解熱剤は座薬と飲み薬で効果に違いはあるの?座薬の入れ方は?

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子どもが熱を出した時、クリニックを受診すると、解熱剤を処方されることが多いと思います。

解熱剤は、『座薬』と『飲み薬(内服)』から選択できるので、

「解熱剤、座薬と飲み薬(内服)、どっちがいいですか?」

と、薬の処方時に聞かれるかと思います。

この時、他院でもそうだと思うんですが、当院・しいの木こどもクリニックでも、

「座薬と飲み薬、どっちがいいんですか?」

「座薬と飲み薬って効果に違いはあるんですか?」

という質問をよく耳にします。

特に初めてのお子さんの場合、使ったことのない物をいきなり「どっちがいい?」と聞かれても、どっちがいいかわからないですよね。

また、飲み薬ではなく座薬の場合、なんとなくお尻に入れるということは分かっていても、どうやって入れたらいいかってなかなかわからないですよね。

ちなみに余談ですが、座薬を『立ってじゃなくて、座って飲んだ』とか、

「お尻に入れてください」

を聞き間違えたのか、

「お汁(飲み物)に入れて飲んだ」

など、え~、多くはご年配の方の話らしいので、小児科ではよっぽど大丈夫だと思いますが、このようななかなかびっくりするような間違いを私も聞いたことがあります(^^;

そこで今回は、解熱剤は座薬と飲み薬(内服)で、効果に違いはあるのか。

また、どっちがいいのか。

そして、、座薬の入れ方や、入れる時のちょっとしたコツについてお話ししていきますね。

解熱剤って座薬と飲み薬で効果に違いはあるの?座薬の入れ方や入れるコツって?

解熱剤は座薬と飲み薬(内服)で効果に違いはあるの?どっちがいいの?

解熱剤の座薬と飲み薬(内服)、その効果の違いですが、簡潔に言ってしまうと、大きな違いはありません。

小児科でよく処方される解熱剤、『アセトアミノフェン(薬品名:アンヒバ[座薬]、カロナール[飲み薬]など)』は、薬を使ってから効果が出るまでの時間や、効果が切れてくる時間に差はないということが研究で分かっています。

そのため、「座薬の方がよく効く」と昔よく言われていましたが、そうではない、違いはない、ということになります。

私の母もよくそう言っていたので、祖父母世代だと、そう思っている方は結構多いのではないかと思います。

そうなってくると、『じゃあ、座薬と飲み薬、どっちがいいの?」って、また更に悩んじゃいますよね。

そこで、解熱剤の座薬と飲み薬の違いについてお話しますね。

座薬は、先ほどお伝えした通り、お尻から入れる薬になります。

飲み薬は、体重が20kg以上になれば、錠剤も選べますが、それ以下の場合は粉薬になります。

この粉薬、ちょっと苦味があるので、苦いのが苦手な子に飲ませるのは大変かもしれません。

座薬、飲み薬とも、体重によって薬の量が変わってくるので、問診時にお子さんの体重を伝える形になります。

また、お子さんの体重が分からない場合はその時に測定します。

解熱剤ですが、子どもがまだ赤ちゃんの場合は、飲み薬だと苦くて飲んでくれないこともあるので、座薬の方がおすすめです。

座薬をお尻に入れた時、赤ちゃんが嫌そうにするかもしれませんが、注射と同じで、痛いと感じるのは一瞬だけです。

もう少し大きくなった子どもの場合は、子どもの得意な方を選ぶようにしましょう。

「うちの子、薬飲むのは全然平気みたい」

という場合は飲み薬を。

「うちの子、薬が大嫌いで、全然飲んでくれない」

という場合は座薬をと、お子さんの得意・不得意によって、座薬か飲むタイプかを選んでもらえればと思います。

そして、子どもが更に大きくなった場合は、座薬を嫌がる子が多くなってきますので、その時は、座薬か飲み薬のどちらがいいか、本人に選んでもらうのがいいですね。

あと、解熱剤は、子どものその時の胃腸症状の有無によってもどっちがいいかは変わってきます。

座薬は、下痢がひどい場合、便と一緒に出てきてしまうかもしれません。

また、飲み薬は、嘔吐症状がある場合、飲み薬を飲んでも吐いてしまうかもしれません。

このように、胃腸症状がある場合は、その時々に応じて使い分けることが大切です。

あと、まれに座薬と飲み薬の両方を使う方もみえますが、座薬も飲み薬も薬の成分は同じなので、どちらも使用してから8時間以上空けて使うようにしてください。

また、小さい子こどもの場合、たまに、

「飲み薬も座薬もどっちも嫌だ!」

っていう子がいます(^^;

