前はするっと便が出ていたのに、ここ最近、なんだかうちの子、便が出てないような気がする…。
そんな時、「最近野菜を食べてないから、食物繊維が少ないのかしら?」「お茶とか水分を摂ることが減ったから、そのせいかしら?」って思いますよね。
便秘があって受診されたお母さんたちからもよく質問を受けます。
そこで今回は、食物繊維や水分の摂取は便秘に効果があるのか、便秘に効果的な対策はあるのか、についてお話していきますね。
子どもの便秘に食物繊維や水分を摂るのって効果あるの?効果的な対策って?
食物繊維や水分の摂取って便秘に効果あるの?
医学的な根拠に基づいて、正直に申し上げます。
効果はないという研究結果が出ています。
「えっ、でもうちの子便秘の時には野菜食べたり水分多く摂るとよくなるよ?」と思う方もいると思います。
はい、何百人単位を対象にした研究で、統計学とか色々(難しいので私も詳しくは・・・(汗)やった結果、便秘に対して『医学的な根拠があって』有効と証明されているのは便秘薬のみ、という結果が出ているんです。
もちろん、中には食物繊維を多く摂ったり、水分を多く摂ったりして便秘が改善したお子さんもいたと思います。
あとは、最近だと乳酸菌(ヨーグルトなど)も「腸内環境を整えます」とよくテレビなどでも言っているので、腸内環境が整った結果で便秘が改善したという人もいるかもしれません。
あくまで『医学的な根拠があって有効と証明されている』のは便秘薬、と言われているだけなので、人によっては食物繊維や水分、乳酸菌で効果がある場合もあるので、試してみることは全然してもらって大丈夫ですよ。
それで効果があるなら、その子には合っている対策として、取り入れてもいいと思います。
ちなみにですが、私の超・個人的な対策は食物繊維(特にキノコ、更にいうならえのき茸)を多く摂る事です(^^)
子どもの便秘に効果的な対策は?
先程お伝えした、食物繊維やヨーグルトを摂る、水分摂取を増やす、など色々試してみたけど効果がないという場合は、便秘薬を使うしかありません。
ちょっと前ですが便秘薬のCMで「1に運動、2に水分、それでもダメなら…」というのがありましたが、正にそんな感じです。
「子どもに薬を使うのはちょっと…」と不安になる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、子ども(特に2~3歳以降の幼児)の便秘は後々大きな問題になることがあります。
それは、「うんち=痛くて怖いもの」と思ってしまうことです。
便秘がちな子だと、出てくる便って硬かったり、大きな塊になっていることもありますよね。出す時に痛がって泣いたり、お尻の穴が切れて、拭いたときに血がついてしまうという子もいました。
そうすると「うんちすると痛い」という記憶が残ってしまい、次に便意(うんちしたい感覚)があっても「また痛いんじゃないの?」と思って便意を我慢してしまう、するとお腹に便がたまって硬くなったり大きな塊になってしまい、もう我慢できなくなって出した時に痛くて「ほら、やっぱり痛いじゃん!うんちするの痛くて嫌だ!」という悪循環に陥ってしまいます。
大人だと「痛いかもしれないけど今出しとかないと後のほうが絶対痛い」と経験上わかるのですが、子どもはまだそこまでわからないですからね…。
こんな悪循環になってしまう前に対策してあげることが大切です。
また、便意(うんちしたい感覚)は、便が肛門のすぐ上の直腸という部分に入り、直腸が引き伸ばされることで感じます。しかし、便意は尿意と違って、我慢しようと思えば我慢できてしまうものなんです。そうすると、直腸が引き伸ばされた状態に慣れてしまい、これを繰り返すことで、段々と便意を感じにくくなってしまうんです。
そうすると、先程お伝えした悪循環が加速してしまいます。
そうならないためにも、少しの間は薬の力を使ってでも、便を出しやすくして「うんちは痛くて怖い」という気持ちをなくしてあげることが重要になってきます。
便秘の時に小児科でよく使うのが「ラキソベロン」というお薬です。
これは、お腹の動きを良くして便意を感じやすくするために使用する場合が多いです。
目薬みたいな容器に入っているので、飲み物やミルクに必要な量を入れて飲んでもらいます。液体の薬で、便の様子に合わせて自分で飲む量(滴数)を調節して使うことができます。
他には、「酸化マグネシウム」も使う場合があります。
こちらは、便に水分を集めて、柔らかくして膨らませることで便を出しやすくする薬です。便に集める水分が必要になるので、水分を多く摂るようにしましょう。
また、当院ではあまり使用しませんが「テレミンソフト」という座薬を使用する病院もあるようですね。こちらは、お腹の動きを良くしたりする作用があります。
こうして、薬を使っていると、そのうちにスムーズに便が出るようになったり、腸が発達してだんだんと出しやすくなってきます。
最初はお薬の量が多くないとなかなか効果が出なかったりしますが、便意を感じやすくなったり、弱い便意でもそこに合わせて力むことができるようになると、薬の量を減らしたり、最終的には薬なしでも排便できるようになりますよ。
【子どもに薬を無理やり飲ませるのはNG!大事なのは本人に選択させること!】
まとめ
実は、当院・しいの木こどもクリニックでも、便秘で通院しているお子さんは結構いらっしゃるんです。
最初は全然お薬の効果がなくて、ラキソベロン最大量+酸化マグネシウムの合わせ技、それでも出なくて病院で浣腸をする、を繰り返していたお子さんもいました。
それぐらいの便秘でも、少しずつ薬の量が減って、最終的には通院しなくても大丈夫になったお子さんもいます。
するっと便が出るのって、大人でもすっきりしますよね。
お子さんの「すっきり」のためにも、色々と対策を取り入れてみたり、時には病院・クリニックを受診して薬の力を使ったりしながら、便秘と向き合っていくことをおすすめします。