皆さん、インフルエンザの予防接種って毎年行っていますか?
家族の人数が多ければ多いほどインフルエンザの予防接種って、結構一大イベントだったりしますよね。
お仕事をしているお母さん方は、尚更インフルエンザの予防接種を打ちに行く時間を捻出することも大変なことと思います。
そんな時、
「昨年は予防接種打ったけど、インフルエンザにかかっちゃったんだよね。それに、重症化予防のためって言ってるけど、何日も高い熱が続いて、うちの子、すごいしんどそうだったのよね。」
と、自身の経験からインフルエンザの予防接種について、ちょっと疑問に思う人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、インフルエンザ予防接種の目的や効果について。
そして、よく言われる重症化予防について、その意味を詳しくお話していきます。
インフルエンザ予防接種の目的や効果とは?重症化予防ってどういう意味?
インフルエンザ予防接種の目的やその効果は?
秋になると、各病院さんでインフルエンザの予防接種の予約が始まります。
「そろそろ予防接種の予定考えなきゃ。保育園に迎えに行ってから、部活終わりの小学生を学校までお迎えして、病院を受診するのが一番いいかな?パパには、仕事が早く終わる日の会社の帰りに内科さんで打ってもらってと。」
と、限りある時間の中からどうにか時間を捻出し、予防接種をしようと試みます。
でも、そういう時に限って一番下の子が体調を崩し、計画通りにいかなくなる、なんてことはよくあることです。
そうなると、
「とりあえず一番下の子の体調がよくなってからまた計画を立てよう。」
と、一旦インフルエンザ予防接種の計画が白紙になります。
そして、一番下の子の体調が良くなり、再度計画を立てようとするのですが、なかなか面倒くさくて、気づけば今年は打たずに終わってしまう。
この、”しょうがないよねパターン”、皆さんも周りで聞いたことあるんじゃないでしょうか。
ってこれ、小児科に勤めるまでの私の実話です(笑)
少し話が変わりますが、例えば、楽しみにしている家族旅行があるとします。
せっかくの家族旅行。
家族全員体調を崩すことなく楽しんで欲しい!
そんな時は、普段よりも体調管理に気をつかいますよね。
そして、時期的にインフルエンザが流行りそうな場合は、予防接種をすることに、例年以上に積極的になります。
それはどうしてでしょうか?
答えは、『旅行を家族全員で楽しみたいという目的がはっきりしているから』ではないでしょうか。
そうなんです。
小児科に勤めるまでの私は、インフルエンザの予防接種を行う目的や、本来の効果をちゃんとわかっていないから、体調不良を理由に、予防接種をすることの優先順位が低くなってしまっていたのです。
本来の効果と、期待している効果にズレあると、優先順位も低くなってしまいますよね。
インフルエンザの予防接種を行う目的とは、『発症と重症化の予防』なのです。
インフルエンザにかからない(感染を予防できる)わけではないのです。
目的と期待効果をきちんと理解できれば、打たないで終わってしまったことを、しょうがないと捉えることはなくなりますよね。
よく聞く重症化予防ってどういう意味?
重症化予防って、かかっても高い熱が続かないなど、すべてのケースで症状が軽くすむ印象をお持ちではなかったですか?
お恥ずかしい話ですが、昔の私もそう思っていました。
でも違うんです。
インフルエンザの重症化予防とは、インフルエンザ脳症などの命に関わる合併症を防ぐことを目的としているのです。
では、インフルエンザウイルスに感染した時、体の中ではどんな反応が起こっているのか。
予防接種の効果『発症と重症化の予防』について詳しくお話していきますね。
インフルエンザウイルスが体の中に入ってくると、体内で増殖し、熱・鼻水・咳などの様々な症状を引き起こします。
もちろん、予防接種をすることで、体内で増殖したとしても、様々な症状を発症させない、または軽くすることができます。
しかし、人の体はインフルエンザウイルスを必要以上に“とても強い相手”と見なし、自分の正常な細胞まで過剰攻撃し、インフルエンザ脳症を合併してしまうことがあるのです。
新型インフルエンザが流行した時、一番死亡率が高かったのは、20~30代の一番免疫が活発な年代の人達でした。
体の中に、記憶のない“得体の知れない怖いもの”として、過剰に攻撃してしまったことが原因ではないかといわれています。
そのため、1歳以上の子どもさんは特に危険なんです。
1歳を過ぎると免疫機能もしっかりしてきます。
産まれて初めてインフルエンザにかかった場合、免疫が過剰攻撃してしまう可能性があります。
だから本番(実際にかかってしまった時)の体の反応(攻撃の度合い)を覚えさせるため、予防接種を行い予行練習させておく必要があるんです。
また、インフルエンザの流行も、毎年流行る型が違います。
大人が子どもよりも重症化しにくいのは、たまたま今までかかった似たようなタイプの記憶が体の中にあり、過剰攻撃しないからなのです。
子どもの方が大人に比べ、インフルエンザ脳症を発症するリスクは高いですが、大人は絶対ならないというわけではありません。
そのため、子ども・大人に関わらず、予防接種は毎年接種されることをおすすめします。
まとめ
小児科に勤務し、なぜインフルエンザの予防接種が大切なのか理解できてから、どうにか時間を作り、家族全員予防接種ができるよう、優先的に考えるようになりました。
そう動き出してから今年で5年目。
今では、子ども達の方から
「いつ打つの?」
「この日なら部活がないから、大丈夫そうだよ。」
と、声をかけてくれるようになりました。
「なんで?」
と思うことや、不安に思うことは、来院時に何でもご相談ください。
そこが解決できれば、もっとお子さんのためにできることがみえてくるはずです。
看護師でありながら、未だにわかっていないことがたくさんあるように思いますが、私達スタッフも常に勉強させていただき、これからも患者様と共に一緒に歩んでいきたいと思います。