最近、テレビを見ていたら
「昔から変わらない、懐かしの味!」
と、老舗の喫茶店が特集されていました。
昔から変わらず味を守り続けるのってとっても大変だし、すばらしいことですよね。
しかし、そうやって変わらないことに価値があるものもあれば、医療や子育ての常識・当たり前は変わり続けています。
「おばあちゃん・おじいちゃん世代では◯◯だったけど、今は□□で…」
なんて話、よくありますよね。
それを受け入れてくれる祖父母ばかりではないため、
「時々(祖父母と)意見がぶつかって…」
という話をたまに聞きます。
祖父母世代の知恵や経験が役に立つこともあるので、なかなか難しいところでもあります。
そこで今回は、病気の予防方法や対応・治療方法の、今と昔の違いについてお話していきます。
今と昔ではこんなに違いが!
まずは、『病気の予防』についてです。
昔は、『病気にかかったほうが免疫がしっかりつくから、病気になった子と接触させてうつしてもらう』という考え方が多くて、私の子どもの頃(30年くらい前)も、友達がおたふくかぜにかかったと聞いたら、あえて会いに行かされてました。
ですが今は、『重症化や合併症のリスクがあるので、予防接種を受けて免疫をつける』という考えが主流になっています。
もちろん、予防接種自体も副反応などのリスクもありますが、重症化や合併症のリスクの方がはるかに大きいため、予防接種で予防できる病気は、予防接種を受けてもらうことをおすすめしています。
次に、『発熱時の対応』についてです。
昔は、『汗をかくと熱が下がるので、温かくして汗をかかせたほうがいい』と言われ、熱が出たときは、服や布団などでとにかく温かくしていました。
ですがこれは間違いで、“汗をかいたら熱が下がるのではなく、熱が下がるときに汗をかく”、というのが正しいため、熱のある時は、『子どもが寒そうにしていたり、手足が冷たかったりした時は温めて、子どもが暑そうにしていたり、手足が温かかったりしたときは冷やす』というのが正しい対応になります。
熱が高くても、寒そうにしている時は、無理に冷やさなくても大丈夫です。
私たち大人でも、寒気がひどい時に、保冷剤や冷却シートで冷やされたら嫌ですよね。
それと同じです。
次に、『けいれん時の対応』についてです。
熱が高いと、熱性けいれんを起こす場合もあります。
その場合、昔は、『舌を噛むといけないので、箸などを噛ませる』という対応がよくされて(聞かれて)いましたが、今は、『嘔吐した時に、吐いたもので窒息しないように顔を横に向ける』という対応をしてください。
子どもがけいれんを起こして、力が入っている様子を見ると、心配になってしまう気持ちもわかります。
しかし、けいれんを起こしている時に、ゆすったり声をかけたりすると、その刺激でけいれんの時間が伸びてしまいます。
そのため、なるべく刺激せず、様子を見るのが最善の方法となります。
いまだに、あの何もできない時間は私も苦手です。
次に、病気の治療、『喘息』についてです。
昔は、『大人になっても喘息が治らない』と思われていたので、お子さんが喘息と言われると、ショックを受ける祖父母の方もいました。
しかし今は、『大きな発作が起こらないようにコントロールをしていけば、成長すると体質が変わって治ることが多い』と言われています。
ただ、大きな発作を何回も繰り返してしまうと、大人になっても喘息の体質が治らないこともあります。
昔は、喘息発作がおきないようにコントロールする薬がなかったので、運が良ければ(大きな発作を起こすことが少なければ)治る、みたいな感じでした。
余談ですが、おじいちゃんやおばあちゃんと「子どもが喘息で…」という話をすると、必ずと言っていいほど
「それなら水泳を習わせないと!」
という話になります。
おじいちゃんやおばあちゃんからすると、
『喘息はコントロールできない!』
『喘息は、子どもによっては1ヶ月に1回入院しなければいけないほど大変!』
『心肺機能を上げれば、喘息で苦しくても耐えられ、入院まではしなくていい!』
『心肺機能を上げるには水泳を習わせるのが一番!』
という考えから、「水泳を!」という話が出てくるようです。
しかし今は、コントロールする薬があるので、咳がひどい・続くという時は、病院を受診して、その時の発作を良くする。
また、喘息と診断された時には、医師の指示通りしっかりと薬を使う、と、子どものうちに喘息を治す方法があります。
『そんなに毎日薬を飲ませて…』なんて思う祖父母の方もいるかもしれません。
しかし、発作が起きないようにするための薬なので、毎日しっかりと内服を続けていくことが大切になります。
また、喘息は、検査してわかるものではないので、かかりつけ医を決めて、発作の情報を集約していくことが大切になります。
次に、『食物アレルギー』についてです。
昔は、今ほど情報がなかったということもあり、『食べ物のアレルギーなんて多くない』『食べていればそのうち治る』なんて思われていました。
そのため、「なかなか周りの理解が得られなくて…」という方もいらっしゃったと思います。
しかし今は、食物アレルギーを持つお子さんは大勢います。
そのため、『医師の指示のもとで食べすすめていって治療をする』という方法もあります。
しかしこの、『医師の指導のもと~』が抜けて伝わっているようで、『食べれば治る』と思っている方が一部みえるようなんですが、これは絶対にやめてください!
というのもアレルギーは、アナフィラキシー症状などを起こすこともあるため、とっても危険なんです!
これは子どもの命に関わることなので、祖父母にもちゃんと理解してもらうようにしましょう。
最後に、『ステロイドの薬の使用』についてです。
昔は、『ステロイドには副作用もあって怖い薬』なんて思われていましたが、今は、『正しい使い方で、決められた期間の使用をしていれば副作用は起こらない』ということがわかっています。
医師や薬剤師の指導のもと、正しい使用を心がけましょう。
まとめ
祖父母は祖父母なりに、『孫のことを思って、自分たちの知識や経験を活かし、やれることをやっているだけ』です。
ただ、知識や経験が現在の常識・当たり前についてきていないだけなので、そこを伝えてあげればいいんです。(って、これが難しいんですけどね…。)
最近では、祖父母世代にむけた育児冊子などを作成する自治体もありますが、まだまだ一般的に普及はしていません。
それがもっと広まって、祖父母世代の知識がアップデートされると、よりよい子育て環境が構築されていくのではと思います。
あと、祖父母だけでなく、私達親も知識をアップデートしていかなければいけません。
それには、ネットやママ友たちの情報を集めるだけでなく、医師や保育士など、その道の専門家に聞くことが大事ですよ。