当院・しいの木こどもクリニックでは、処置室でお子さんに採血などの処置をする時、保護者の方には、受付の前のソファーなどでお待ちいただいています。
先日、0歳代のお子さんの採血をする時に、
「そばに居てはいけないんですか?」
と、お母さんからと聞かれました。
クリニックや病院によっては、採血などの処置の時に、保護者の方に付き添っていただくところもあります。
また、『近くで見守ってあげたい!採血(注射)が終わったらすぐにあやしてあげたい!』という、親御さんの気持ちもよ~くわかります。
しかし、当院・しいの木こどもクリニックでは、基本的には、保護者の方の処置時の付き添いは行っておりません。
それには、きちんとした理由があります。
そこで今回は、採血などの処置時に、子どもと親を引き離す理由について、当院の院長先生の考えを踏まえてお話させていただきます。
(当院で)採血などの処置時に子どもと親を引き離す理由って?
採血などの処置時に子どもと親を引き離す理由って?
採血などの処置時に、子どもと親を引き離す理由ですが、一言で言ってしまうと、『保護者の方とお子さんとの信頼関係を壊さないため』です。
少し詳しく説明していきますね。
採血などの処置は、どうしても痛みが伴ってしまいます。
そのため、お子さんにとっては、”採血=痛いこと・怖いこと”になります。
そんな、“痛くて怖いこと”をされる時に、保護者の方が近くにいると、お子さんはどう思うでしょうか?
きっと『ママ、たすけてー!』って思いますよね。
しかし、採血などの処置は、お子さんのために必要な事なので、やめるわけにはいかず、保護者の方も助けることができません。
すると、子どもは『ママはそばに居たのに助けてくれなかった…』と感じてしまいます。
些細なことのように思うかもしれませんが、お子さんにとっては、結構ショックなことだったりします。
もちろん、大きくなって、採血の必要性などを理解できるような年齢であれば、そう思うことはなくなるかもしれません。
しかし、まだ言葉が理解できない、小さい年齢の子どもだと、なかなか難しかったりします。
そのため、採血などの時には、『痛いことをする医療者は”悪者”』。
終わったあとに『褒めたり慰めてくれる保護者の方は”味方”』。
そうお子さんに思ってもらえるように、保護者の方には離れていただいています。
また、採血などの処置時に、暴れて動いてしまうと、安全に行うことができません。
そのため、処置時には、動かないように、時には結構ギュッと体を固定したりします。
もちろん、お子さんが苦しくない程度の固定ですが、注射が嫌で嫌でギャン泣きし、暴れまくる子もいたりします。
前に、『どうしても付き添いたい!子どもの側にいたい!』という親御さんが見えたんですが、子どものその姿を見て、(子どもが)泣いているのに何もしてあげられない事に心苦しくなり、親御さんも泣かれていました。
保護者の方にそういった思いをさせたくないということもあり、当院では、別の場所でお待ちいただくようにしています。
まれに、お子さんの性格や特性で、『お母さんと離れるとパニックを起こして大暴れしてしまう』などの特別な理由がある場合は、安全のために付き添いをお願いする場合もありますが、当院では基本的に、『保護者の方とお子さんとの信頼関係を壊さないため』、保護者の方の処置時の付き添いは行っておりませんので、ご理解いただければと思います。
まとめ
言葉での説明や理解が難しい年齢のお子さんに、『ママはそばに居たのに助けてくれなかった…』と思われないように、当院では、採血などの処置時には、保護者の方には離れてお待ち頂いています。
病院ではなくクリニックですので、子どもがギャン泣きすると、その声は、受付まで聞こえてきてしまいます。
そんな我が子の泣き声が聞こえると、不安で心配でたまらないと思います。
でも、採血(注射)が終わるまでは、子どもも頑張ってますので、親御さんも一緒に頑張って耐えてください。
そして、採血が終わったら、泣きながらも頑張った子どもを、たっくさんたっくさん褒めてあげてください。
痛いこと・嫌なことの記憶が吹っ飛ぶくらい子どもを褒めてあげてください。
『ちょっと大げさかも…』ぐらいで丁度いいです!
子どもにとって、味方・親に褒められることは、何よりも嬉しいことですからね。