体調管理に気を遣うこの頃。
喉が痛かったり、違和感を感じたりすると、腫れたりしていないか心配で、鏡で自分の喉を見たりしませんか?
私は、違和感を感じたらすぐにやっちゃってます(^^;
また、自分ではやらなくても、子どもが
「喉が痛い~」
と言った時に、子どもの喉をなんとな~く見てみる、という親御さんもいるのではないでしょうか。
すると、
「あれ?うちの子、喉の奥が腫れてない?」
「ん?なんかコブみたいなのがあるような…」
と、違和感に気づく親御さんもいらっしゃるかと思います。
多くの場合、それは『扁桃腺(へんとうせん)』が腫れているんです。
「扁桃腺…。名前は聞いたことがあるけど、扁桃腺って一体何?」
「扁桃腺ってどんな役割があるの?」
と、扁桃腺について、知らない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、扁桃腺とはどんな役割を持っているのか。
また、扁桃腺が大きいと、何か影響やデメリットがあるのか等、扁桃腺のことについて少しお話ししていきます。
扁桃腺の役割って?大きいと何か影響やデメリットってあるの?
扁桃腺の役割って?
扁桃腺とは、喉の奥(舌の付け根の両側のあたり)にある、コブのようなリンパ組織の事を言います。
喉に入ってきたウイルスや細菌から体を守る、免疫の役割を持っています。
具体的に言うと、喉に入ってきたウイルスや菌を、扁桃腺がキャッチして、気管支や肺など、体の内部にウイルスや菌が入り込まないようにする門番みたいな役割を持っています。
扁桃腺は、キャッチしたウイルスや菌と闘う時に、赤くなったり腫れたりします。
喉が痛いというときの多くは、扁桃腺が戦っている時なんですね。
この時、扁桃腺では炎症が起こっているので、この状態の事を『扁桃腺炎(へんとうせんえん)』と言います。
※扁桃炎(へんとうえん)とも言います。
腫れたり、痛みが出たりすると『何か良くないことが起こってるんじゃないの?』と心配になるかもしれませんが、ウイルスや菌を体に入れないように、扁桃腺が頑張っている証なんですね。
しかし、あまり痛みが続くと、食欲が落ちたり、痛みで十分休めなかったりするので、炎症を抑える薬を使うこともあります。
あまり我慢しすぎず、ちゃんと医師に相談するようにしてくださいね。
扁桃腺が大きいと何か影響やデメリットってあるの?
この扁桃腺ですが、大きさについて、個人差はもちろん、年齢によって、大きくなったり小さくなったりしていきます。
体の他の部分は、年齢を重ねるごとに大きくなっていくものがほとんどですが、扁桃腺については、5~7歳が大きさのピークで、そこから小さくなり、中学生くらいには大人と同じくらいの大きさになります。
もちろん、風邪などの時、扁桃炎になっている時は、普段よりも大きくなります。
そのため、お子さんの喉を見て『ちょっと扁桃腺大きくない!?』と思っても、年齢やその時の体調によって大きさは変わるので、それほど心配しなくても大丈夫です。
扁桃炎の場合、そこの炎症が収まれば大きさも元に戻りますし、5~7歳くらいで扁桃腺が大きいのは一般的なことです。
しかし、風邪などをひいてない時でも扁桃腺が大きかったり、小学校高学年を過ぎても扁桃腺が大きかったりする場合は、少し気にした方がいいかもしれません。
子ども(特に乳幼児)の場合は、まだまだ体の中の免疫反応が未熟なことが多く、ウイルスや菌を体内に入れないようにする、”扁桃腺で食い止める”、という扁桃腺の役割は重要になってきます。
しかし、ある程度の年齢になってくると、体の中の免疫反応も成長するため、扁桃腺だけが頑張らなくてもよくなります。
もともと扁桃腺が大きい子の場合、小さい子と比べると、ウイルスや菌がつきやすく、炎症を起こしやすくなってしまいます。
子どもが小さい(年齢が小さい)うちは大切な免疫反応ですが、大きくなっても風邪をひくたびに扁桃腺が腫れて痛い思いをするというのは、ちょっと子どもがかわいそうですよね。
特に、溶連菌という菌に繰り返し(1年の間に何回も)感染するという場合は、感染するたびに腎炎(じんえん)になるリスクもあるため注意が必要です。
また、普段から扁桃腺が大きいと、扁桃腺によって喉の奥がふさがりやすいという事もあります。
すると、鼻が苦しくて口呼吸になったり、いびきや、ひどい時には睡眠時無呼吸の原因になったりもします。
他にも、ずっと口が開いているので、よだれが出たり、飲み込みづらかったり、食べるのに時間がかかったりという、様々な困った影響も出てきます。
扁桃腺が大きい事が原因で、そういった悪い影響が出てくるようであれば、薬を使ったり、手術で扁桃腺を取ってしまったりという治療を考えた方がいい場合もあります。
“手術”と聞くと、ちょっとドキッとしてしまいますよね。
不安にさせてしまっていたらすみませんm(_ _*)m
しかし、一概に、扁桃腺が大きいからといって、必ずしも手術をしなければならないわけではありません。
先日、院長先生からこのような話を聞きました。
先生が昔担当していた患者さんで、扁桃腺が大きいせいで、毎晩必ず1回は呼吸が苦しくなって目が覚めてしまう、というお子さんがいたそうです。
もちろん、1回の時もあれば2回・3回の時もあったそうで、本当に寝るのが大変・苦痛だったそうです。
そしてその子は、”手術をして扁桃腺を取る”、という選択をしました。
手術後、経過を聞いたところ、
「生まれて初めて1回も起きずに寝られた!」
と本人が嬉しそうに話してくれ、また、ず~~っと心配していた親御さん安心されたとのことでした。
この話を聞いた時、素直に私は手術をして良かったと思いました。
扁桃腺があることのメリットより、扁桃腺が大きいことのデメリットが上回って、本人や家族が困るようなら、解決策として”手術をするという選択肢があるだけ”です。
その子にとって、何が最良の治療方法なのか、家族皆で考えることが大切です。
もし、
「うちの子の場合はどうなんだろう?」
と思うような時は、まずはかかりつけ医の先生に相談・話を聞いてから耳鼻科で相談してみるといいですね。
もちろん、直接耳鼻科に行って相談するのもいいですが、まずは子どもの病気・成長をずっと見てきたかかりつけ医に相談するのがベストだと思いますよ。
まとめ
扁桃腺って、名前は知っているけど、一体何のためにあるのか、その役割までは知らない方が多いではと思い、今回この記事を書くことにしました。
扁桃腺の大きさには個人差がありますし、大きいからといってすぐに悪い影響が出るとは限りません。
扁桃腺に限らず、何か困った事、心配なことがある場合は、新型コロナウイルスが流行しているからといって受診控えをするのではなく、かかりつけ医に相談してくださいね。