昔、テレビやニュースなどで、『スガシカオさん、浜崎あゆみさん、KinKiKidsの堂本剛さんなどが”突発性難聴”に』というのを目にした方も多いと思います。
この難聴。
特に突発性難聴は、40~60代に発症することが多く、決して他人事ではありません。
実は私も難聴で、正直、難聴ってめちゃめちゃ大変です。
でも、難聴じゃない人からすると、その辛さ・大変さって実際わからない、分かりづらいですよね。
ということで今回は、実際に難聴の私から、難聴の人の聞こえ方や困ることについて。
そして、『防げる難聴は防いでもらいたい!』ということで、難聴の原因や、その予防方法についてお話していきます。
難聴の人の聞こえ方や困ることって?難聴の原因を知って予防できることは予防を!
難聴の人の聞こえ方や困ることって?
難聴とは、音や声が聞き取りづらい・聞こえにくい状態のことです。
“難聴”という漢字の通り、”聞くのが難しい”ということです。
しかし、これは症状が軽い場合です。
難聴の症状が重いと、”音や声が全く聞こえない”という場合もあります。
難聴の人の聞こえ方を例えるのがちょっと難しいんですが、”音”の場合は、”水の中で聞いている”といった感じでしょうか。
人の話し声、人との会話の場合は、”何重ものマスクや、厚手の布などで口を覆った状態で話をされている”といった感じですかね。
そのため、どうしても声がこもって聞こえてしまうので、言葉・フレーズによってはかなり聞き取りづらくなってしまいます。
しかし、それよりも問題は、
『右は普通に聞こえるけど、左はかすかにしか聞こえない』
『左は普通に聞こえるけど、右は全く聞こえない』
といった、ほとんどの人が片方の耳が重度の難聴、”一側性難聴”ということです。
私は右耳が重度の難聴のため、音や声が全く聞こえず、全ての音・声を左耳だけで拾っています。
そのため、ザワザワと騒がしい場所での会話は大変しづらく、周りで色々な音がしているとイライラしてしまうことも…。
つい先日も、自宅でテレビをつけていて、テレビから音がしている時に旦那さんに話しかけられ、旦那さんの声を聞き取ろうと集中すればするほどどちらの音も耳に入ってきてしまい、思わず「もう!!」ってなっちゃいましたね。
このように、一側性難聴の場合、そのレベルにもよりますが、片方の耳が非常に聞き取りづらいため、それらを聞くために、もう片方の耳で、必死に集中して聞かなければいけません。
一側性難聴の方は、『音や声が自然と聞こえている』ではなく、『音や声を聞く時は、必死に片方の耳で聞くことに集中している』と思ってもらえればと思います。
また、一側性難聴で困ることはたくさんあるんですが、私の場合は右耳が難聴なため、右側(聞こえない側)から話しかけられると、相手が何を言っているのか聞き取れないことがほとんどです。
更に、右後方から声をかけられた場合は気づくこともできません。
また、声をかけられた時、その人が私の方を見てくれたり、手を振ってくれたりすればわかりますが、そうでない場合、一体誰がどこから声をかけたのかがわからず、ちょっとしたパニック状態になってしまいます。
私は、補聴器をつけているわけではないので、パッと見、外見だけでは難聴ということがわかりません。
そのため、私が難聴・聞こえないということを知らない人からすると『この人、私が喋りかけたのに、私のことを無視した!』と、誤解されてしまうことが一番困ります。
このような対人関係の苦労は、職種によってはどうしても防ぎきれない部分も出てきてしまいます。
そのため、先天性のものではない、防げる難聴については、なぜ難聴になってしまうのか、その原因を知り、出来る限り予防、未然に防いでもらえればと思います。
難聴の原因や予防・防ぎ方
難聴の原因は、生まれつき・先天性のものもあれば、器官や神経に異常が発生してなる・後天的なものもあります。
後天的なものでも、音を拾って増幅する器官に異常が発生する『伝音(性)難聴』と、音を信号に変換し脳に伝える神経系に異常が発生する『感音(性)難聴』とに分けられます。
先天性のもの(先天性難聴)や、感音難聴(突発性難聴やメニエール病等)の場合、聴力の回復は非常に困難です。
しかし、音を拾って増幅する器官に異常が発生する伝音難聴に関しては、基本的にはすでに治療方法が確立されているため、聴力を回復することが出来る難聴になります。
