察してください。
熱性けいれんは、子どもをよく観察することが大切です。
そして、以下のような対処をしてください。
■服、特に首の周りをゆったりさせ、子どもが楽に呼吸を出来るようにする
■仰向けに寝かした状態で顔だけ横向けにし、吐いたものが戻らないようにする
■体温を経過観察する
■どれぐらいけいれんが続いているかメモをする
■視線(目線)が合うか確認する
■心配して子どもの体をゆすったりしない(できるだけそーっとしておく)
けいれんが5分以上続いている場合や、けいれん後も子どもの意識が戻らない場合は、すぐに救急車を呼んでください。
そして、よくやってしまいがちなことで、子どもが舌をかんでしまうかもと思い、口にタオルを入れるお母さんがいます。
それは本当にやめてください。
逆に、口に入れてしまったタオルで、子どもが窒息してしまう危険があります。
先生も、
「熱性けいれんで舌を噛んだ子どもを見たことがない」
とおっしゃってました。
それよりも、口にタオルを入れて窒息してしまう危険性のほうが高いです。
これは本当にやめてくださいね。
そして、もしそれが初めての熱性けいれんだった場合、自然にけいれんがおさまったとしても病院を受診してください。
というのは、自然にけいれんがおさまったと思ったけど、実は一時的におさまっただけで、再度けいれんを起こしてしまうこともあります。
また、発熱時のけいれんは、熱性けいれんだけではなく、他の病気も考えられるので、病院はちゃんと受診してくださいね。
そして、子どもの熱はいつから出ているのか。
また、どれぐらいの時間けいれんしていたのか。
けいれん時の子どもの状態はどうだったのかなどをメモしておくと、病院受診時に、医師にスムーズに診察してもらうことが出来るので、出来る限りメモしておくといいですよ。
って、けいれんしてる時は慌てちゃって、メモとかなかなか難しいんですけどね。
ちなみに、お母さん方に話を聞いてみると、
「1回目はほとんどメモが出来なかったけど、2回目からはちゃんとメモ出来るようになりました」
っていう人が多いですね。
やっぱりはじめての熱性けいれんは、皆びっくりして慌てちゃって、メモするどころじゃないみたいです。
熱性けいれんは子どもをよく観察することが大切です。
1回目はしょうがないとして、2回目からはちゃんと経過観察してくださいね。
【子どもの熱が下がらないのは冷やすタイミングを間違っている?】
まとめ
けいれんって普段あまり見慣れないということもあるので、
「うちの子がもしけいれんを起こしたら…」
と思うとちょっと怖いですよね。
でも先生は、
「熱性けいれんは髄膜炎(ずいまくえん)とかと違い、良性のけいれん発作。だから、何回起こそうが発達や神経学的な後遺症や、もちろん命にかかわることがないから、そんなに心配することはないよ」
とおっしゃってました。
ほんと、それを聞いてホッとしました。
だからといって、熱性けいれんを起こしている子どもを放っておいていいというわけではなく、今回お話したように、熱性けいれんを起こした時の対処・対応は必要です。
そして、子どもが熱性けいれんの時は、けいれんがおさまるまで必ずそばにいてあげてくださいね。
経過観察するという意味合いもありますが、お母さん・お父さんがそばにいるというだけで子どもは安心しますから。
でも、
「大丈夫?大丈夫!?」
と、子ども激しく揺さぶったり
「頑張れー!!」
と、子どもの耳元で大声で叫んだりはしないでくださいね。
そばにいる。
手を握ってあげる。
それぐらいで大丈夫ですよ。