赤ちゃんにハチミツがダメな理由って?加工品や加熱したらいいの?

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先日、ハチミツを摂取して、6ヶ月の赤ちゃんが亡くなるという悲しいニュースがありました。

栄養価も高く、体にいいハチミツ。

きっとご家族の方は、赤ちゃんのためと思って飲ませていたのだろうと思うと、同じ母親としていたたまれない気持ちになります。

 

こんなにも様々な情報が飛び交う時代です。

正直、どの情報が正しい情報なのか、判断しにくいこともありますよね。

 

そこで今回は、赤ちゃんにハチミツがダメな理由や、ハチミツは加工品や加熱してもダメな理由についてお伝えしていきます。

赤ちゃんにハチミツを与えてはいけない理由って?加工品や加熱したらいいの?

 

赤ちゃんにハチミツがダメな理由って?

1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけない”ということをどれくらいのママさんが知っているのでしょうか。

私は4人の母親ですが、一番上の子の時(えっと、10年以上も前ですが(^^;)、看護師でありながらも、実は、1歳未満の子にハチミツを与えてはいけないということを知らなかったのです。

もともとその時は、料理等にハチミツを使うことがなく、離乳食が始まってからのおやつも、りんごや温野菜などを与えていたので、結果論ですが、知らなくてもセーフでした。

 

私が、はじめて1歳未満の赤ちゃんにハチミツがダメたと知ったのは、それから5年後です。

上の子は双子だったので、育児書を見る余裕など全くなく、3人目の子の離乳食の際にはじめて知ったのです。

知った時は驚きました。

 

自分で使った覚えがないとはいえ、

「えっ!上の子たち大丈夫だったかしら?」

「でも、ここまで大きくなったんだから、大丈夫だったということよね?」

と、一人であたふたしていたことを思い出します。

 

ハチミツには、ボツリヌス菌が混入していることがあります。

ボツリヌス菌は、土壌などに広く存在している細菌で、食品などを介して口から体内へ入ります。

消化器官が発達している大人の場合、摂取しても問題ありませんが、消化器官が未熟な赤ちゃんの場合は、腸内環境が整っていないため、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出し、便秘、哺乳力の低下、元気の消失、首のすわりが悪くなるといった症状を引き起こし、最悪の場合、死に至るケースもあるのです。

 

たまたま与えていなかったからよかったけれど、与えてしまった後にこのことを知ったら…。

きっと心配で、いても立ってもいられなかったと思います。

ほんと、知らないって怖いことなんだと、つくづく思います。

 

また、避けるべき食品はハチミツだけじゃないんです。

愛知県岡崎市の母子健康手帳(以下、母子手帳という)には、

『はちみつや黒砂糖は乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わないようにしましょう。』

と、ちゃんと記載がありました。

 

当院・しいの木こどもクリニックには、たくさんの子育て経験者のスタッフがいますが、皆同様に

「えっ!黒糖(黒砂糖)もなの?知らなかった。今知らなかったら、ずっと知らなかったかも。」

と、意表をつかれたような顔をしていました。

私達でも知らないことは、まだまだたくさんあることを痛感しました。

 

妊婦さんが必ず持っている母子手帳。

今回、その母子手帳には、どのように注意喚起されているのだろう、と実際に見て、改めてわかったこと。

母子手帳には、たくさんの大切なことが書かれていますが、なかなか100ページ以上ある冊子を読み込むことは大変ですよね。

もっともっと母子手帳に書かれていることが、ママさん達の目に留まるよう、私達のすべき役割がまたひとつわかったように思います。

ハチミツは加工品や加熱したら大丈夫?

なんとなくですが、

「加熱処理すれば何でも大丈夫」

という感覚をお持ちの方って多いんじゃないでしょうか。

『熱は強い!』というイメージが私の中にはあったりします。

って私だけですかね(^^;

 

でもそういえば、大学の時の病理の授業で、熱でも死ににくい菌があると教わったなぁ、というのを思い出しました。

もうすっかり忘れてしまっていました。

せっかく習った知識なのにもったいない(ーー;

 

ボツリヌス菌は、熱に強く、通常の加熱や調理では死なないといわれています。

その為、加工品も避ける必要があります。

 

ママ友から

「おばあちゃんに預けてた時に、ハチミツを塗ったパンを食べさせようとしたって聞いて、慌ててまだハチミツは早いって!って言ったことがあったの。」

という話をつい最近聞き、その時は、

「そうだよね。」

くらいにしか思わなかったのですが、今になって考えると、そういうことって、意外とあったりするんじゃないのかなって思います。

 

私も含め、働くママさんが増えてきた時代です。

おじいちゃん・おばあちゃんにお願いして、お子さんをみてもらうことって、きっとありますよね。

様々な効能を持つハチミツ。

特に、おじいちゃん・おばあちゃん世代の信頼は絶大です。

栄養面でも優れている他、血圧を下げてくれたり、高い殺菌効果があったりと、万能ですよね。

かわいい孫のためを思って、体にいいものをと思うおじいちゃん・おばあちゃんの気持ち、よくわかります。

 

日本で「ハチミツを1歳未満に与えてはいけない」と勧告を出したのは、1987年。

意外と30年前。

ということは、私が7歳の時。

(あっ!年齢がバレちゃいますね)

そう考えると、おじいちゃん・おばあちゃんの子育てがひと段落した時代ですもん。

まだまだ、おじいちゃん・おばちゃんが知らなくても、当然のことですよね。

 

昔からあるハチミツだから、おじいちゃん・おばあちゃんも、赤ちゃんには与えてはいけないと知っているだろうと思いがちですが、時代によって、正しい情報が変わってくることも、時が経ってわかることもあります

赤ちゃんを預ける際には、一度「ハチミツを1歳未満には与えてはいけない」ことを共通の認識として確認することをおすすめします。

【食物アレルギーが心配な場合の離乳食の進め方は?】

まとめ

今回のことに限らず、

「知っていれば…」

と、そんな思いをママさん達がしていることがあるんだろうなと思うと、もっと私達にできることはないのかと、その都度勉強させていただく機会をもらっています。

私達医療従事者がすべき役割、出来ることを今一度確認し、もしかしたらわかっているであろうことも、重要なことなら常に情報発信していく姿勢を大切にしていきたいと思います。

 

当院・しいの木こどもクリニックでは、小さな不安を大きな笑顔へ“子育てを楽しむ明日へ一歩前進”をコンセプトに、活動しています。

「これって大丈夫かな?」

などと、少しでも心配に思う時は、受診の際、ぜひ、ご相談ください。

【目指すは24時間、365日対応できるクリニック!】

 

【参考資料】

厚生労働省HP[ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。]

岡崎市 母子手帳 平成28年度版 94ページ