この、伝音難聴は、外耳または中耳の部分に問題が生じることによって引き起こされるもので、主に『中耳炎』、『耳垢の詰まり』、『鼓膜の損傷』などがあります。
もちろんそれ以外にも、『外耳または中耳の奇形』、『腫瘍』、『耳硬化症の原因となる病気にかかる』など、様々あります。
中耳炎の場合は、風邪を長引かせない、鼻を強くかまない、すすらない等、まずは子どもが中耳炎にかからないように気をつけるようにしましょう。
もし、中耳炎になった場合も、しばらく様子を見るのではなく、小児科・耳鼻科などへ行き、しっかりと治療するようにしましょう。
耳垢の詰まりの場合は、普段の耳のケアも大事ですが、耳鼻科ですぐに治療することが出来ますので、こちらもしばらく様子を見るのではなく、すぐに耳鼻科で治療するようにしましょう。
鼓膜の損傷に関しては、耳かきや綿棒などで直接鼓膜を傷つけてしまう場合や、急激な気圧の変化で鼓膜を損傷してしまう場合、また、叩かれた時の衝撃や、大きな音が原因で鼓膜が損傷してしまう場合があります。
これはもう、鼓膜を損傷しないように気をつけてくださいとしか言いようがありません(^^;
また、耳硬化症の原因となる病気については、”麻疹”や”おたふく風邪”があります。
こちらは、その予防接種をすることで、その病気になる確率を下げることができます。
しかし、”麻疹”は定期接種(無料)ですが、”おたふく風邪”は任意接種(有料)ということもあり、『任意接種(有料)だから打たない』という方も見えます。
おたふく風邪の予防接種は、現在任意接種なため、予防接種を打つ打たないは、子ども本人や親御さんの自由ですが、打つことによるメリット・デメリット、打たないことによるメリット・デメリットをしっかりと理解した上で判断していただければと思います。
ちなみに私は、小学生の時、学校で聴力検査をしたら、『難聴の疑いのため、耳鼻科を受診してください』という用紙をもらい、すぐさま母とともに近所の耳鼻科へ行き、そこであらゆる検査・診療をした後のDr.の診断が
「原因はわからないな~。 ・・・。 多分、先天性のものだね」
でした。
更に、
「治療をすることで悪くなることを防ぐことは出来るけど、良くなることはないよ」
と言われ、小学生ながらかなりショックを受けたことを覚えています。
私の場合、伝音難聴のどれにも該当しないため、この先生の言う通り、先天性難聴だと思われます。
この時はまだ小学生だったということもあり、自分の中で聞こえていないという感覚・認識はあまりなく、皆も私と同じように音や声が聞こえているものだと思っていました。
しかし、先生から「良くなることはない」と言われ、『良くならない = 皆と違うまま』と思い、この時はとても悲しかったですね。
私は、『先天的はものは仕方がない。頑張って乗り越えていくしかない!』と思っていますが、今回ご紹介した伝音難聴、治る・防げる難聴については、かわいい子どもさんのためにも出来る限り未然に防いでいただければと思います。
【おたふく風邪の予防接種って任意だけど打ったほうがいいの?】
まとめ
当院・しいの木こどもクリニックで働いていて、患者様に呼ばれても気づけないときや、何度も聞き直してしまったことがあったということもあり、『難聴になってしまい、私のように大変な思いをしてほしくない』という思いから、今回この記事を書くことにしました。
私の難聴は、重度・聞こえないのでダメですが、そこまで重度じゃない場合、『じゃあ補聴器をつければいいんじゃない?』と思うかも知れませんが、補聴器って、自然な聞こえ方と違うので、すごく抵抗があるんです。
また、特に女性の場合は見た目を気にしますので、補聴器はつけづらい傾向にあります。
あと、一側性難聴の場合は、もう片方の耳でなんとか聞くことはできますからね。
(すっごい神経はすり減らしますが…)
難聴。
特にほとんどの人が片方の耳だけ重度の難聴になる”一側性難聴”。
なってみないとわからないと思いますが、本当に大変です。
今回お話した通り、私生活や病気が原因でなる難聴もあります。
この記事を通して、未然に防げる難聴は予防・防いでもらい、出来る限り私と同じように辛い思いをする人が減っていただければと切に願います。