離乳食を始める前や、始めてすぐくらいに
「食物アレルギーが心配なので検査をしてください」
と言われる親御さんがいらっしゃいます。
お話を聞くと、パパやママにアレルギーの方がいる場合は特に気にされているようです。
確かに、両親にアレルギーのある場合とない場合では、ある場合のほうがアレルギーの出る確率は高くなるようですが、絶対に出るというわけではないですし、また、同じ食品で症状が出るとは限りません。
今回は、赤ちゃんの食物アレルギーが心配な場合の離乳食の進め方や、食物アレルギーの症状やその検査方法についてお話していきます。
食物アレルギーが心配な場合の離乳食の進め方は?症状や検査方法は?
赤ちゃんの食物アレルギーが心配な場合の離乳食の進め方
赤ちゃんの食物アレルギーが心配だと、離乳食を進めるのも慎重になってしまいますよね。
そんな場合の離乳食のすすめ方のポイントについていくつか説明していきます。
■初めて食べるものは、1日につき1種類ずつで!
初めての食材を与える時は、できるだけ1日に1種類にしましょう。
2種類以上だと、何が原因か分かりにくくなってしまいます。
1日食べて変わった様子がなければ徐々に増やしていきましょう。
■初めての食材を試すときは、平日の午前中がおすすめ!
アレルギー症状の多くは、食後1~2時間以内に現れます。
何か変化のあったとき、慌てずクリニックを受診できるよう、かかりつけ医のやっている日の午前中がいいですね。
症状が出てきた場合は、食べたものや量、食べた時間をメモしておいてクリニックを受診するようにしましょう。
じんましんなどはしばらくすると消えてしまうこともあるので、携帯・スマホで写真を撮っておくといいですよ。
■できれば手作りのものがおすすめ!
市販のベビーフードには、様々な原料や食材が含まれていて、初めての食材が含まれている可能性もあります。
そのため、食材の把握が明確な手作りの離乳食をお勧めします。
しかし、最近はお仕事をされているママさんも多く、毎回手作りするのが難しい方もいますよね。
離乳食を進めていって、大丈夫そうなことが確認できたら、無理せず市販品にお世話になる方法もあります。
もし、”このベビーフードの時だけいつも症状が出る”というものがあったら、同じベビーフードはしばらく避けておきましょう。
食物アレルギーが心配だと、離乳食を始める時期を遅らせてしまう方がいます。
しかし、母乳やミルクだけでは赤ちゃんに必要な栄養を十分にとることができません。
少しずつ離乳食を進めていって、赤ちゃんに食べることの楽しさを教えてあげましょう。
アレルギーの症状ってどんなの?
アレルギーの症状には、具体的にはこのような症状があります。
■皮膚・粘膜症状(じんましん、かゆみ、目の充血、唇の腫れなど)
■呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、咳、ぜーぜーする、呼吸が苦しいなど)
■消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など)
このような症状は、早ければ数分~1時間、遅いと1~2日後に出てきます。
もし、すごく苦しそうで顔色が悪いなど、明らかに様子のおかしいときは大きな病院を受診することをおすすめします。
アレルギーの検査方法は?何をするの?
アレルギーの検査方法なんですが、比較的採血をして検査をすることが多いです。
そこで、特異的IgEという、牛乳や小麦といった特定の物質に反応してアレルギーを起こす可能性のある成分がどれくらいあるかということを主に調べています。
ここで注意してもらいたいのが、特異的IgEが高いからといって必ずアレルギーが起こるとは限らないということです。
たとえば、牛乳に対するIgEの数値が高くても、牛乳を飲んでも症状の出ない人がいます。
逆に、数値が低くてもアレルギーの症状の出る人もいます。
大事なのは、数値ではなく、その人に症状が出るかどうかです。
特異的IgEが低い値でも症状が出てしまう場合は、食べることを控えなければいけません。
逆に特異的IgEが高い値でも症状が出なければ、食べても問題ないこともあるということです。
当院・しいの木こどもクリニックでは、離乳食を始める前に検査をしても、実際に食べて症状が出るかどうかわからないため、アレルギーの症状が出た食べ物がはっきりしている場合に、確かめの意味で検査をしています。
アレルギーがあると言われると、
「この子は一生、牛乳や乳製品が食べられないの?」
と考えてしまうかもしれませんが、子どもは大人と違ってどんどん成長していきます。
消化器官も同じです。
成長・発達することで、アレルギーの原因となる成分を取り込みにくくなったりして、症状が起こりにくくなってきます。
ただし、しばらくは、アレルギーの起こる食べ物を避けておかないと、アレルギーの出やすい状態が続いてしまって、消化器官が発達してもアレルギーが出てしまうことがあります。
アレルギーと診断された食べ物は、しばらくの間は避けるようにしましょう。
半年~1年くらいして、血液検査で特異的IgEの数値が下がってきていたことが確認されると、食べられるかどうか試してみることが多いですね。
アレルギーのある場合の食事の制限や、食べられるか試す時期は医師の指示に従ってくださいね。
【離乳食を食べない・食べてくれない・食べむらがある原因や理由は?】
まとめ
食物アレルギーはあまり過敏になりすぎてもいけませんし、放置しておいてもいけません。
特に赤ちゃんに関してはなおさらです。
食物アレルギーの子どもをもつママさんは本当にたくさんいます。
皆同じように悩み、苦しんでいます。
『一人で悩まずクリニックに相談してみる』ということを忘れないでくださいね。
「これって食物アレルギーかしら?」
と心配になった時は、受診の際に相談してくださいね。