みなさん、手足口病は夏だけの病気だと思っていませんか?
実は、夏以外の季節も流行する病気なんです。
先日、子どもからうつったというお母さんが当院にいらっしゃり、手には気の毒な程の発疹があり、
「車のハンドルを握るだけでも痛くて辛いんです」
とおっしゃっていました。
今回は手足口病について、手足口病とはどんな病気で、大人にもうつるのかどうか。
そして、子どもからうつらないようにするためにはどうすればいいのか。
また、手足口病にかかった子どもと一緒にお風呂に入っても大丈夫なのかどうかなどについてお話していきます。
手足口病ってどんな病気?大人にもうつるの?お風呂は一緒でも大丈夫?
手足口病とはどんな病気?
まず、手足口病とはいったいどんな病気かというと、発熱、だるさ、のどの痛み、発疹、口の中に水疱(すいほう)ができる”ウイルス感染症”です。
発疹は、赤いぶつぶつから小さな水ぶくれまで様々で、典型的なものは、灰色っぽい水ぶくれのように見えます。
手のひら、足の裏に出ることが多いですが、ひざやひじ、お尻や性器の周りにでることもあります。
場所によっては
「ん?これ、あせもかな?」
と、勘違いする場合もあるので気をつけて下さいね。
また、水ぼうそうと見分けがつきにくいこともあります。
水ぼうそうは感染力がとても強く、隔離が必要な病気のため、他のお子様にうつしてしまわないように、病院へ行ったらまず受付で発疹があることを伝えてください。
手足口病は、口・喉が痛いということで、食欲が低下したり、水分がよく摂れなかったりすることがあります。
そういった子どものSOSのシグナルを敏感に感じとれるように、普段から注意して子どもの様子を見守るということも大切です。
手足口病は、通常は1週間前後で回復するんですが、まれに重症化する場合があるので、
「これ、大丈夫かしら?」
と心配になったら、クリニックを受診し、しっかり医師の診察を受けるようにしましょう。
手足口病って大人にもうつるの?
手足口病は、患者の大半が子どもとはいえ、ウイルスによる病気なので大人もうつります。
あるお父さんは、足の裏にできた発疹が痛くて歩けず、靴下を3枚も履いて会社に出勤したそうです。
子どものお世話をする機会が多いお母さん・お父さんは、日常生活の中で感染する危険性がたくさんあります。
病気の子どもをみている時は、自分のことにおろそかになりがちです。
でも、大人は病気をしていても、子どもの世話や仕事など、やらなければならないことがあり、なるべくならしんどい思いをせず過ごしたいですよね。
主な感染経路を知って、大人の方もしっかり予防していきましょう。
感染経路には、鼻水やよだれ、水ぶくれが破けた時に出る液、便などに触れた時にうつる接触感染と、咳やくしゃみなどでうつる飛沫感染があります。
接触感染は、感染源に触れたあとはもちろん、普段より意識して手洗いを心掛けることで、防げることは多くあります。
その反面、飛沫感染は、子どもがいつ咳やくしゃみをするかわからないので、思いがけない時にうつってしまうこともあるんです。
抱っこしている時にたまたま子どもがくしゃみをし、うつってしまうことも多々あります。
私もそうですが、みなさん”なにか手につく”という『目に見える感染源』には気をつけますが、咳やくしゃみなどで飛んでくる、『目に見えにくい感染源』に対しては、特に家の中では
「うん。これはしょうがないよね。防ぎようがないよね」
と、少し寛容になってしまっていませんか?
子どもと密に接することが多ければ多いほど、接触感染にも気をつけることが大切なのです。
子どもが手足口病の時ぐらいは
「子どもとじかに接したいけどしょうがない。こんな時ぐらいは、家の中でもちゃんとマスクを着けるか」
と、忘れず予防していきましょうね。
お風呂は一緒に入っても大丈夫?
手足口病が大人にもうつると聞くと、子どもが手足口病の時、一緒にお風呂に入ってもいいのか心配ですよね。
答えとしては
「お風呂は一緒に入っていいけれど、ウイルスをもらわないように気を付ける」
と言ったところですね。
タオルを共用したりすることは、物を通じて感染の可能性が非常に高くなりますので避けたほうがいいですね。
また、お風呂そのものが手足口病を悪化させるということはない為、高熱が出ていない限りはお風呂に入っても大丈夫です。
でも、温度が高いとかゆさが強くなってしまう恐れがありますので、温度を上げすぎないように気をつけてください。
手足口病の時は、湯船には浸からず、ぬるめのシャワーで済ますぐらいがちょうどいいですね。
まとめ
手足口病は、予防する為の予防接種や特効薬などはありません。
だからこそ予防するということが大切になってきます。
■オムツを替えた後などには石鹸と流水でしっかり手を洗う。
■マスクを着用する。
■おもちゃを消毒剤(アルコールや塩素系漂白剤など)で滅菌したり、キス、食器の共有などの濃厚な接触は避ける。
こういった日常のちょっとした予防で、手足口病の感染は防げます。
手足口病は、発症1週間目は感染力が非常に強いんですが、症状が治った後も、数週間は人へうつす可能性があります。
特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないためにも、職員と子どもたちが、しっかりと手洗いをするとことが大切ですね。