子どもに全身麻酔をして手術ってリスクとか大丈夫なの?私の体験談

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うちの今4歳の息子は、生後7ヶ月から中耳炎(ちゅうじえん)を繰り返し、月に何回も耳鼻科・小児科に通院していました。

その結果、息子が2歳の時に、耳鼻科の先生から”チュービング”の手術を勧められ、全身麻酔で手術を行うことになりました。

全身麻酔での手術ということもあり、不安が頭の中をグルグル回り、どうすればいいのかかなり悩みました。

この時ばかりは看護師というより、一人の母親として苦悩しましたね。

 

今回は、子どもに全身麻酔をして手術をすることは大丈夫なのか。

その不安やリスクについて、私の体験・経験談をお話してきます。

子どもに全身麻酔をして手術ってリスクとか大丈夫なの?私の経験談

 

中耳炎発症から手術決断までの私の行動や思い

うちの息子は、生後7ヶ月から保育園に通園しているからか、しょっちゅう風邪をひいていました。

そして、その日はやってきました。

 

夜中に突然泣き出し、ぐずぐずして抱っこでしか寝てくれず、何が原因かわからない状態。

普通の夜泣きとは感じが違ったので、翌日にかかりつけ医(当院)を受診したところ、先生より

「中耳炎だね」

との診断。

 

母親としては

「体はどこも悪くないよ。ただの夜泣きだね。心配ないよ」

という言葉を期待していたのでしょうか、ちょっとオロオロしちゃいましたね。

薬をもらい、ホームケアの方法を教えてもらい、そこから息子の中耳炎との戦いが始まりました。

 

今度はしばらくして、保育園のお迎えの時に保育士さんから

「耳から膿みたいなもの(耳垂れ)が出てましたので、一度病院で診てもらってください」

と言われ、今度は耳鼻科を受診しました。

 

そこでの回答は

「中耳炎ですね」

と、かかりつけ医と同じ回答でした。

 

同じように薬をもらい、ホームケアの方法を聞き帰宅。

この時、

「もしかして、これってずっと続くの?」

と、不安に思ったことを思い出します。

 

そして、中耳炎の特徴として、上記の”耳垂れ”以外に、”熱がなかなか下がらない”というのがあります。

うちの場合もこれに該当し、

「熱があるからお迎えに来てください」

と、何度言われたことか…。

 

その度に耳鼻科に通院。

「鼓膜の検査しますね」

「鼓膜の撮影しますね(胃カメラみたいな感じのチューブの先にカメラがついてるのを耳に挿入)」

と、何回も検査して、どれだけ薬を飲み続けたことか。

 

当院・しいの木こどもクリニックがかかりつけ医なので、耳鼻科に行く度に、当院の先生に

「また息子が中耳炎になったんです…」

と、何度報告したことか。

 

その度に先生は、

「中耳炎になりやすい鼻腔内の形(鼻の中・奥の形)があるからね」

と、フォローしてくれたり

「またなんだね…」

と、私と気持ちを共有してくれたりしました。

 

そして、中耳炎を何度も繰り返しながらも、月日は流れて息子は2歳に。

言葉も少しずつ話せるようになり、中耳炎になると

「耳が痛い!」

と、泣き叫ぶこともありました。

 

さすがになんとかしなくてはと思い、耳鼻科で治療方法を聞くと、

「膿がたまってるので切開が必要です。○○君は何回も中耳炎になり、鼓膜が薄くなり、鼓膜の内側の骨が透けて見えます。このまま中耳炎を繰り返すと、中学になるころには難聴になる可能性も出てきます。チュービングと言って、鼓膜にチューブを入れて中耳炎を改善するための手術を、耳管の機能をよくするためにもやったほうがいいかもしれないね。もう少し大きい子ならここで局部麻酔で手術できるけど、小さいから全身麻酔での適応(手術)になる。このぐらいの子に局所麻酔をすると、手術中に動いてしまって危なかったりするからね。大きい病院を紹介するので、また受診の際に聞いてください」

と言われました。

 

「ぜ、全身麻酔!しゅ、手術!」

正直、あまりにも突然のことでびっくりしました。

 

看護師でも耳鼻科経験がないということもあり、手術に踏み切る為に、すぐさまネットで検索。

「全身麻酔 子ども リスク ・・・」

 

調べたのはいいが、調べれば調べるほど怖くなり、不安になることばかり。

というのも、こういう時って、どうしてもマイナスなイメージのほうが目についちゃうんですよね。

調べれば調べるほど、見れば見るほど、

「どうしたら子どもにとって最善を尽くしてあげられるんだろう?」

と、頭の中をいろんな思いや考えがグルグルしてしまい、調べた後はなんだかよくわからなくなってしまいましたね。

 

そして、旦那さんに相談したら、

「看護師としての考えでどう思う?」

と、逆に質問。

 

私が看護師ということもあるので、旦那さんが質問する気持ちもわからなくはないんですが、正直

「いやいや、看護師でも分野が違うから…」

と言いたい気持ちをグッと抑え、旦那さんが不安にならないように受け答えをしてました。

 

