「祖父母が勝手に子どもにお菓子を買ってる!」
「祖父母が自分たち(親)に黙ってこっそり子どもにお金(お小遣い)をあげてる!」
などなど、祖父母の子どもへの甘やかしについて悩まれている親御さんは多いかと思います。
当院・しいの木こどもクリニックでも、来院された患者様から、祖父母の子どもへの甘やかしについても含め、毎日のように様々な質問を頂きます。
その都度、その質問を受けたスタッフがお答えしているんですが、今回はその、”祖父母の子どもへの甘やかし”についての質問・回答をブログにさせていただきました。
ということで今回は、祖父母の子どもへの甘やかしに、どう対処・対応していたのかということについて、患者様等から頂いた質問に対しての私の回答と、先生のお答え&考えも追加してお伝えしていこうと思います。
■家族構成:父・母(私)・子どもの3人家族。
■子ども: 6・7歳位の女の子(初孫)。
■祖父母:私(母)の父・母。
■祖父母との別居で、距離は1km圏内。
祖父母の子どもへの甘やかしについてのQ&A
それでは、患者様等からよく聞かれる・質問される”祖父母の子どもへの甘やかしについてのQ&(私の)A”です。
Q. 子どもに祖父母はどう呼ばせてました?
A. 祖父母自身も、じいじ・ばあばと教えていたので、じいじ・ばあばに。ちゃん付け(おじいちゃん・おばあちゃん)で呼ばせているときもあったんですけど、(発音数が)長かったせいか、なかなか覚えてもらえなくて、じいじ・ばあばにしたら割りとすぐに覚えてくれたので、じいじ・ばあばに。
Q. 祖父母が勝手に子どもにお菓子を買ってるとかってありました?
A. 子どもが産まれてすぐに仕事を始めたので、祖父母に子守を頼むことが多くて、その時によく外に連れ出してくれていたようで、その際に大量のお菓子を買ってくることが多々ありましたね。最初は何も言わなかったんですけど、それがほぼ毎回だったので、さすがに注意しました。でも直りませんでした。私も、面倒を見てもらっていることに負い目を感じて、最終的には何も言わなくなりました。子どもも喜んでいたので、余計に口出しをすることはしなかった(しなくなった)ですね。
Q. 祖父母が自分たち親に黙ってこっそり子どもにお小遣いをあげてるとかってありました?
A. そんなに高額ではなかったけど、私に黙って渡していることが多かったですね。あと、もらってすぐには子どももお金をもらったことは伝えてこなかったですね。でも、キラキラシールが増えたり、文房具などが新しくなったりしていることがあり、子どもを問いただしたら「じいじ・ばあばにお金をもらった」と白状しました。そういったことが何度かあったため、祖父母に、「あんまり現金で渡さないで」と言ったんですが、全く改善されず、「私(母)には黙っておきなね」と言って、祖父母と娘の間で秘密のやり取りがよく行われていました。祖父母も孫に好かれるため、あの手この手と必死だったようなので、途中からは黙って見守るようにしていました。
Q. 子どものランドセルって祖父母に買ってもらってました?
A. 入学祝いとして祖父母に買ってもらいましたね。6年間使うものなので、実際に見に行き、色や形、また背負ったりなどして、自分(子ども)の好きなものを選ばせて購入しました。義理の親ではなく自分の親だったということもあり、金額は一切に気にせず、娘がほしいというものを購入しました。でも、自分の家計の中だったら、高額なものは除外したと思います。
Q. 子どもの誕生日は、祖父母が家に来たりとか、誕生日プレゼントをくれたりとか、祖父母は何かしてました?
A. 子どもが保育園の頃は、自宅で誕生会をしていましたね。近所のお友達を呼ぶなど、盛大にやったこともありましたね。祖父母、特に祖母は、初孫ということもあり、甘やかしが異常だったので、家中おもちゃで溢れかえっているときもありましたね。『欲しいものは何でも買ってあげよう!』という考えの人だったので、それを説得するのに言い争いになったこともありました。でも、私が知らない間にいろいろなものを買ってきてしまっていたので、どうすることも出来ず、最終的には諦めました。
Q. 子どもの誕生日以外の子どもの日とか、子どものお祝いのときって、祖父母は何かしてました?
A. 一緒には住んでいなかったけど、ほぼ毎日顔を合わせていたので、こどもの日などは一緒に外食することが多かったですね。初節句の時も、お雛様を買ってくれました。ただ、自宅で写真を撮るだけでは終わらず、写真スタジオにわざわざ予約を入れ、いろんな衣装を着て撮影をしていました。『そこまでしなくても…』と思っていたんですが、祖父母が喜んでいたのでそっと見守っていましたね。
