最近、めっきり寒くなってきましたね。
空気も乾燥し、体調を崩してしまう方も多いのではないでしょうか。
この時期は、インフルエンザの流行が気になる時期ではありますが、今回は別の病気『りんご病』のお話です。
皆さんは『りんご病』という病気をご存知でしょうか?
「なんか名前は聞いたことがあるけど…」
という方も多いかと思います。
かくいう私も、なんとなくで覚えていた一人です(^^;
ということで今回は、りんご病とは一体どんな病気なのか。
そして、りんご病にかかった時に気をつけることについてお伝えしていきます。
りんご病ってどんな病気?気をつけることって?
りんご病って一体どんな病気?
りんご病とは、正式には『伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)』という病名です。
“伝染性”という字面をみると、
「うつる病気ってこと?大丈夫?」
と、心配になってしまいますよね。
りんご病は、飛沫感染、もしくは接触感染でうつる病気です。
4~5歳を中心に幼児・学童に出やすいと言われています。
また、頻度はそう高くないのですが、大人でもかかる場合があります。
感染して、大体1週間程度で、咳や鼻水などの、風邪のような症状が出ます。
そして、10日~20日後に、両方の頬に、はっきりとした赤み(紅斑)が出ます。
両方の腕や足にも、もやもやっとした赤みが出ることもあります。
赤みの部分は、痛かったり痒かったりはないみたいです。
よくあるのは、
「咳や鼻水が出るけど、軽い風邪かな?」
と思った数日後に
「あれ、うちの子、ほっぺた真っ赤じゃない!何これ?」
となるパターンです。
私が子どもの頃の話なので、約20数年前のことなんですが、隣の席の子のほっぺたが本当に真っ赤っ赤で、
「○○ちゃん、大丈夫かな?」
と心配していたら、先生からその子が”りんご病”だったと聞かされました。
お菓子とかに使う、きれいに真っ赤になったりんごを想像してみてください。
まさにあんな感じの、”THEりんご”って感じでした(うまくお伝えできないのが残念です…)
当院・しいの木こどもクリニックでも、りんご病でほっぺたの赤いお子さんを数人見ましたが、20数年前のあの赤さは、未だにはっきりと覚えていますね。
りんご病は、最初の風邪のような時期が一番人にうつりやすい時期です。
頬の赤み(紅斑)が出てくる頃には、ほとんど感染力はないと言われているので、普通に登園・登校しても大丈夫です。
また、特徴的な赤み(紅斑)が出るまではりんご病と診断できず、最初は風邪かと思われがちなので、予防には、普段からのマスクの着用や、うがい・手洗いが大切になってきます。
クラスでりんご病の子が出て、うちの子も咳や鼻水など、風邪の症状があるなという時は、その後で頬の赤み(紅斑)が出てこないか、経過を見ておくといいですね。
また、クリニックでりんご病と診断されても、特にこれといったお薬があるわけではありません。
しかし、子どもの体調は日々変化します。
その時はりんご病で体調がすぐれなかったかもしれませんが、数日後はりんご病ではなく、違う病気にかかっていて体調が悪いという場合もあります。
お子さんの体調がすぐれず心配な時は、迷わずクリニックを受診してくださいね。
りんご病にかかった時に気をつけることって?
先程もお伝えした通りりんご病は、紅斑が出る頃には感染力はほとんどないので、りんご病と診断された時には、特に何かこれといって気をつけることはありません。
しかし、紅斑が出る前に、他のお子さんにうつしている可能性はあるので、学校や園には伝えておいたほうがいいですね。
りんご病は、法律上は登園・登校しても大丈夫ですが、園によってはお休みしてくださいと言われるところもあるので、一度確認しておくといいですね。
ただし、気をつけていただきたいのが、妊婦さんへの感染です。
まれにですが、胎児への影響・流産の危険性があるので、りんご病と診断される前の風邪症状が出ている時に妊婦さんと接していた場合は連絡してあげてください。
上の子がりんご病で、下の子を妊娠中という場合も、一度産婦人科の先生に確認しておくと安心だと思います。
また、近々に予防接種の予定が入っている時は、予防接種の抗体がつきにくくなってしまうので、延期する場合があります。
当院の場合だと、発赤が消えて2週間経つまで予防接種は受けられません。
それぞれのクリニックや病院によって、受けられない期間は違うため、予防接種の予定がある場合は、受ける病院に確認してくださいね。
まとめ
りんご病って、”ほっぺたが赤くなる病気”という認識をされている方は多いと思います。
当院でも、先生が
「りんご病ですね」
というと、
「これがりんご病なんですね!」
と言われる方が多い印象なので、りんご病は、『名前は知っているけど詳しくは知らない病気の一つ』なんだと思います。
私も、”りんご病=頬が赤くなる病気”という認識をしていた人で、最初は咳や鼻水の症状から始まったりするということをちゃんと理解していませんでした。
りんご病は、特に治療法があるわけでもなく、大変な合併症があるわけでもないので、かかったら絶対に病院を受診した方がいい病気ではないかもしれません。
しかし、りんご病だと思っていても、実は他の病気ということもあります。
そのため、近々に予防接種の予定があったり、周りに妊婦さんがいたりするなどで気になる時は、病院・クリニックを受診してくださいね。