今年もインフルエンザの予防接種の時期がやってきましたね。
この時期になると、当院・しいの木こどもクリニックでもよくお母様たちから
「インフルエンザの予防接種って打った方がいいですか?」
「いつ(何月)頃に打つのが一番いいんですか?」
という質問を多くいただいています。
大切なお子さんのためにも、親としては一番良い選択をしてあげたいですよね。
そこで今回は、インフルエンザの予防接種は打った方がいいのか、それとも別に打たなくてもいいのか。
また、いつ(何月)頃に打つのが効果的、一番いいのかについてお話をしていきます。
※2018年8月14日に大幅改正しました。
インフルエンザの予防接種は打った方がいいの?
この時期になると、インフルエンザの予防接種は打った方がいいのか、それとも打たなくてもいいのかと、悩む方も多いんじゃないでしょうか。
当院・しいの木こどもクリニックとしても、私個人の考えとしても”打った方がいい“です。
打とうかどうしようかと悩んでいるお母様にお話を聞くと
「去年、予防接種を打ったのにかかってしまったので…」
というお話をよく聞きます。
実はこれ、インフルエンザ予防接種に対して間違った認識なんです。
インフルエンザ予防接種は、”かかりにくくする”という目的ではなく、”重症化を防ぐ”という事を目的としています。
このことを是非とも忘れないでいただきたいです。
また、その他にも
「型が違うから、打っても意味がないとネットのニュースで見て…」
というお話もよく聞きます。
その時に、
「そのサイト、どこかわかります?(サイトのURLわかります?)」
とお聞きすると、
「ちょっと覚えてないです…」
という場合がほとんどで、たまに覚えている方にサイトを教えていただくと、サイトの管理者がライターとか主婦とか経歴不明とか。
いやいや。
最低でも私などの看護師。
更には医師。
もっと言うなら、子どものインフルエンザについてだったら小児科医など、専門家が発信している情報を見て悩むんだったら分かるんですが、どこの誰だかわからない人の情報を信じて、インフルエンザの予防接種を打たないって決めるって、私達からしてみたら正直怖いです。
「ネットのニュースで見て」
という場合、必ず、どこの誰が情報を発信しているのか。
そして、その人は信用できる人なのかどうかをしっかりと自分で判断した上で、今後どうするかを考え・決めるようにして下さい。
というのも、十何年も前の話なんですが、恥ずかしながら私も看護師になりたての頃、インフルエンザの予防接種はかかりにくくするものだと思っていたんです。
だって名前が”予防接種”ですもんね。
普通、間違って認識しちゃいますよね。
でも、頻繁に行われる勉強会で、すぐに間違いに気づくことが出来ました。
このように、看護師や医師は、診察だけではなく、日々多くのことを学んでいます。
最近の風潮から、私たち看護師や医師は、正しい情報を伝えることも役割の一つだと感じるようになりました。
インフルエンザは、重症化してしまうと重い後遺症が残ってしまったり、最悪の場合、命にかかわる事もあります。
大切なお子さんを守るため。
重症化を防ぐためにも、インフルエンザの予防接種を打つことをおすすめします。
インフルエンザ予防接種の効果的な時期っていつ?
「インフルエンザの予防接種って打った方がいいですか?」
という質問と同じぐらい聞かれるのが
「いつ(何月)頃に受けるのが一番いいんですか?」
ということです。
厚生労働省のHPを見ると、
Q.インフルエンザワクチンの接種はいつ頃受けるのがよいですか?
A.日本では、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎えますので、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。
と書いてあります。
うーん、なんともアバウトな…。
でも、当院としても、毎年インフルエンザの流行する時期が違うので、一番効果的な時期と言うのはなんとも難しいところなんです。
先程の厚生労働省のHPにもありましたが、当院の実感としても、インフルエンザの本格的な流行時期は、例年12月・1月頃からです。
10月頃にインフルエンザの子がいても、
「〇〇小学校の○年○組だけで流行してます」
など、限定された感じですね。
例年ですと、当院のインフルエンザの予防接種は、10月~12月に行っていることが多いのですが、早め(10月頃)と遅め(12月頃)で、それぞれメリット・デメリットが違います。
まず、インフルエンザ予防接種の効果についてですが、個人差はありますが、予防接種を受けてから2~3週間経てば免疫(抗体)が作られます。
そして、こちらも個人差はありますが、効果のピークは、受けてから1ヶ月頃。
そして、3ヶ月頃からは少しずつ効果が減ってきて、効果が持続するのはだいたい5ヶ月と言われています。
では、インフルエンザの予防接種を早め(10月頃)に受けた場合は、どんな感じになるのでしょうか?
例として、10月上旬にインフルエンザの予防接種を受けたとします。
そうすると、10月下旬頃にはしっかりとした免疫(抗体)が作られます。
メリットとして、11月など、例年より早く流行のピークを迎えた場合には、しっかりとした効果が期待できます。
デメリットとしては、1月末~3月上旬など、例年通りや、少し遅く流行のピークを迎えた場合は、予防接種の効果が減ってきた頃~なくなった頃の流行になってしまう、という事です。
逆に、インフルエンザの予防接種を遅め(12月頃)に受けた場合です。
こちらも例として、12月上旬にインフルエンザの予防接種を受けたとします。
そうすると、12月下旬頃には抗体(免疫)が作られます。
この場合のメリットとしては、1月末~3月上旬など、例年通りや、例年より少し遅く流行のピークを迎えた場合は、バッチリと免疫がついているということです。
デメリットとしては、インフルエンザの流行時期が例年より早まってしまった場合には、予防接種を受ける前なので、体が無防備な状態にあるということですね。
でも、どの時期に受けるにしても、予防接種だけではなく、外出時のマスク着用や、うがい・手洗いなどの感染対策を行うことが大切ですね。
まとめ
インフルエンザの予防接種は、”かかりにくくする”ためではなく、”重症化を防ぐ”ために打つものです。
その為、『去年インフルエンザにかかったから今年は打たない!』というのではなく、『インフルエンザにかかっても重症化しないように、今年も予防接種を打つ!』という考えを持つようにしてください。
また、『インフルエンザの予防接種を受けるのにベストな時期は〇〇!』と、はっきりとした答えをお伝えできないので、個人的にはもやもやしてしまうのですが、クリニックで働いていると色々な意見を耳にします。
3月にインフルエンザにかかった子のお母さんが
「10月に予防接種したけど、この時期に流行するんだったら、もっと予防接種を遅くに受ければよかった」
と言われていました。
12月にインフルエンザにかかった子のお母さんは
「先週予防接種受けたばかりなんです…。もっと早くに受けておけばよかった」
と言われました。
今年のインフルエンザの流行はいつになるのか。
また、お子さんがいつインフルエンザにかかってしまうのか、というのは誰にも分かりません。
(タイムマシーンがあればいいんですけどね( ;∀;) )
予防接種を受ける時期によってメリット・デメリットが違うということを知った上で、インフルエンザの予防接種をいつ受けようか考えてもらえればと思います。