「上の子がすごい熱!病院を予約し受診して、お薬をもらって飲んで、翌日、やっと熱も下がって症状も軽くなってきてひと安心…。と思っていたら、今度は下の子がすごい熱!」
このように、ご家庭で、兄弟が風邪などをうつしあってしまうことってありますよね。
また病院の予約を取って受診して…となると、時間も労力もかかるし、お母さんにとってはすごく負担ですよね。
そんな時、
「ん、待てよ。上の子はもう治ってきたし、下の子も同じ症状だし、上の子の薬(病院でもらった薬)、下の子に使っても大丈夫だよね?」
そう思ったことはありませんか?
また、その他にも、
「たしかこの前病院で処方してもらった薬がまだ残ってたはず。今回は症状も前と同じだし、これを使えばいいよね?」
そう思ったことはありませんか?
これ、実はとっても危険なんです。
ということで今回は、兄弟で薬を使いまわしてはいけない理由について。
また、病院やクリニックで、電話だけで薬が処方されない理由についてお話していきます。
兄弟で薬を使いまわしちゃダメなの?電話だけで薬が処方されない理由
なぜ兄弟で薬を使いまわしちゃダメなの?
兄弟で薬を使いまわしてはいけない理由ですが、病院で処方される薬は、医師がお子さまの症状を診断して、ひとりひとりの症状、体質、年齢、体格に合わせて処方しているからです。
違う症状であれば、違う薬が処方されるのは当然です。
しかし、そうでない場合、症状が同じで、年齢が同じ場合でも、その子の体質や体格によっては、違う薬が処方される場合があるんです。
当院・しいの木こどもクリニックを受診された方の中にも、
「昨日の夜、この前(処方して)もらった上の子の薬が残ってたので、下の子に使ったんですが、足りなくなったので受診しました♪」
なんていうお母さんもたま~にですが見かけます(汗)
お母さんから見て同じような症状でも、もしかしたらまったく別の症状(病気)かもしれません。
また、上の子に処方した薬が、下の子の体質に合わない場合もあります。
その場合、薬を使用したことで、違う症状が出てしまう危険性もあります。
また、病院で医師が処方する薬は、市販薬と違い、成分量が違います。
そのため、上の子に処方した薬をそのまま下の子に使用した場合、薬を過剰投与してしまう危険性があります。
「うちの子、熱が高くて…」
という、”熱が高い(発熱)”という症状一つとっても、普通の風邪・インフルエンザ・肺炎・おたふくかぜ・急性気管支炎などなど、症状は様々です。
それがどういう症状かを判断する、見分けるのが医師です。
お母さんの自己判断で兄弟に薬を使い回すのは、とても危険なことですので絶対にやめて下さいね。
なぜ電話だけで薬が処方されないの?
電話だけで薬が処方されない理由ですが、症状が違うから、違う可能性が高いからです。
喘息など、定期的に通ってみている症状の場合は、同じ症状の可能性が高いため、時にはそのまま処方することもあります。
しかし、それ以外の場合、例えば3日前の風邪と今日の風邪とでは、全く違う病気の場合があるんです。
当院・しいの木こどもクリニックにも、
「○○ちゃんの風邪の薬が欲しいんですけど、前回と同じ症状なので、同じ薬って出してもらえますか?受診しないとダメですか?」
というお電話がかかってきたことがありました。
もちろん、
「当院では、お子様が受診をされずにお薬をお出しすることはできませんので…」
と、お断りしました。
その後、そのお子さんのカルテを見てみると、当院を受診されたのは半年前でした。
この場合、どう考えても半年間ず~っと風邪をひいていたとは考えられませんよね。
そう考えると、今回のこの子の風邪は、前回の風邪とは違う症状だといういことが分かります。
また、その他には、
「○○ちゃんの吸入がなくなったので、電話で処方ってしてもらえますか?」
というお電話もありました。
その後、その子のカルテを見てみると、○○ちゃんは一度もその吸入が処方されていませんでした。
「えっ!?カルテの入力ミス?機械の不具合?」
と、正直かなり焦りました。
しかし、そのお母さんに詳しくお話を聞いたところ、
「あっ、上の子に処方してもらった薬です」
と…。
先ほどお伝えした通り、喘息で定期的に受診している場合は、症状や経過を定期的に診察しているため、場合によっては処方しないこともありません。
しかし、今回は医師が診察していない下の子。
薬が処方できないのはもちろんですが、医師の指示なく下の子に使用していたことに、私も驚きを隠せませんでした。
定期的に通っている場合を除き、当院では、どんな場合でも電話だけでは薬を処方しません。
それは、電話で聞く症状は、お母さんから見た、見えている症状であって、本当の症状と違う可能性があるからです。
そこに隠れている症状や、お子さまの状態などは、電話だけでは診断・判断できないんです。
お母さんから見た、見えている情報はとても大切です。
しかし、それだけを信じ、間違った診断で効かない薬を無責任に処方してしまい、それによってお子さんの病気が重症化してしまうなんていうことにもなりかねません。
病院やクリニックを予約し受診して…、という時間を捻出するのは大変かと思いますが、大事なお子さんのためにも、ご理解いただければと思います。
【市販薬の効きがよくないのはなんで?病院で処方される薬との違いは?】
まとめ
時に、薬の成分は毒になることもあります。
副作用がない薬はないと言われているぐらいですからね。
そう考えると、薬を安易に使い回すことが、いかに怖いことかがご理解いただけるかと思います。
当院では、ひとりでも多くのお子さまを診察できるよう、診察の予約枠を多めに設けています。
特に午後の診察に関しては、予約枠の制限をかけておりません。
※予約状況から、患者様の来院時間が22:00を超えてしまいそうな場合は制限をかけています。
それは、
「お母さんの不安を解消してほしいから」
という院長の信念・ポリシーからです。
もう少し細かく、院長の言葉で言うと、
電話でお母さんから症状を聞いても、実際診察してみると違う場合が多々あるので、やはり一度診察してみないとわからないということが多い。
そのため、お母さん方が
「こんな症状で行っていいのだろうか?」
と思い、受診するのが遅れてしまうと、風邪でもなんでもそうだが、すぐに治るはずだったものが治らず、長引いてしまう。
そういったことを防ぐために、午後は出来る限り予約枠の制限をかけず、クリニックを受診するという敷居を低くして、いつでも来てもらえるようにしている。
忙しい中、受診してもらっても、症状によっては薬を処方しない場合もあります。
でもそれは、診察して初めて分かることです。
クリニックは、薬をもらう所ではなく、医師が診察して判断する所です。
そのため、子どものことを考えると、安易に薬だけ出すということはどうしても出来ません。
また、誤診を防ぐ防ぐためには、やっぱり目の前で子ども(患者さん)を診るということが大事です。
そのため、
「こんな症状で行っていいのだろうか?」
と思わずに、
「いつでも不安なときに来てもらって、変わったことがないかどうかをチェックしましょう」
という院長の、”いつでも来ていいんですよ”、という気持ちから、午後は出来る限り予約枠の制限をかけないようにしているんです。
昔は、午後の予約を、一切制限をかけなかったこともありました。
すると、診察の終了時間が、夜の10時・11時なんていう時も結構ありました。
その場合、子どもさんが寝ている場合も多く、寝ている子どもを起こしてまで連れてくるのはどうなんだろう…ということもあり、午後の制限をかけるようにしました。(もちろんそれ以外にも理由は多々あります)
いつも長い時間お待たせしてしまい、本当に申し訳ございません。
順番が来るまでヤキモキすることもあると思いますが、ご理解の程、宜しくお願い致します。