子どもって、よく耳を触ったりしますよね。
特に耳たぶは、柔らかい感触だから気になるんでしょうかね?
以前、自分のじゃなくて、お母さんの耳たぶを触りながらじゃないと寝れない、なんていう子の話を聞いたこともあります。
単に、そういうクセの子も多いのですが、あんまり頻繁に自分の耳を触る場合『もしかしてかゆいの?』と思うこともありますよね。
当院でも、時々
「耳を気にしてよく触っているんですが大丈夫でしょうか?」
と聞かれることがあります。
小児科でも、耳鏡(じきょう)という道具を使って耳の中を見ることができるので、『耳のことも心配』という場合は、問診時等に伝えてくださいね。
ただ、中には
「耳あかが邪魔してはっきりと見えないね。見えてる範囲だと鼓膜は大丈夫だと思うけど…」
なんていう事もあるので、耳鼻科で診てもらう事をおすすめすることもあります。
そんな時によく聞かれるのが
「子どもが耳掃除をさせてくれないのですが、耳掃除ってした方がいいんですか?」
という質問です。
自分の耳と違って、子どもの耳掃除って『じっとしてくれるかな』『傷つけちゃったりしないかな』と、ちょっと不安ですよね。
そこで今回は、”子どもの耳掃除はした方がいいのか?”という疑問についてお話ししていきます。
子どもが耳掃除をさせてくれない!耳垢って取った方がいいの?
子どもの耳掃除ってした方がいいの?(耳垢って取った方がいいの?)
耳掃除は、特にやらなくても大丈夫です。
耳掃除をする時に触れる部分を外耳(がいじ)というのですが、その入り口には柔らかい毛が生えていて、そこに向かって耳あかなどを外に出すような動きが耳の中にはあります。
そのため、何もしなくても、耳あかなどは外側に向かって押し出され、寝ている間や体を動かした時など、気づかないうちに勝手に取れてしまうことが多いんです。
なので、外側にある耳あかに気づいたら、そっと綿棒などで取るぐらいはしても大丈夫ですが、奥まで掃除しようとしなくても大丈夫なんです。
逆に、無理に取ろうとすると、耳あかを奥まで押し込めてしまったり、耳の中を傷つけてしまうこともあります。
柔らかい綿棒でも、綿棒のふわふわの部分は、案外簡単に取れてしまうので、それが耳の中に残ってしまうなんていうこともあります。
2017年にアメリカ耳鼻咽喉科学会・頭頚部外科学会(AAO-HNS)から、耳垢に対するガイドラインが出ていますが、耳掃除についてはこう書かれています。
過剰な耳掃除はしない。
過剰な耳掃除は外耳道の炎症や感染の原因となり、耳垢塞栓率が高まる。
綿棒、ヘアピン、つまようじなどは耳を傷つけることがある。
これにより外耳道裂傷、鼓膜の穿孔、耳小骨変位が生じて聴力低下、目まい、耳鳴りなどを招く恐れがある
実際、私が子どもの頃、耳掃除のやりすぎで外耳に傷ができてしまい、そこが炎症を起こして外耳炎になってしまったことがあります。
耳掃除が嫌いじゃなかったので、ちょっと耳が痒かったりすると、すぐ母に
「耳かきして~」
って言ってたんですよね。
炎症した部分が痛痒くても、耳鼻科のお医者さんから
「触らないように」
と言われているから何もできないし、そこから臭いのする汁が出て、耳の中がじゅくじゅくするしで、すっごく嫌な思いをした記憶があります。
それ以降は、母も自分も、過剰な耳掃除はしないようになりました。
耳の中って、なかなか上手く見えないし、耳掃除が嫌いじゃない子でも、子どもって突然動いてしまうこともありますよね。
そうすると、外耳や鼓膜を傷つけてしまう危険性もあります。
耳あかは、基本的には自然に取れるものなので、無理に取らなくても、耳掃除をしなくてもいいんです。
ただ、聞こえが悪くなるほど耳あかが溜まっているような場合は、耳鼻科で掃除してもらった方がいいこともあるので、そういう時は耳鼻科を受診して相談してくださいね。
まとめ
先日、自分の耳掃除をしていた時に、うっかり強く引っ掻いてしまい、痛い思いをしました。
その時に、子どもの頃に外耳炎になったことをふと思い出しました。
ついでに、自分は耳掃除が平気だったのですが、妹は嫌いだったようで、母親がゴソゴソする妹を押さえつけながら無理やりやっていたことも思い出しました。
今となると、『そこまで無理にやらなくてよかったのになぁ』と、昔の母に対して思います。
子どもによって、耳掃除が平気な子、嫌いな子と様々ですよね。
どっちにしろ、無理にやると耳の中を傷つけてしまうリスクもありますので、”耳掃除は基本的にはやらなくても大丈夫”ですよ。