朝晩はまだ冬の名残はありますが、日中の日差しはだいぶ暖かく感じられるようになってきましたね。
寒いと外出する機会は少なくなりがちですが、少しずつ春が近づくにつれ、子どもと一緒にお散歩したり、遊びに出かけたりと、あちこち外出したくなりますよね。
外出すると、四季折々の景色や川の音、鳥の声や花の香りなど、五感がたくさん刺激されます。
もちろん、家の中でも五感は刺激されます。
しかし、やはり外と比べてしまうと、刺激の量や種類は減ってしまいます。
“視覚”・”聴覚”・”味覚”・”嗅覚”・”触覚”。
この5つからなる五感。
“乳幼児期に五感を刺激することはとても大切“と言われていますが、
「なんとなくは知っているけど…」
「育児本で少し目にしたことはあるけど…」
というように、大切ということは知っていても、「なぜ?」という部分はフワ~っとしている方、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、なぜ乳幼児期に五感を刺激することが大切なのかについて。
そして、乳幼児期に五感を刺激するおすすめの外遊びと、私が外遊びをおすすめする理由についてお話していきます。
なぜ乳幼児期に五感を刺激することが大切なの?
なぜ乳幼児期に五感を刺激することが大切かというと、『産まれてから5歳までが、一番脳が大きく成長・発達する』と考えられているからです。
その、脳が大きく成長・発達する時期に、五感を刺激することで脳に信号が行き脳が発達するので、乳幼児期に五感を刺激することが大切と言われています。
“五感の刺激=脳の発達”と聞くと、
「五感をたくさん刺激して、脳を発達させなきゃ!」
と思ってしまうのと同時に、
「視覚はこれで、聴覚はこれでしょ。味覚はこれで、嗅覚はこれかな?触覚は…。あ~~!なんかもう大変!」
と、ちょっと難しく考えてしまいがちです。
でも、何も難しく考える必要はありません。
子育て経験のある方は、皆さん、普段の生活の中で、十分五感を刺激することに関わっていると思います。
子どもの顔を見たり、あやしたりすることで視覚を。
語りかけることで聴覚を。
母乳やミルク、離乳食などの食事で味覚や嗅覚を。
子どもを抱っこしてあげることで触覚をと、五感の刺激は、赤ちゃんのときから自然と始まっているんです。
産まれたばかりの赤ちゃんは、まだ目もぼやけてるし、言葉もわからないし…と言われる方もいますが、赤ちゃんは五感でしっかりと感じています。
私も保育士だった時は、五感を刺激することはとっても大事なことだと理解していたので、外遊びをたくさんして、体を使ってとにかく思いっきり遊ぶようにしていましたね。
各月や、1日の保育目標の中に、『五感を使って外遊びを楽しもう!』という目標も取り入れていました♪
私が勤めていた保育園の近くには大きな公園があったので、子どもたちに、花だったり虫だったりで季節を感じさせたり、落ちてる木の実や葉っぱ(落ち葉)で季節を感じさせたりしてましたね。
また、外だと、暑い寒い、風が温かい冷たいなど、子どもたちの五感をより多く刺激することができるので、家の中(園の中)で遊ぶよりも、外遊びを重要視していました。
五感を刺激し、脳の発達を促すと、子どもの好奇心も旺盛になります。
また、五感を刺激することで、様々なものを見たときに感じる心や感情といった感受性も豊かになります。
そして、乳幼児期は、たくさんの刺激を与え、いろいろな情報を受け止めさせることにより、健やかな脳が育ちます。
日々の生活で無理ない程度でいいので、子どもの五感、刺激してあげてくださいね。
乳幼児期に五感を刺激するおすすめの外遊びと、私が外遊びをおすすめする理由
乳幼児(子ども)の五感を刺激するにあたり、私がおすすめしたいのは”外遊び”です。
先程も少しお話しましたが、外遊びは家の中より、より多くの刺激を五感に与えることが出来ます。
いくつか外遊びの例をご紹介していきますね。
【斜面あそび】
公園の中や広場にある緩やかな斜面に寝転がり、ゴロゴロ転がり落ちる遊びです。
これ、子どもがキャッキャキャッキャと喜び楽しそうなのはもちろんですが、大人もやってみると意外と楽しいですよ♪
あと、斜面あそびの時は、裸足で芝生の上を歩くといいですよ。
靴や靴下を履いているのと裸足とでは、全然感覚・感じ方が違います。
もちろん、大人も子どもと一緒に裸足になってくださいね♪
ちなみに、私が保育士の時、原っぱに散歩へ行き、歩き始めたぐらいの子どもを脇を抱え、その子を芝生の上に立たせようとしたんですね。
でも、その子は足を下ろさず、空中に上げたままにして、意地でも足を芝生につけようとしませんでした。
