「先生、うちの子、昼はなんともないんですが、夜になるとよく咳き込むんですよ」
と、たまにこのような相談をされる親御さんがみえます。
実は、我が家の息子達もそうなんです。
昼は普通にしているのに、夜、特に深い時間になると、急に咳き込んで布団に嘔吐するなど、何度も経験しています。
咳き込んで、また、嘔吐してと、そんな辛そうな息子の姿を見ると、
「早くなんとかしてあげたい!」
と思うんですが、なかなかすぐには楽にしてやれず、毎回悪戦苦闘しています。
そこで今回は、なぜ夜になると咳がひどくなるのか、その原因について。
そして、咳が止まらない時の家でできる対処方法や、薬の使い方などをご紹介させていただきます。
夜に咳がひどくなる原因は何?止まらない時の対処方法や薬の使い方
夜になると咳がひどくなる原因って何?
昼間はあまり咳が出ないのに、夜寝るころになると咳の回数が増えてひどくなることってありませんか?
実は、夜に咳の回数が増えるのには、ちゃんとした理由・原因があるんです。
その理由・原因は自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経に分かれ、交感神経は身体を活発に動かすために働く神経で、昼間に働く神経です。
副交感神経はその反対の働きをする神経で、夜に働き、身体をリラックスさせるために働きます。
そこで問題になるのが、副交感神経が働くと、気管や気道が狭くなり、過敏な状態になるということです。
その、過敏な状態にある気管・気道に、鼻水が刺激となり、咳が出てしまうんです。
もっと簡単に言うと、夜になると身体を休めようとする神経が働くため咳が増えてしまうということです。
“夜だけでなく、いつも寝る時に咳がひどくなる”という場合は、アレルギーの恐れもあります。
布団・毛布・タオルケット・シーツ・枕・いつも一緒に抱いて寝ているぬいぐるみなどなど。
汚れはすぐにわかりますが、ほこりやダニなどはパッと見じゃわかりません。
また、お子さんが大事にしているぬいぐるみなどは、洗おうとしても
「ダメーーーーー」
「イヤーーーーー」
「・・・。 ・・・。 ウワーーン」
と、洗おうにもなかなか洗えないですよね(^^;
“夜だけでなく、いつも寝る時に咳がひどくなる”という場合は、一度、お子さんの寝る時の環境を変えてみるといいかもしれませんね。
“いつもじゃなくたまに”という場合、”咳喘息“や”風邪で鼻水が気道に流れ込んでいる“ということが理由・原因として考えられますので、一度小児科を受診することをおすすめします。
家で出来る咳が止まらない時の対処方法
原因が分かったところで、次は、咳が止まらない時の家で出来る対処方法をいくつかご紹介していきますね。
■横になると咳が出やすいので、寝るときに枕やクッションを背中の下に置いて、少し角度をつけた姿勢で寝かせるようにしましょう。
小さいお子さんの場合、縦方向で抱いてあげて、背中をトントンしてあげることも咳を鎮めるよい方法です。
私も、布団に寝かせると咳き込んでしまい、なかなか眠ることが出来ない息子を抱きながらソファーで一晩を過ごす・・・なんてことも、何度か経験があります。
■咳をすることで喉が乾燥するので水分を飲ませてあげましょう。
咳が一旦落ち着いたときに、少しずつ水分を摂らせてください。
冷たい飲み物よりも少し温かい飲み物の方が効果的です。
■部屋を加湿しましょう。
先ほどお話したように、咳をすることで喉が乾燥します。
家に加湿器があれば加湿器を使ってください。
また、家に加湿器がない場合は、濡れタオルを部屋にかけたり、水を入れたコップを置いておくだけでも加湿効果がありますので、冬の乾燥する時期はぜひお試しください。
■1歳以上のお子さんの場合、ハチミツの摂取も咳を鎮める効果があると報告されたアメリカの論文もあります。
思い返してみると、小さいころ、咳が出ているとき、母がハチミツ大根を作ってくれたことを思い出します。
ハチミツを白湯で薄めたものを飲ませるだけでも効果があるそうです。
このように対処法は1つではなく、色々あるので、お子さんにあった方法を試してみてくださいね。
薬の使い方は?
咳が多い場合、よく処方されるお薬に”ホクナリンテープ”など、気管支の拡張効果のあるテープがあります。
使い方としては、基本的には皮膚ならどこに貼っても大丈夫です。
テープを貼った所が赤くなってしまったり、痒みの症状が出てきてしまうなどのトラブルを起こすお子さんがみえるので、毎日貼る部位を少しずつずらしたり変えたりすることが大切です。
特に小さいお子さんの場合、見えるところに貼ってしまうと、すぐに剥がしてしまうことも多いので、その場合は背中など、見えないところに貼ったり、寝てからそっと貼ってあげるようにしましょう。
「色々方法を試したけど上手く貼れないんです」
「いつも皮膚トラブルが起きてしまうんですが」
という場合は、別の薬に変更することも可能ですので、クリニック受診の際にご相談ください。
親御さんだけではなく、医師たちも一緒に、お子さんにとって一番良い方法を考えていくということが大切です。
まとめ
咳で苦しんでいるお子さんをみているのはとても辛いことと思います。
医療者として、しっかりと診させていただくことはもちろんですが、同じ子どもを持つ親として、『お子さんにとって一番良い方法を一緒に考える』ということが大事だと考えています。
来院された親御さんは
「忙しそうだから…」
「こんなこと聞いてもいいのかしら…」
と遠慮し、あまり質問をされない方もみえます。
クリニックを受診された際は遠慮せず、気軽に相談するという事が大切です。
全ては”こどもため”ですからね(^^)