Q. 祖父母が子どもへプレゼントをした時、「ちょっとこれは…」と困ったときってありました?
A. おもちゃの量が異常!子どもが欲しいと言ったものは基本何でも買ってしまうあまあまなじいじ・ばあば(特にじいじ)だったので、家の中がおもちゃで溢れかえっていました。
Q. 祖父母と子どもって何して遊んでました?
A. 私が仕事で1日不在のときは、遠出して公園へ行ったり、水遊びをしたりしていましたね。祖母がお弁当を作り、祖父が遊園地に連れていくということが多かったですね。でも、着替えを持っていない日でも水遊びをしてくることがあり、濡れたまま帰ってくることもあったので、それはやめてほしかったですね。
Q. 祖父母との子どもの写真の共有ってどうしてました?
A. お出かけするたびに大量の写真を撮っていたので、フォトアルバムにして、まとめて祖父母に渡してみてもらっていました。誕生日・こどもの日・入園・卒園などのイベントの時は、必ず写真館で撮影をしていたので、(祖父母の)家にはそれを飾っていましたね。
Q. 子どもってどれぐらい祖父母になついてました?
A. よっぽどのことをしない限り、怒るということをしなかったので、どちらにもべったりでしたね。小さい頃は祖父に言えば何でも買ってもらえると思っていたみたいで、しいて言うなら祖母よりも祖父になついていましたね。
Q. 自分たち親より祖父母がいいとかってありました?
A. 私に怒られた時(笑) 祖父母に怒られることはなかったので、私に怒られたときなどは、じいじ・ばあばを味方につけて助けてもらおうとしていましたね。例えば、友達のものを勝手に借りてきて、「失くしたりしたら大変だから、貸し借りはしない」と約束したのに守らなくて、それが何度も続いたので怒ると、子どもはじいじ・ばあばを味方につけて、「そんなことで怒るな!子ども同士のやり取りに口出しするな」と、逆に私が怒られることがありました。まぁ、祖父母は孫にあまあまだったので、仕方がないのかもしれないけど、でも、私的には思い出すだけで今でも怒れてきちゃいます!
Q. 子どもが祖父母大好きで困ったことってありました?
A. じいじ・ばあばの所へ行くと、「帰りたくない!」と言うので、「お泊りしていってもいいよ」と言うと、あっさりと「バイバーイ」と言って、なかなか家に帰ることが出来なかったですね。また、祖父が仕事で不在の時も、子どもは自分の目で確認しないと納得せず、そのたびに実家へ連れて行き、また家に帰るという、これはとんでもなく面倒でしたね。まぁ、私が疲れて『出かけたくないなぁ~』と思っていても、祖父母は連れ出してくれるし、何でも好きなものを買ってくれるし、いろんな所へ連れて行ってくれるから、子どもの気持ちがわからなくもないんですけどね。
Q. 子どもが祖父母を怖がったり、嫌いだったりと、関係が悪い時ってありました?
A. 関係が悪くなることは、大人になった今はあるけど、それまでは一切なかったですね。『じいじ・ばあばは何でも買ってくれて怒らない人』という(娘の中では)認識だったので、私に怒られて泣きながら「嫌いだー!」と(私に)言われることはあったけど、祖父母に対してはなかったですね。
Q. 役割分担をする、ルールを決めるなど、何か甘やかし対策って決めたりしてました?
A. 『お菓子は1個まで』『お小遣いは何かお手伝いをしたときだけ』などのルールを決めていたんですけど、甘え上手な娘だったので、「お母さんには内緒ね」と、じいじはよく約束を破っていましたね。逆に私が厳しすぎると怒られることもありました。
Q. 子どもにとって祖父母は必要だと思いますか?
A. 必要だと思う。子どもが、「人のおもちゃを取ってはダメです。皆と仲良く遊ぶんだよなど、じいじ・ばあばが言ってたよ!」と、よく言っていましたね。あと、いろんな意見もあり、世代によって考え方も違うので、意見がぶつかって喧嘩することもあったけど、『挨拶をしっかりする』『人に優しくする』など、私が知らない間にできるようになっていることもありましたね。