あと、母親が不安になれば、子どもにも不安を与えてしまうので、子どもの前では常に平常心を保ってましたね。

自分では平常心を保っていたつもりですが、周りから見て保てていたかどうかはわかりませんが(^^;

 

かといって、ネットで調べて同じ状況下にある母親の意見を読んでも、実際に聞いたわけではないので、不安は消えませんでした。

「リスクはゼロとは言えないだろうな」

「副作用はあるのかな」

「意識は戻ってちゃんと麻酔から覚めるかな」

などなど、いろいろマイナスに考えてしまい、不安は募るばかりでした。

 

日本小児麻酔学会のHPに、

3.局部麻酔と全身麻酔の違いは?
手術には局部の痛みをとるだけで十分な場所もありますが、子供さんの場合は痛みがなければじっとがまんできるというものでもありません。そこで、全身麻酔が必要となる場合が多いのです。 そして麻酔とは、単に痛みをとる以上に、患者さんの全身状態を最善に保つさまざまな処置も含んでいるのです。全身麻酔の場合、麻酔を専門に行う医師が必ずつきそい、安全が保証されます。しかし局部麻酔の場合は、検査や手術をする医師がついでに行なう場合が多くなりますので、自分の訴えが上手にできない小児では全身麻酔の方が好ましい場合が多いのです。

 

10.全身麻酔による副作用について
たしかに麻酔による死亡が全く無いという訳ではありませんのでご心配も無理のないことです。しかし、麻酔を専門とする医師のいる私どものような病院でのこうした事故は、交通事故による死亡事故の頻度(約1万人に1人)よりもはるかに少ないのです。

実際、日本でいちばん始めの小児医療専門施設の(旧)国立小児病院の麻酔科では、開設以来35年間に8万例を越すお子様が全身麻酔を受けましたが、幸い全身麻酔による事故死は全くありませんでした。まして、麻酔によって頭が変になったなどということは聞いたことがありません。

麻酔専門の医師がいて麻酔による大きな事故が今までに無かったからといって、全身麻酔に危険性が絶対にないとは断言できません。感染が潜んでいたりお子様の体質やその時の状態によっては麻酔が与える影響が大きく、危険な状態に陥る可能性や入院が長びくことが無いとも言えません。それ故、麻酔をかける前に十分な診察や検査をして、お子様の全身状態を知る必要があるのです。このためには、お母様方が日頃より知り尽くしているお子様の特徴をなるべくたくさん、どんな些細なことでも教えてください。お母様、お父様、そして時には親戚の方々の麻酔や手術の事を話していただくことも大切なのです。

こうした細かい配慮と、あらゆる事態に対処できる麻酔科医、外科医及び、看護婦とが協力して、危険な状態を避けたり切り抜けることが可能となります。

日本小児麻酔学会

と書いてありました。

 

言ってることは

「うんうん。なるほどなるほど」

と思うところもあるんですが、正直、不安要素が完全になくなるものではなかったです。

 

そんな中、わが子と同じように全身麻酔を受けた、看護師のママ友の話を聞くことができたんです。

その看護師のママ友は

「リスクはないとは言えないけど、それが子どもにとって確実に大事なことなら、全身麻酔の手術に踏み切るべき」

と、背中を押してくれました。

 

また、かかりつけ医でもある、当院の先生にも相談したところ、

「全身麻酔を怖いって言うけど、送り迎えとかで普通に子どもを車に乗せるよね。頻度からいえば、いくら子どもをチャイルドシートに乗せたとしても、もらい事故とかもあるから、事故して、その子が怪我や命が…ってなることの確率のほうがよっぽど高い。それなのに車に乗る、子どもを車に乗せるのは、車に乗る・乗せるメリットが、事故に合うリスク・デメリットよりずっとずっと上回るから皆目をつむっている。今回もそれと同じ。必要性とリスクを考えた時、必要性がかなり上回っているのに躊躇したり、やらないというのは論理的におかしい。僕はこの手術についても、全身麻酔が怖いかどうかということよりも、全身麻酔をして手術をすることが、手術をしないことで出てくる障害・リスクを上回ると考えればやるべきだと思うよ」

と、これまた力強く背中を押してくれました。

 

そして、耳鼻科の先生から言われた

「局所麻酔では動いてしまい、反対に危ないから…」

という言葉を思い出し、

「全身麻酔のリスクが低いのに怯えててどうする!将来、難聴になるかもしれないほうがリスクじゃないか」

と思うようになり、ついに手術を決断しました。

手術決断から手術後までの私の行動や思い

手術を決断したものの、まだ不安が残る私。

親なら皆、同じ気持ちになると思います。

 

そこで、またまた看護師のママ友に相談することに。

すると、

「私も同じように悩んだけど、子どものことを考えて手術したよ。不安なら、麻酔科医や手術してもらう先生に、しっかりいろいろ質問したらいいよ」

というアドバイス。

 

「た、確かに…」

と、その時の私がすんなりと納得できる、的確なアドバイスをくれました。

 

