RSウイルス感染症ってご存知ですか?
「ん?何それ?」
と思う方も多いと思いますが、昨年も秋から冬にかけてかなり流行していました。
一時期、テレビなどでも取り上げられていたので、
「聞いたことがある!」
という方もいらっしゃると思います。
RSウイルス感染症は、月齢が小さい赤ちゃんほど重症化しやすいといわれている上に、治療法も対処療法が主で、感染を防ぐワクチンや特効薬などがないんです。
そうわかると、
「怖い病気なのかしら?」
と、心配になられる方も多いと思います。
RSウイルスは、珍しい病気ではなく、赤ちゃんから大人まで、あらゆる年代で感染する病気です。
そのため、赤ちゃんがRSウイルスに感染しないようにするには、いかに家族の方が予防するかということが、とても大切になってきます。
そこで今回は、大人がRSウイルスに感染した時の症状ってどんな症状なのか。
また、赤ちゃんにうつさないための予防方法などについてお話していきます。
大人がRSウイルスに感染!どんな症状が出るの?赤ちゃんのための予防法
大人がRSウイルスに感染すると、どんな症状が出るの?
「今回の風邪、なかなかよくならないなぁ。」
と、風邪が長引いてしまった経験、皆さんも一度はあるんじゃないでしょうか?
なかなかよくならない、長引く風邪のひとつに、RSウイルス感染症があげられます。
症状は、鼻水・鼻づまり、咳、喉の痛み、発熱(微熱のこともあります)と、一般的に思われている風邪の症状で、初期段階では特徴的な症状がみられないことがほとんどです。
RSウイルス感染症は、生まれて間もない赤ちゃんにも感染しますが、2歳までに、ほぼ全員のお子さんが一度はかかるといわれています。
一度かかっても、免疫が十分にできないので繰り返し感染を起こし、そして、徐々に免疫ができ、次第に症状は軽くなります。
だから大人の場合、あまり重症化することがないため、RSウイルスに感染していることに気付きにくく、知らないうちに赤ちゃんにうつしていることが多いのです。
赤ちゃんがかからないためにできる予防法
RSウイルスが流行している時期に、赤ちゃんがいる親御さんたちは、
「一体どう予防してあげたらいいの?」
と、不安に思われる方が多いのではないでしょうか。
しかも、大人の症状は、普通の風邪と症状が似ていて、知らないうちに赤ちゃんへうつしている可能性があるとなると、家族の誰かが体調を崩す度に、かなり神経質になりますよね。
私の娘は早産で産まれたので、とても神経質になっていた頃の私を思い出します。
でも、必要以上に敏感になることはありません。
私も小児科に勤務して、”感染経路を知って、どのように予防していくことが大切か“ということを学びました。
それに、予防法といっても、特別難しいことをするわけではないんです。
普段から当たり前に行っていることを、継続していくことが大切だったりします。
少し、私の経験も踏まえて、予防法をお話していきますね。
予防法1:手洗い・うがいの徹底!
当たり前のことですが、常に手洗い・うがいを意識して行うことって、意外と難しいことだったりしませんか?
大事な会議や仕事・行事があり、体調をどうしても崩せないと意識する時は、積極的に手洗い・うがいを行い、予防しようとしたりしますよね?
それと同じように、大事なわが子にうつしてしまうことのないよう、大人の方が体調管理を意識して行っていくことが大切です。
上のお子さんがいらっしゃる方は、お子さんの年齢によって、上手にうがいができないこともありますよね。
そんな時、私の場合は、殺菌効果の高い緑茶をうがいに使用したり、数口飲ませたりしていました。
麦茶などと比べると味が苦いので、嫌がるお子さんもみえると思いますが、ひとつの手として試してみてくださいね。
予防法2:外出の際は、わが子専用のものを使用!
RSウイルスが流行している時期は、いつも通っているサークルをお休みしたり、なるべく必要以上の外出を避けたりすることも大切です。
でも、上のお子さんの送迎や、食料等の買出しなど、必要最低限の外出はやむを得ない時があります。
現在は、インターネット環境が充実し、自宅にいながら買い物ができるようになった現代ですが、オムツがないことに気付き、今すぐ欲しい時だってありますよね。
そんな時、
「ちょっとの買い物で、ベビーカーの出し入れは面倒だし、ドラッグストアに置いてある子どもが乗せれるカートを使えばいいよね。」
と思うことってありませんか?
RSウイルスは、接触感染といって、日常的に手に触れる部分(身近なドアノブ、手すりなど)からも感染することがあります。
常にいろんなお子さんが使用しているお店にあるカートは、感染源の宝庫です。
もちろん、発症しなければ問題ないのですが、感染する危険性を考慮し、ちょっと手間ですが、常に外出の際は、わが子専用のベビーカーを使用することをおすすめします。
ちなみに、当院・しいの木こどもクリニックでは、プレイルームがなく、おもちゃや本など、複数の患者様が触れるものもありません。
患者様間の共有物を極力少なくすることで、接触感染予防にも力を注いでいます。
予防法3:こどもが触れるものには、できれば消毒・除菌を!
上のお子さんがいる場合、赤ちゃんをおもちゃであやしてくれたりと、微笑ましい光景に癒され、お母さんがとっても助かることもありますよね。
でも、おもちゃを通して接触感染することもあるんです。
薬液は、次亜塩素酸という哺乳瓶なども消毒できるものを使用します。
おもちゃによって、消毒できる素材のもの・できない素材のものがありますのでご注意ください。
と、今回ご紹介した、赤ちゃんがRSウイルスに感染しないための予防方法、どれもそんなに難しくないですよね。
“流行しているから対策をする”でもいいんですが、これらの予防法は、”普段から癖付けしておく”と尚いいですね。
まとめ
インフルエンザにかかると、皆に移さないように隔離したり、家の中でもマスクを着用したりしますよね。
一緒に住んでいる家族の方もうつらないようにと、手洗い・うがいを念入りにしたり、自然と予防意識は高まります。
でも、通常の風邪では、そこまで思わないことが多いのではないでしょうか?
RSウイルス感染症は、大人ではちょっとした風邪でも、赤ちゃんがかかると、入院になるほど重症化する可能性があることを忘れず、普段の生活の中でできることを継続し、家族みんなで予防していけるといいですね。