「子どもが全然言うことを聞かない。私の叱り方が下手なの?」
「何度言ってもやらないのって、私のしつけ方が間違ってるの?」
などなど、”子どものしつけ・叱り方”について悩まれている親御さんは多いかと思います。
当院・しいの木こどもクリニックでも、来院された親御さんから、”子どものしつけ・叱り方”についても含め、毎日のように様々な質問を頂きます。
その都度、その質問を受けたスタッフがお答えしているんですが、今回はその、”子どものしつけ・叱り方”についての質問・回答をブログにさせていただきました。
ということで今回は、”子どものしつけ・叱り方”について、その場面場面で実際どう対処・対応していたのかということについて、親御さん等から頂いた質問に対しての私の回答と、先生のお答え&考えも追加してお伝えしていこうと思います。
■子どもの人数:男の子が1人(一人っ子)
■家族構成:父・母(私)・義母・子どもの4人家族
子どものしつけ・叱り方についてのQ&A
それでは、親御さん等からよく聞かれる・質問される”子どものしつけ・叱り方”についてのQ&(私の)A”です。
Q. しつけで子どもに暴言を吐く・怒鳴ることってありました?
A. 子どもが6歳頃、やってはいけないということを、何度言っても繰り返しやった時は怒鳴りましたね。
あと、小学校の高学年ぐらいの時、子どもが自分を守るために嘘をついたことがあって、その時は、子どものずるい部分が見えてしまったので怒りました。
Q. しつけで子どもに手をあげるってことってありました?
A. 子どもが中学1年生の時、部活を辞めた時に1度…。
でもそれは、私の感情(ヒステリック)だけで、しつけではなかったと思いますね。
自分も子どもの頃、親に叩かれたことがあったんですが、「痛い」「怖い」という記憶しかないので、子どもに手をあげるしつけはないと思い、今でも反省しています。
Q. しつけで子どもにペナルティとか与えたことってありました?
A. ペナルティと言うかその逆で、言い方はあまり良くないけど、物で釣るお母さんは多かったですね。
「テストで○○点以上とったら□□を買ってあげる」みたいな。
「物で釣るのは良くない」って、何かの雑誌で読んだことがあったのでうちはやらなかったけど、それはそれで子どもにとっても1つの目標になるので、やっても良かったかなぁと今では思いますね。
Q. 子どもの歯磨きってしつけてました?
A. 子どもの歯が生え始めの頃は、なかなか寝転んでくれなくて、仕上げ磨きがあまり出来なかった、出来ていなかったですね。
でも、親子のスキンシップになるので、大変だけど大好きな時間でした♪
子どもが少し大きくなると、自分で磨くようにはなったけど、テレビを見ながら歯を磨いたりとか、ながら磨きになってしまったので、しっかりと時間分けをすればよかったかなと今では反省してます。
Q. 子どものご飯の食べ方[クチャラー(くちゃくちゃ食べ)や、遊び食べ、ながら食べ]など、食事の時に気になることはありませんでした?
A. めっちゃしつけました。
(自分が)子どもの頃、食べることに関しては、親や祖母から厳しく言われて、大人になってからすごくありがたいと思ったので、息子にも厳しく言っていました。
食べ方ってすごく見られるので、「肘をつくな!」「犬食いはダメ!」などなど、かなり注意してましたね。
Q. 子どもがご飯を食べない(少ししか食べない)とか、ご飯を残す時ってどうしてました?
A. とにかく息子が好きなものを出すぐらいですかね。
うちの息子は、”少食&ムラ食い”だったので、かなり苦労しました。
あと、食にあまり興味がないみたいで、白米とお味噌汁があれば満足という…。
でも、親としては、あれもこれもいっぱい作って食べさせたいじゃないですか。
でも、”少食&ムラ食い”だったので、「お腹いっぱい。後で食べる」と息子…。
そう言って、後で食べたことなんて1度もなかったんですけどね( ̄  ̄;
子どもながらに気を遣ってくれてたということもあって、そこはスルーして、無理強いはしませんでしたね。
Q. 偏食(好き嫌い)ってありました?
A. すごく偏食で、とにかくさっぱりしたものが好きな子でした。
でも、偏食を直そうと、好きじゃないものを無理やり食べさせるようなことはしませんでした。
子どもの好きなものは、うどん・納豆・白米・汁物・果物と、私とは正反対!
