「子どもが薬を飲まないんです」
「薬を飲んだと思ったら、すぐに吐き出しちゃうんです」
と、”子ども×薬”は、多くのお母さん方にとって、悩みの種なんじゃないでしょうか。
私も子どもが小さい頃、なかなか薬を飲んでくれなかったので、ゼリーに混ぜたりして、騙して無理やり飲ませていました。
他にも色々と試行錯誤し、今思えば、結構NGな飲ませ方をしちゃってたものです(^^;
今回は、子どもに薬を無理やり飲ませてはいけない理由と、子どもに薬を飲ませるコツ・方法についてお話していきます。
子どもに薬を無理やり飲ませるのはNG!
「早く子どもの病気を治すために、しっかりと薬を飲ませなきゃ!」
という親の思いとは裏腹に、大抵の子どもは薬を飲むのを嫌がります。
そこで、多くの親御さんは、”薬を食べ物や飲み物に混ぜて、騙して無理やり飲ませる”という手段に出ます。
私もそうでした(^^;
うちの子は大丈夫だったんですが、敏感な子、五感が鋭い子は、ちょっとした味の違いやにおい、舌触りの変化に気づいて、「ペーッ」と吐き出してしまうこともあります。
そうなってしまうと今度は、その食べ物・飲み物を嫌いになってしまい、食べなく(飲まなく)なってしまいます。
それが更にエスカレートすると、その騙して食べさせた・飲ませた人からの食べ物や飲み物を、一切受け付けなくなってしまうという事態にも。
そういったことを防ぐためにも、“薬を食べ物や飲み物に混ぜて、騙して無理やり飲ませる”ということはやらないようにしましょう。
「じゃあ、薬を嫌がる子どもに、どうやって飲ませればいいの?子どもに薬を飲ませるコツとか方法って何かあるの?」
って思いますよね。
子どもに薬を飲ませる方法としては、”薬を飲まないとどうなるのかをしっかりと説明し、子ども自身に選択させる”というのポイントです。
子どもは、”なぜ苦い薬を我慢して飲まなければいけないのか?”という、その薬を飲む理由がわかっていないため拒絶するんです。
これは、子ども・大人関係なく、また、薬以外のことでもそうです。
例として、”なぜ、インフルエンザの予防接種をするのか”ということについてお話していきます。
目の前の、”注射をする”ということだけを見ると嫌ですよね。
しかし、注射をすることによって、インフルエンザによる重症化を防ぐことが出来ます。
この”重症化”ですが、子どもの場合は特に、”中耳炎”や”熱性けいれん”、更には”急性脳症”などになる可能性が高くなります。
注射をしないという目の前の痛みを避けることによって、大病にかかる恐れが出てくるんです。
でも、そんなことを子どもに言ってもわからないので、子どもには
「もし、注射をしなかったら、病気になって、ひどくなったら入院しなければいけなくなるよ。頑張ってやったら、いつでもお友達と遊べるよ。病気になって、痛い思いをするのはあなただけど、でも、お母さんはちゃんと寄り添ってあげるからね。お母さんは、あなたがどっちを選んだとしても、入院になったらちゃんとついてあげるし、そばに居てあげるし、あなたの選択したことによって出てくる結果については、一緒にちゃんと受け止めて、ちゃんとしてあげるからね。だからきっちりあなたが考えたらいいんだからね」
と、子どもに選択肢を与えたあと、しっかりと子どもに寄り添ってあげることが大切です。
このように伝えると子どもは、
「お母さんが押し付けているわけではない。もし薬を飲まなくて(注射を打たなくて)入院になったら、私は痛い思いをするけれど、でもそばでお母さんが支えてくれる」
と、このように感じます。
すると大抵の子どもは、自然と薬を飲む(注射を打つ)という選択をします。
ただ選択肢を与えるだけだと、
「お母さんは薬を飲んでほしい(予防接種を打ってほしい)からそういう説明をしてるんじゃないの?」
と、子どもは思ってしまいます。
子どもを説得するのではなく、子どもに納得してもらうことが大切です。
また、
「うちの子、まだ小さいけど、話してわかるの?」
と、思うお母さんもいるかもしれません。
しかし、子どもって、大人が思っているよりもいろんなことを理解して、考える力を持っているんです。
「話してもきっとわからないだろうから話さない」ではなく、「まだわからないかもしれないけど話してみよう」というスタンスで子どもと向き合ってくださいね。
あと、病院で予防接種(注射)をする場合、
「何もしないよ」
と、騙して病院に連れて行くのもやめてください。
「痛くないよ」
「すぐ終わるよ」
というのもダメです。
“痛い・痛くない”や、”すぐ・すぐじゃない”は、子どもが判断することなので、”痛かったら嘘つかれた”、”すぐじゃなかったら嘘つかれた”と、子どもは思ってしまいます。
そうなると、子どもは”病院=注射をする嫌なところ”と思うようになってしまい、注射をしない場合でも、病院に行きたくない!となってしまいます。
これらのことに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
薬も注射も
「何で薬を飲まなきゃいけないの?」
「何で注射をしなきゃいけないの?」
という、子どもの”何で”という疑問に、親としてしっかり答えること。
そして、もし病気になったとしても、ちゃんと見守ってあげるからねということを子どもにしっかりと伝えること。
それらをちゃんと伝えた上で、子どもに納得して選択させるということが大切です。
あと、子どもに対して、”絶対ウソはつかない”ということも忘れないようにしてくださいね。
まとめ
当院・しいの木こどもクリニックの院長先生とスタッフとで色々話をした中で、ぜひこのことはお母さんにも知ってもらいたいと思い、今回はこの記事を書くことにしました。
薬が嫌いな子どもの多くは、薬の”苦味”が嫌いな子がほとんどです。
苦味を余り感じさせないよう、薬をオブラートに包むなどするのもいいですね。
また、子どもに薬を飲ませる手段として、”おくすり飲めたね”というゼリー状のオブラートもあります。
でも、これを使って薬を飲ませる時も、
「今からお薬飲むよ」
と、ちゃんとお薬を飲むということを伝えることを忘れないでくださいね。
「子どもの病気を早く治してあげたい!」
そう、いくら医師やお母さん方が思っていても、治療をする本人(子ども)が頑張らないと、周りの人の力だけではどうにもならないこともあります。
本人が納得して「治療を頑張る!」ということを選択することで初めて、治癒という方向へ向かっていきます。
子ども自らが治療、治癒に向かっていけるように、私達大人がサポート役として出来ることをしていきたいですね。