Q. 子どもの名付けとか教育(習い事)等、祖父母は色々言ってくる方でした?
A. 一切口出しはしてこなかったですね。よく面倒は見てくれるけど、あくまでも自分の子どもではなく孫として、教育に対してうるさく言われることはなく、最終的な判断は私達(親)で全て決めていました。
Q. 子どもの保育園の行事とかに、祖父母は来る方でした?
A. 運動会や生活発表会などは毎年欠かさず見に来ていましたね。祖母が同業者(保育園の先生)で、娘が通っていた園は以前、祖母が働いていた園でもあるので、挨拶も兼ねて毎年一緒に見に行っていました。祖父母も一緒だと、荷物番やカメラ係など、分担してできたのでとても助かりましたね。
Q. 子どもの甘やかしについて、祖父母と喧嘩したことってあります?
A.「我が家のルールというものがある!」と祖父母に伝えたんですが、全く分かってもらえず、途中から諦めました。私と子どもとの間にあるルール(お菓子・おもちゃは1個まで)などがあっても、祖父母と出かけるとそのルールはないものとされ、好きなだけ買ってもらって帰宅。でも、子どもが買ってもらったものを隠したり、黙っていたりということはしなかったので、「まぁ良しとするか…」としていましたね。
Q. 祖父母の過保護(甘やかし)エピソードと、その時どう思ったのか、その時の気持ちも教えてください。
A. 病気には敏感で、「少しでも咳をしたらすぐ病院に行け!」と言う人でした。でも、仕事をして、家事をして、となると、『熱もないのに病院に行くのは…』と、後回しにしてしまうことが多かったんですね。その結果、咳が治らず、悪化して入院という流れになることが多々ありました。今思えば、『子どもの変化に対して親の私よりもしっかりと見てくれていたんだなぁ』と思いますね。
Q. 祖父母が子どもを甘やかして困っている親御さんに対して、経験した・通ってきた道だからこそ言えるアドバイスを教えてください!
A. 各家庭でルールを作っても、たまにしか合わない祖父母(うちの場合は毎日会っていたが)は、どうしてもあまあまになって、子どもの言いなりになってしまうと思います。やっぱり”子どもではなく孫”というのが大きいと思います。祖父母は子ども(孫)に対しての責任がない(薄い)ですからね。私達(親)が祖父母に対して口うるさくしても、祖父母がそれを聞かないと、子どもが板挟みになってしまいますので、どこか妥協点を見つけるといいですね(うちの場合はほぼほぼ祖父母に押し切られましたが…)子どもが小さいときは、ルールや約束というものを説明しても理解できないし難しいので、小学生になって話が通じるような年齢になるまでは、祖父母に大いに甘やかしてもらっても良いと思います。子どもは喜び、祖父母も嬉しい、そして両親は助かるといった、3者ともハッピーな関係をぜひとも築いてくださいね。
先生からのアドバイス
世の中にはいろんなタイプの祖父母がいる。
今回のようにあまあまな祖父母もいれば、厳しい祖父母もいる。
大事なのは、最終的に親が責任を持つということ。
祖父母は祖父母なりに、良かれと思ってやっている。
しかし、『私達とちょっと考え方が違う』と感じたら、『うちではこういう考え』ということを、しっかりと祖父母に伝えなければいけない。
最終的に責任を取るのは親だから。
祖父母にとっては孫で、私達(親)にとっては子ども。
私達(親)に比べて祖父母は、子ども(孫)との距離が遠い。
だから、厳しいことを祖父母に教えてもらうのではなく、愛情を感じる(愛情を与える)という役割を担ってもらうのがいい。
私達(親)は距離が近いから、いつでも厳しくできるし、また、愛情を与えることができるから。
あと、両親だったら、『父と母、どっちが甘やかして、どっちが厳しくする』というのはどっちでもいいけど、それが両親と祖父母という場合は、『祖父母が甘やかして、両親が厳しくする』というのが(子どもとの距離の関係等から)ベター。
祖父母が甘やかしたことに対し、ある程度の態度で接する(フォローする)のは親の役割。
大切なのは、上手に使い分ける(役割分担する)こと。
祖父母と両親、どっちもあまあまだと、『何をしても大丈夫(怒られない)』と、子どもが勘違いしてしまう。
しかし逆に、どっちも厳しいと、子どもは逃げ道がなく、ストレスが溜まってしまうので、バランスを取ることが大事。
まとめ
私達、しいの木こどもクリニックは、病気を診るのはもちろんですが、それだけではないと考え、小児科医として、そしてかかりつけ医として、親御さんが困っていることに対しても、真剣に向き合ってアドバイスしています。
今回の”祖父母の子どもへの甘やかし”という”家庭環境の悩み”についてもそうです。
子どもさんのためだけでなく、困っている親御さんの力になれることは何なのか、ということも考えながら、実体験を赤裸々にお話させていただいています。
それも、小児科医として、かかりつけ医としての課せられた役割と考えているからです。
子どもさんや親御さんが、どうしたらその問題を乗り越えていけるのかを一緒に考える。
かかりつけ医だからこそできる関わり方を今後も大切にしていきたいと思っています。