私の好きなものは、脂っこいもの、何ならトンカツは脂を狙って食べます(苦笑)
Q. 子どもの箸の持ち方って何歳ごろからしつけ(トレーニング)ってしました?
A. 箸の持ち方はすごく大切だと思い、トレーニングの箸を小さい頃から使ってはいたものの、なかなか上達しませんでしたね。
特に、言葉が通じない頃は、こちらの言う事が伝わらないので、3歩進んで2歩下がるみたいな感じでした。
ある程度きれいに持てるようになったところで辞めましたね。
そして、どこかのタイミングで自分で気になったのか、それとも周りから言われたのか、今ではとってもきれいに持ってます。
Q. 挨拶や言葉遣い、マナーなどの礼儀作法ってしっかりしつけました?
A. 「ごめんなさい」「ありがとう」がちゃんと言える子になって欲しかったので、言えるまで何度も言いました。
今では、コンビニの店員さんや、飲食店の方にも「すみません」や「お願いします」とちゃんと言える好青年になりました♪
Q. 電車などの移動時や、スーパーなどの外出先で、周りに迷惑をかけるような子どもでしたか?
A. 元々の性格もあると思うんですが、うちの子は主張するのが苦手な子だったので、大人しくて、周りに迷惑をかけるようなことはなかったですね。
その分、親の私にはいっぱい言いたいこと言ってましたけどね( ̄  ̄;
まぁ、周りに迷惑をかけて謝るのに比べたら、楽なもん・かわいいもんです♪
Q. しつけで置き去り・置いていく(ふりを含む)ってことやりました?
A. やりましたね。
「お菓子、100円以上のものは買わないからね!」と約束して、一緒に買物へ行ったのにも関わらず、ごねて交渉に入った時は、無視して置いていくふりをしました。
しばらくして泣いて追いかけてきたけど、何度も同じことの繰り返しだったので、”置いていくふり”は、効果はないと思います。
Q. 整理整頓や片付けって、子どもにどうしつけてました?
A. 3歳頃からかな、その頃からず~っと言ってきたけど、今でも整理整頓・片付けができません。
しつけ失敗を実感しています。
Q. 「もうおもちゃやゲーム捨てるよ!」って時ありました?
A. 子どもが小学校の高学年頃に、3DSにハマりすぎて、朝起きてゲーム、学校から帰ったらゲーム、寝る前にゲームと、とにかく1日中ゲームをやってた時期があって、あまりにもひどかったので、時間を決めてやるように約束したんですね。
でも、その約束を破ったので捨てました。
実際は、捨てるふりをしてしばらく隠してたんですけどね。
しばらくして3DSを出して(戻して)からは、時間を守るようになりましたね。
多分、そのゲームに対する熱が冷めたというところもあるんじゃないかなと思います。
Q. 子どもが物を投げるなどのかんしゃくを起こした、泣く、言う事を聞かない時ってどうしつけてました?
A. うちの子は、あまりかんしゃくを起こす子ではなく、どちらかと言うとシクシク泣いちゃう子だったので、母親としては、もう少し感情を出してくれたほうがありがたかったかな~って思いますね。
泣いた時はひたすら”よしよし”です。
Q. 子どもが嘘をつく、約束を守らない時は具体的にどうしつけてました?
A. 子どもが嘘をついた時は、知らないふりをして、少し泳がせてみたりしました。
うちの子は素直な子(親バカ)なので、すぐに白状してしまってましたね。
その時は優しく「なんで嘘をついたの?」と、子どもから嘘をついた理由を全部聞いて、その後、嘘をついてはいけないということを伝えるようにしてました。
Q. 子どものしつけに対し、父親(旦那さん)は色々とやってくれる方でしたか?
A. 色々とやってはくれたんですけど…って感じですかね。
例えば、子どもが悪いことをした時、まず私が怒るんですね。
そして、その出来事を旦那に話すんです。
すると、旦那も正義感からか、それに対して子どもを怒るんです。
子どもからすると、母親に怒られて反省しているのに、今度は父親に同じことで2回怒られるって…と、家族に味方がいなくなってしまうので、「ありがたいけど怒るのはやめて」って言ったことはあります。
