子どもの診察で熱の経過が重要な理由は?体温計はどのタイプがいいの?

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風邪などで病院・クリニックを受診した時、

「いつからお熱がありましたか?」

という熱の経過は、ほぼ必ず聞かれると思います。

 

だいたいの方は

「朝起きた時には○○℃で…」

「保育園からお昼に熱が○○℃ですってお迎えの連絡があって…」

など、いつから熱があったかを教えて下さいます。

 

しかし、

「一昨日からなんか体が熱い感じが続いているんです。旅行に行っていたので、熱が測れてないんですけど…」

など、時には、熱の経過が分からない(熱が測れない)ということもありますよね。

 

また、

「子どもが嫌がってしまって測ってないんです」

という場合もたまにあるかと思います。

 

家の都合などもあって、必ず熱を測ることが出来ないこともあると思いますが、医療者としては、

『熱がいつから出ているのか』

『熱の経過はどんな感じなのか』

ということは、診察する上でとても重要になるので、できればお熱は測ってもらいたいというのが本音です。

 

また、熱を測るにしても、体温計っていろんなタイプがあるので、

「どのタイプがいいとかありますか?」

という質問もたまに受けたりします。

 

そこで今回は、『いつから熱が出ているのか』や、『熱の経過』が診察上とても重要な理由について。

そして、体温計には色々なタイプがあるけど、どれがいいのかということについてお話していきます。

子どもの診察で熱の経過が重要な理由は?体温計はどのタイプがいいの?

子どもの診察で熱の経過が重要な理由は?

子どもに限らずですが、熱の経過というのは、患者さんの状態を把握して、正しく診察・診断をするためにとても重要になります。

 

例えば、冬の時期になると流行するインフルエンザ。

診断の補助として、インフルエンザの検査キットというのがあります。

それは、鼻に綿棒の様なものを入れて、鼻の粘膜にインフルエンザのウイルスがいるかどうかを判断するものです。

しかし、熱が出てからの時間が短いと、もしインフルエンザだったとしても、ウイルスが少なくて綿棒で取れないため、検査をしても陰性(インフルエンザではない)と出てしまうことがあるんです。

 

当院・しいの木こどもクリニックで使用している検査キットは、発熱から12時間以上経ってからの使用が推奨されているものです。

そのため、『いつから熱が出ていたのか』ということがとても重要になります。

 

また、熱が続いてしまった場合、肺炎や気管支炎などになっていないかを、採血して検査することもあります。

その場合は、熱の経過によって、採血するかどうかの判断が分かれることもあります。

 

熱の記録をしっかりつけていて、

「上がったり下がったりだけど、全体的に見ると下がりつつあるね」

という場合だと採血しないこともあります。

 

逆に、

「熱の経過が分からないから、もしかしたら不要なのかもしれないけど、一度採血して状態を確認する必要があります」

となり、採血することもあります。

なるべくなら、子どもに痛い思いはさせたくないというのが院長先生の思いですし、親としてもそうですよね。

 

子どもの診察で熱の経過は、

『お子さんの状態を把握して、正しく診察・診断をする』

『不要な検査をしてしまうことによる子どもの苦痛を少なくする』

という、お子さんのために重要な理由があるので、体調の悪い時にはできる限り熱を測ってもらえればと思います。

体温計はどのタイプがいいの?

最近は、脇の下で測るだけでなく、耳で測るもの、また、おでこで測るものなど、色々なタイプの体温計がありますよね。

当院では、脇の下で測るタイプの体温計を使用しています。

そのため、

「家の体温計は耳で測るやつなんですけど、やっぱり脇の下の方がいいんですか?」

と聞かれることがあります。

 

病院で使われていると、『その方がいいのかな?』って思う気持ち、すっごくわかります。

でも、脇の下でも、耳でも、おでこでも、どのタイプの体温計でも大丈夫です。

一般的によく使われている、『脇の下で測るタイプ』『耳で測るタイプ』、それぞれの体温計で測るときのポイントを少しお伝えしますね。

 

■脇の下で測る場合

脇の真ん中あたりに先端がくるように、斜め下から差し込み、しっかりと脇を閉じることが大切です。

上から差し込む人が多いように思いますが、一応看護師目線からお伝えすると、下からを推奨します。

汗をかいて濡れていたり、シャツが挟まってしまったりすると、正確に測れない場合もあるので気を付けましょう。

 

■耳で測る場合

耳で測るタイプは、鼓膜の温度と赤外線センサーで測定します。

そのため、耳垢がたまっているなど、耳の中の状態によって体温が左右されることがあります。

また、目で耳の中を見て、鼓膜まで見通せない子などは、耳で測るタイプは不向きかもしれないですね。

耳で測るタイプで測定するときは、耳たぶを軽くひっぱったりして、耳の穴の中がなるべくまっすぐになるようにして測るようにしてくださいね。

 

体温計によって測る時間はバラバラです。

「脇の下のタイプだと、子どもが動いてしまって測れないんです…」

という方は、無理して脇の下のタイプを使うのではなく、耳やおでこで測るタイプの体温計を使うのも全然ありですからね。

まとめ

『熱がいつから出ているか』『熱の経過』というのは、お子さんの状態を正確に把握して、診断・治療を行うためにとても大切なことになります。

熱の経過がわからないことで、不要な検査でお子さんに痛い思いをさせてしまう。

熱の経過がわからないことで、必要な治療が出来ない・治療が遅れてしまう。

こういったことはできるだけ避けたいですよね。

家の事情などで、熱を測るのが大変なこともあるかもしれませんが、お子さんのためを思い、なるべくお熱は測ってもらえればと思います。