これは、その子が初芝生、芝生を体験したことがなく、芝生の最初チクっとした感覚から”芝生=痛いもの”と認識し、拒否しちゃったのかなぁと思いました。
私達大人も、体験したことのない、初体験のことってやっぱり怖いですよね。
でも、2回目、一度安心とわかるとなんともないですよね。
そういったことからも、子どもに色々と体験させることって大事だと思いますよ。
【探索あそび】
公園に行って、ただいろんな物を見つけるという遊びです。
遠くの大きい公園じゃなくても、いつも行っている近くの公園でも探索は十分できます。
季節や天候、気温によって、見つかるものは結構変わってきますよ。
正直、私達大人は、探索(見つけるの)が下手です。
しかし、子どもは色々な物を見つけるのが本当に上手です。
1・2歳児でも
「これは何だろう?」
といろんな物を見つけ、手に取り、不思議そうに見つめます。
そこへ私達大人が
「それは○○だね~」
と声掛けしてあげることで、視覚や触覚、聴覚、物によっては嗅覚、ツツジなどの花だったら味覚も刺激されます。
この、“子どもが不思議だと思う気持ち”が、様々な物事を考える土台となるので、”探索あそび”、してみてくださいね。
【小麦粉粘土あそび(家の中)】
私が保育士の時、雨が降って外へ行けない時にやっていたのが、”小麦粉粘土あそび”です。
小麦粉に適量の水を入れて混ぜれば完成ととっても簡単です♪
油粘土や紙粘土もいいですが、小麦粉粘土は、幼児が誤って口にしても安全なのでおすすめです。
子どもたちは、耳たぶぐらいに柔らかくてビヨーンってしたのが好きでしたね。(←分かりづらい(^^; )
何を作るでもなく、ただ触るだけでもいろいろ楽しめると思います。
子どもがまだそこまで大きくない場合は、代わりに大人が色々と作ってあげるのもいいですね。
上記のような遊びは、五感をフルに使って楽しめる遊びだと思います。
私が外遊びをおすすめするのは、”自然は五感の宝庫”だからです。
“斜面あそび”や”探索あそび”など、自然で遊ぶ、自然を体験することは、五感をフルに使います。
スマホやタブレット、ポータブルゲーム機で遊ぶのもいいですが、一歩外に出てみて、自然の中で思い切り遊んでみると、より五感が刺激されていることがわかると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
最近、少しずつ暖かくなってきて、これから外に出る機会も多くなると思います。
その、外遊びをするときに、”五感が大切”ということを知っていただきたくて、今回この記事を書くことにしました。
「危ないから。怪我するといけないから。汚いから。」
などという理由で、子どもの遊びを制限されている親御さんが昔と比べて多いように感じます。
当院・しいの木こどもクリニックがある岡崎市には、『こども自然遊びの森 わんPark』というところがあります。
そこにある『クモの巣ネット』は、下がネット(ロープ)になっているので、足場が揺れ、とても不安定になります。
足元のネットがクモの巣状なので、足がズボッとハマってしまうこともあります。
しかし、
「どこに足を着けばあまり揺れないのか。どうしたら姿勢が安定するのか」
と、実際にからだを動かし体験することで、子どもは様々な学びを得ます。
そして、
「あそこに右足。そして、あそこに左足。あとは…」
といったように、体験することで、子どもは自分で判断できるようになります。
そして、ゴールに辿り着いた時、
「一人で出来た!やりきった!」
という自信を子どもは持つことが出来ます。
更に、その子どもを褒めることで、子どもの自己肯定感(自己存在感)を高めることも出来ます。
また、公園では、ダンゴムシやバッタ、ミミズにチョウチョ、てんとう虫など、たくさんの虫たちに出会え、生き物に触れることが出来ます。
しかし、親が
「触っちゃダメ!」
と言ったらそこまでです。
子どもたちは、それ以上体験することが出来ません。
このように、親が子どもの遊びを制限すると、子どもは、様々な学び、自発性や創造性などを得る機会を失うことになります。
それは、イコール、”五感を刺激することを制限している”ということになります。
なんでもかんでも制限するのではなく、
「ちょっとこれは…」
というところだけ、一部を制限するぐらいにして、五感を刺激するためにも、子どもを思いっきり遊ばせてあげてください。
家の中では、図鑑や絵本で虫たちを見ることは出来ますが、動いている姿は見れませんし、触れることも出来ません。
五感を刺激するという点でも、外遊びは情報量が全然違います。
暖かくなるこれからの季節。
是非、子どもと一緒に思いっきり外遊びしてくださいね。
p.s.
くれぐれも無理はしないでくださいね。
ここまでしなくても、子どもはちゃんと育っていきますので♪