Q. 子どものしつけ、「厳しい?甘い?」と聞かれた場合、自分家はどっちだと思いますか?
A. 甘いと思いますね。
『ちょっと言い過ぎちゃったかな?』と思うと、ついついしゃべりかけてしまうなど、どうしても気持ちがぶれてしまうんですよね。
そんなあまあまなしつけなので、子どもとすぐに仲直りはできるんですけど、もうちょっと厳しい・ブレない気持ちを持てばよかったかなとも思いますね。
Q. 子どものしつけで不安なことってありましたか?
A. 不安じゃないときもあれば、不安なときもありましたね。
子どもが6歳の頃、自分の感情で言ってしまった・怒ってしまった時は、その後が不安になりましたね。
「何であんなこと言っちゃったんだろう。何であんな言い方しちゃったんだろう」って。
でも、感情でなく、正論(?)で怒った場合は不安にはなりませんでしたね。
Q. 子どもにしつけは必要だと思いますか?
A. 必要だと思います。
特に最近は、『子どもの好きにやらせたい』という家庭が増えてきていますが、だからといって『しつけはいらない』ということではないと思います。
『いただきます・ごちそうさま・ありがとう・ごめんね』がちゃんと言える。
『嘘をつかない・後ろめたいことをしない』などなど、最低限のしつけをした上で、子どもの好きにやらせる、のびのびと育てるのはいいと思います。
Q. 「子どものしつけがわからない・うまくいかない。もう疲れた」という親御さんに対して、経験した・通ってきた道だからこそ言えるアドバイスを教えてください!
A. 「しつけ、これで良いのか?」と不安に思った時は、直接子どもに確認してみるといいかもしれません。
「今のお母さんは怖かった?」とか、「何で言うか分かる?」とか、なぜ怒ったのか、怒られたのか、子ども自身に聞いてみると、理解しているのかどうかも確認することが出来ます。
あと、自分が「ちょっと言い過ぎたかも」「ちょっと感情で強く当たっちゃったかも」と思った時は、素直に「ごめん。お母さん言い過ぎた」と謝るようにしてください。
日々生活していると、どうしても気分の浮き沈みは出てきてしまうので、時に感情的になってしまうときもあります。
その、感情を出して怒ってしまった時は、素直に謝ることがとっても大切です。
ちなみに私も、子どもに対して、結構謝ってきました(^^;
親子間でも、素直に、そしてすぐに「ありがとう・ごめんなさい」が言えると、結構関係も良好に保てますよ。
先生からのアドバイス
まず、子どもがギャーギャー言っている時は、怒ってもあまり効果がない。
自傷行為や他害行為、物を投げるなどしている場合は止めなければいけないが、止めるときも大声を出して止めるのではなく、淡々と止める。
そして、その状態・周りが見えなくなっている状態が終わるまでの間はそっとしておく。
とりあえず話が聞ける状態になるまでは、危ないことを取り除いた上で待つしかない。
そして、待った上で次は、「なぜそういう行為をしたのか」を確認する。
その時に、子どもがやってしまった行為は、『なぜダメなのかを分からずにしてしまったのか』、それとも、『分かっているのにしてしまったのか』、ということを落ち着いてからしっかり聞き出す。
『なぜダメなのかを分からずにしてしまった』場合は、ただ単に分かっていないということなので、ちゃんと理解できるように説明してあげること。
そして、『分かっているのにしてしまった』場合は、子どもは視野が狭いため、また同じ場面で同じことをやってしまう可能性があるということ。
“人間は分かっているからできることばかりではない”ということを理解してあげる必要がある。
分かっていてもやってしまう子には、「次はできるよ」、「次はこうしてみたら」とアドバイスをするなどして次に繋げて、決して追い詰めない。
「分かっているのに何で出来ないの!」と責めるのは、本人のやる気を削ぐことになるので、”分かっていてもできないことはいくらでもある”ということを理解してあげることがすごく大事。
これが基本です。
でも、子育てをしていると、子どもがいきなり大暴れするときもあります。
その時はどうしてもイラッとしてしまい、怒鳴ってしまうときもあると思います。
そのことを、お父さんやお母さんは、「あ~やってしまった…」と、強く反省したり、落ち込んだりする必要はないです。
100%間違わない、正しいことだけをやれる人間なんていませんから。
もちろん私もそうです。
親である私達も、思わず失敗・やってしまった時は、「ごめん。さっきは言いすぎたね」と、後でちゃんと謝ること。
これも親の見せるべき姿です。
正しいことをすべてできるわけじゃない。
だからこそ、相手に迷惑をかけた時に謝る。
そこが人間として一番大事。
“5回中1回しか失敗しないけど謝らない人”と、”5回中3回失敗してしまうけどしっかり謝る人”。
どちらが人として立派かということを、親が身をもって見せてあげる。
お父さんやお母さんが失敗、思わず怒鳴ってしまうことは、100%ダメなことではない。
気持ちが落ち着いた時に、変なプライドは捨て、子どもに対してちゃんと謝ってください。
そうすると、子どもとうまくやっていけると思います。
でも、”基本”は忘れないでくださいね。
まとめ
私達、しいの木こどもクリニックは、病気を診るのはもちろんですが、それだけではないと考え、小児科医として、そしてかかりつけ医として、親御さんが困っていることに対しても、真剣に向き合ってアドバイスしています。
今回の”子どものしつけ・叱り方”という親御さんの不安・心配事についてもそうです。
子どもさんのためだけでなく、困っている親御さんの力になれることは何なのか、ということも考えながら、実体験を赤裸々にお話させていただいています。
それも、小児科医として、かかりつけ医としての課せられた役割と考えているからです。
子どもさんや親御さんが、どうしたらその問題を乗り越えていけるのかを一緒に考える。
かかりつけ医だからこそできる関わり方を今後も大切にしていきたいと思っています。