同じ予防接種を何回も打たなければいけない理由って?そもそもワクチンってどういうもの?

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私事ですが、先日、実家の引っ越しがありました。

その際、私の母子手帳が出てきました。

ひさ~しぶりに見たということもあり、懐かしいような、逆に新鮮な気持ちで見ていました。

さすがに30年近く前ということもあり、予防接種の記録のページの、まぁ少ないこと少ないこと…(;^ω^)

今は昔と違い、子どもが受けられる予防接種ってたくさんありますよね。

母子手帳の予防接種の記録のページを見たり、届いた接種券を見たりすると、『今はこんなにたくさんあるの!?』と、思わず驚かれるお母さんも多いのではないでしょうか。

また、同じ予防接種(ワクチン)でも、1回目、2回目、3回目、追加接種など、何回も打たなければいけないものもあり、それぞれの接種券を書くのも大変ですよね。

1回目の接種券を何枚も書いて、また次の月には2回目の接種券を何枚も書いて…なんてやっていると、『これ、なんで何回も打たないといけないの?1回で済ませちゃえばいいのに!』って、思わず思っちゃいませんか。

 

そこで今回は、そもそもワクチンとは一体どういうものなのかということについて。

また、予防接種を何回も打たなければいけない理由についてお話していきます。

そもそもワクチンってどういうもの?何回も打たなければいけない理由って?

そもそもワクチンって一体どういうもの?

ワクチンとは、予防接種に使われる薬液の事を言います。

ワクチンは、病気(感染症)の原因となる病原体(菌やウイルス)を、病気を起こさない程度に性質を変えたり、毒素を弱めたりしてくれるものです。

 

現在、子どもで使われているワクチンの作られ方は、大きく分けると2つあります。

 

1つ目は、生ワクチンです。

これは、生きた病原体の病原性を弱めたものです。

これを接種することにより、体の中で病原体増やし、免疫(抗体)を作るというものです。

生ワクチンには、ロタウイルス、BCG、麻疹、風疹、水ぼうそう、おたふくかぜなどがあります。

 

2つ目が、不活化ワクチンです。

これは、免疫(抗体)を作るのに必要な成分を病原体から取り出して、可能な限り毒性をなくしたものです。

不活化ワクチンには、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、四種混合、日本脳炎、インフルエンザなどがあります。

 

ワクチンとは、病気の原因となる病原体の性質を弱めたり、免疫をつけるのに必要な成分だけを取り出したものの事を言います。

同じ予防接種を何回も打たなければいけない理由って?

同じ予防接種を何回も打たなければいけない理由ですが、1回の接種だけでは十分に免疫(抗体)が作られないということから、何回か接種する必要があるんですね。

 

『じゃあ、そこまで弱めなかったら、もっと少ない回数でも免疫がつくんじゃないの?』と思うかもしれません。

しかしそうしてしまうと、今度は毒性が強すぎて、本当に病気にかかった時と同じ状態になってしまうので、病気の予防や重症化の予防という意味がなくなってしまいます。

 

また、副反応についても同じことが言えます。

副反応での発熱や接種部位の腫れは、免疫が作られる過程で起こります。

しかし、この副反応をなくそうとすると、今度は逆に毒性が弱まりすぎてしまい、しっかりと免疫が作られなくなってしまいます。

 

また、予防接種の種類や回数の多さから、『何回も打たなければいけなくて大変だから、1回くらい少なくてもいいんじゃないの?』と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、予防接種は、決められた回数を、ちゃんと受ける事で免疫(抗体)が維持されるものになります。

 

生ワクチンは、1回の接種でほとんどの方に免疫(抗体)が作られることが多いです。

しかし、中には1回ではつかない方もいたり、1回だけでは大人になる頃には免疫(抗体)がなくなってしまう場合もあるため、2回の接種が推奨されています。

子どもに関係するものだと、1歳を過ぎると受けられるMRワクチン(麻疹風疹の混合)や水ぼうそう、おたふくかぜのワクチンがこれに該当します。

水ぼうそうは3か月以上、おたふくかぜは3年から5年、MRは5~6歳(小学校入学前)に2回目の接種が推奨されています。

 

一方、不活化ワクチンは、免疫(抗体)を作るのに必要な成分を取り出したものになるため、1回の接種では、生ワクチンほどは免疫(抗体)が作られません。

そのため、生ワクチンよりも接種する回数がどうしても多くなってしまいます。

 

不活化ワクチンは、初回接種(2~3回)と、追加接種に大きく分かれていることが多くあります。

初回接種(2~3回)で免疫(抗体)を作って、追加接種ではその免疫(抗体)をまた活性化させて効果を延長する、という意味で複数回の接種が必要になってきます。

しかし、生ワクチンほど効果が強くないため、定期接種だけでは免疫の強さ(抗体価)が維持されないという研究もあり、任意接種での追加接種を推奨されているものもあります。
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同じ予防接種を何回も打たなければいけない理由は、予防接種に使われる薬液・ワクチンは、もともとの病原体を弱めたりしたもののため、1回の接種だけでは免疫(抗体)が十分に作られないため、複数回・何回かの接種が必要になるんですね。

そのため、接種の時期や回数は、なるべく決められた通りに行うことをお勧めします。

あと、追加接種などは、受けられる時期になったら早めに接種することもお勧めします。

まとめ

先程、『なるべく決められた通りに行うことをお勧めします』とか『受けられる時期になったら早めに接種することもお勧めします』と書いたのには理由があります。

というのは、2021年4月に、日本脳炎ワクチンの製造メーカーのトラブルで、ワクチンの供給量がかなり不足し、当院でも予約を制限させていただきました。

正直、今後もそういったトラブルが絶対にないとは言い切れません。

 

そのため、接種券の期限ギリギリで追加接種を受けようと予定していると、『ワクチンがなくて受けられない…』なんてことになりかねません。

すると、必要な回数が接種できず、免疫(抗体)が十分につかない…ということになってしまいます。

あとでバタバタしないためにも、受けられる予防接種は早めに接種することをお勧めします。