そして、最後の一押しをしてもらいたく、かかりつけ医である、当院の先生に相談したところ

「今まで○○くんが中耳炎になった回数を考え、また、今後、難聴になるリスクを考えたら手術はすべき。大丈夫だよ!」

と言われ、心に余裕ができましたね。

 

というのも、先生には常に息子のことで相談し、診察もしてもらっているかかりつけ医であること。

また、患者さんのことをしっかり考え、子どものことだけでなく、看病する家族のことまで考えて診察をしている姿を見ていること。

そして、子どもの病気のことなどに対しての不安を少しでも軽減できるように、不安な患者さんに対しては、とことん話をする姿を見ていること。

そういった姿を、看護師として、また、母親としての立場から見て、信頼してるからこそ、先生の一言で安心・心に余裕ができたのだと思います。

 

そして、心を決め、紹介された病院を受診しました。

 

そこでもチュービング手術の方法や、全身麻酔について、麻酔科医ともしっかりいろいろな話を聞いて、手術に踏み切ることができました。

少しでもリスクが減るように、万全の体調で手術に望めるように体調を管理し、手術担当医や麻酔科医に、しっかりわが子の情報を提供し、全身麻酔で手術をしました。

 

今回は、看護師として、私の知らない分野での病気や全身麻酔での手術でした。

正直、不安なことばかりでしたが、手術内容は違うものの、看護師のママ友からの情報や、先生に相談したことでかなり不安が軽減しました

ホント、経験者やその道の人にじかに聞くことの大切さを痛感しました。

 

結果としては手術も無事終了し、めでたしめでたしなんですが、実際、一番大変だったのは入院生活でした。

 

入院は手術の前日で、もちろん大部屋(4人部屋)。

2歳という年齢もあり、なかなか静かにすることができず、元気すぎてベットでピョンピョン(ーー;

絵本を読んでもキャッキャキャッキャと声を出し、同じ部屋の子どもは静かに休むことが出来ない状態。

そのため、入院初日は、部屋の前の面談のソファーでごはん以外は過ごしてましたね。

って、確か退院日もそんな感じだったような( ̄▽ ̄;

 

で、元気な時はまだよかった(?)んですが、大変だったのは麻酔から覚めた後です。

これは、事前に看護師のママ友から聞いていたので構えてはいたのですが、想像以上に大変でした。

 

当院の先生も

「麻酔から覚めるときは、ふわ~んとした感覚になり、その状況が飲み込めなくて暴れる子がほとんど」

と言っていました。

うちの子ももれなくそうなりました。

 

点滴してるために手が固定されており、それが不快だったのか、自己抜針しようと大暴れ。

制止しようと抱っこするも、反り返り嫌がる状況。

それが1時間近く続き、疲れと麻酔もまだ残っていたのか、最終的には少し寝てしまい、起きた時には落ち着いてくれましたが、母親の私はかなりの疲労でした。

 

うちと同じように、小さいお子さんが全身麻酔で手術をする場合は、麻酔から覚めた後に注意してくださいね。

構えておくだけで気持ちに余裕ができますからね。

【中耳炎とはどんな病気?何が原因でかかるの?】

まとめ

手術の時に

「たくさん膿がたまっており、チューブ入れることでたくさん膿が出てきました」

と聞きましたが、その後、耳の中に残ってた膿でチューブは押し出されてしまい、結局手術後、1ヶ月位で抜けてしまいました。

でも、その後は1回も中耳炎になることなく、現在も過ごしています。

 

子育てをする上で、病気だけではなく、子育てでも悩みごとはいろいろ出てくるものです。

そんな時、

「何をすればいいの?どうしたらいいの?」

と、考えても考えても迷うことってあります。

今どきは、すぐにネットで調べてしまうことがほとんです。

そして、今回の私のように、マイナスなイメージに取り憑かれてしまう人も多いんじゃないでしょうか。

 

私には、高校生から4歳までの3人の子どもがいますが、悩みは様々です。

かといって、母親が不安な顔をしていると、子どもも不安になります。

子どもって、私達が思っている以上に敏感ですからね。

 

不安や悩みがある時は、今回の私のように、かかりつけ医に相談しましょう。

はじめての先生より、かかりつけ医・信頼できる先生のほうが、なんでも相談しやすくないですか?

また、実はその逆もあるんです。

 

かかりつけ医としてくれていると、先生の方も患者(親御)さんに対してなんでも言いやすいんです。

というのも、かかりつけ医は、その子の状態を、その時その時と、長く見続けているため、状況が判断しやすく、的確な解決策・アドバイスがしやすいんです。

このように、かかりつけ医を持つことは、医師・患者、双方にとってメリットがあるんです。

 

悩みがあっても、かかりつけ医を持っていないと

「どこに相談しよう」

となってしまい、結果、不安な状態・悩みが解決されない状態が長く続いてしまいます。

そういったことを防ぐためにも、いつでもどんなときにでも相談できる、かかりつけ医を持つことをおすすめします。

【かかりつけ医で予防接種や診察を行うことのメリットって?】