そういう時は、”座薬を強引に入れる”という手もありかなと個人的には思います。

解熱剤を使う時って、基本的に子どもはぐったりしている状態ですからね。

でも、解熱剤は絶対使わなければいけないというわけではありません。

解熱剤は一時的に熱を下げるだけで、病気を治すものではありません。

解熱剤を使わなくても病気は治ります。

しかし、解熱剤を使うことによって一時的に熱が下がり、子どもは楽になります。

子どもが嫌がるから解熱剤を使わないというのはダメですが、絶対解熱剤を使わなければいけないということはありませんので、不安・心配な方は、問診時に医師に相談してください。

座薬の入れ方って?

座薬の入れ方ですが、簡単に言うと、『先の細い方から、ある程度奥まで入れて、しばらくはお尻を押さえておく』です。

座薬って、実際見てもらうとわかるのですが、先の細くなっている方と、そうでない方があります。

先ほどお伝えした通り、解熱剤はお子さんの体重によって量が変わってくるので、体重によっては『半分を使用する』『2/3を使用する』と、薬の袋に書かれている場合があります。

解熱剤の座薬は、薬の量が2種類しかないため、どうしてもそんな感じになってしまうんです。

『でも、2/3ってどうやって使えばいいの?』って思いますよね。

その場合は、先の細くなってない方を、個包装のまま、ハサミやカッターで切ってください。

座薬は、体温などに反応して溶けていくので、個包装のままで切るようにしてください。

そして、薬の準備ができたら、先の細くなっている方からお尻の穴に入れていきます。

この時、そのまま入れると摩擦があって痛い場合があるので、ワセリンやオリーブオイルなどを先端に塗ったり、先端の方を体温で少し溶かしてから入れるとスムーズに入りますよ。

そして、ある程度奥までぐっと、しっかりと座薬を入れます。

座薬が少ししかお尻に入っていないと、力んだときに出てきてしまうことがあるので、ある程度奥まで入れてくださいね。

『ある程度奥までってどこらへん?』って最初は思うかもしれませんが、なんとなく抵抗感がなくなって『あれ?入ったかも?』みたいな感覚を皆さん持つみたいですので、そんなに心配されなくても大丈夫かと思います。

また、座薬を奥まで入れても、本人が抵抗して出そうとすると、せっかく入れたのに出てきてしまう場合があるので、そんな時は、お尻の穴を押さえておくか、お尻のお肉を寄せてお尻の穴をふさぐ感じで、すぐに出てこないよう押さえておくといいですよ。

その時間は、だいたい、5分~10分くらいですかね。

でも、途中でお子さんが抵抗しなくなったら、もっと短くても大丈夫です。

もし、座薬を入れて10分以内にうんちをしてしまった場合は、座薬が一緒に出てきてないか確認してください。

そして、座薬の形がしっかりと残っているようなら、もう一度座薬を入れてください。

溶けてなくなっているようなら、ちゃんと吸収されているので、入れなくても大丈夫です。

また、微妙に残っている場合は、もう一個座薬を入れてしまうと、薬の量が過剰になってしまうので、入れないようにしてください。

座薬。

最初入れるときは戸惑うかもしれませんが、そのうちというかすぐに慣れます(^^)

座薬は、『先の細い方からある程度奥まで入れて、しばらくお尻を押さえておく』というポイントというかコツだけ覚えておいてくださいね。

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まとめ

今回、解熱剤について、『飲み薬と座薬の違い』や、『座薬の入れ方』など、普段よく聞かれる質問についてお話していきました。

解熱剤は、座薬でも飲み薬でも、本人やお母さんたちの使いやすい方を選んでもらって大丈夫です。

また、解熱剤は、絶対に使わないといけないというものではありません。

今回お話させていただいたのは、

『解熱剤は座薬・飲み薬、どっちがいいのか』

『解熱剤は座薬・飲み薬で効果は違うのか』

『座薬はどうやって入れるのか』

などでしたが、初めての子育ての場合、とにかく様々な”初めての壁”にぶつかります。

その壁を、歯を食いしばって一人で乗り越えるのもいいですが、周りに頼れる人・頼れるところがあったら頼ってください。

もちろん、クリニック(小児科)も頼れるところの一つです。

気になることや聞きたいこと、不安なことや心配なことは、診察時に相談・質問してくださいね。

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