通常の風邪の場合だと、熱が下がった・食欲が戻った等、子どもをいつから登園させてもいいかどうかってわかりやすいですよね。
でもそれが”おたふく風邪”になると、いつから登園させてもいいのかって、ちょっと判断が曖昧になり、正直わかりにくいですよね。
私もクリニック・小児科で働くまでは、おたふく風邪になった場合、子どもをいつから登園させていいのか、正直知りませんでした。
何度かおたふく風邪の患者様の診察介助につくことで、やっと明確な基準がわかるようになりました。
日々、家事や育児で忙しいお母さんも、この記事を読んでもらえれば、すぐにその基準がわかりますよ。
ということで今回は、おたふく風邪になった場合、一体いつから登園していいのか。
また、おたふく風邪の時のお家での看病方法や、気をつけたいことについてお話していきます。
おたふく風邪っていつから登園・登校していいの?お家で気をつけたいこと
おたふく風邪っていつから登園していいの?
おたふく風邪になった場合、耳の下が腫れた日を0日目と数えて、腫れ始めてから5日経過し、元気になるまでは登園できません。
学校や園では現在、法律によって決められています。
子どもがいくら元気でも、腫れ始めてから3日や4日しか経過していない場合は、登園させてはいけません。
また、おたふく風邪の場合、登園するには治癒証明書が必要になります。
はい。
クリニックに行って、治りましたよというお墨付きがなければ登園できないんです。
おたふく風邪になってから、あまり早くにクリニックを受診しても、まだ症状が出てる・経過日数が足りないという場合、治癒証明書が発行されませんので、腫れ始めてから5日経ち、熱が下がって元気になった頃にクリニックを受診して下さいね。
また、熱が出ていなければ、腫れていても問題ありませんので、クリニックを受診してください。
昔は、周囲におたふく風邪の子がいたら
「もらっておくといいよ」
と言われ、わざわざ移してもらいに行ったり、『お兄ちゃんがなったから、ついでにこの子も』と、おたふく風邪の兄の近くに下の子を寄せたりするのが多かったんですが、今はそれ、完全にNGですからね。
昔は、まだ合併症の知識があまりなかった時代ということもあり、『早い(子どもの)うちにかかってしまったほうがいい』と多くの人が思っていました。
知識のある人や、現代の私達からすると恐怖でしかないですね(^^;
今は、いろいろな合併症の危険性があり、おたふく風邪は移さないことが大切となっていますので、間違った知識・昔の考えは捨ててくださいね。
当院・しいの木こどもクリニックにも、おたふく風邪の治癒証明書をもらいに多くの方がみえるんですが、まぁホント、皆さんお疲れ気味な方ばかりです。
というのは、おたふく風邪の病気の症状にあるんです。
前述したとおり、おたふく風邪になったら、保育園や学校には行けなくなります。
言い換えると、1日中子どもが家にいるということですね。
最初はいいんです。
熱が出たり腫れたりして、子どもは元気が無いので。
しかし、2・3日もすると、熱も下がり、腫れもひいてきて、子どもは元気いっぱい。
また、多くの子どもがおたふく風邪の予防接種を打っているということもあり、症状は軽く、更に元気いっぱい。
かといって外出することも出来ないので、子どもにDVDを見せたり、いろいろ工夫しながら、なんとかその期間を乗り切って皆さん治癒証明書を取りに来てくれます。
そのため、
「怪獣(子ども)と家にずっといるのは大変だった」
「家から出れないストレスが…」
と、多くのお母さんからお聞きします。
『こんなに元気ならもう登園してもいいんじゃない?』と思うかもしれませんが、周りの子のためにも、お母さんたちは大変かもしれませんが、しっかりと治してから登園・登校させてくださいね。
おたふく風邪の時のお家での看病方法や気をつけたいこと
子どもがおたふく風邪になった時のお家での看病方法なんですが、まず、家の中でおたふく風邪になっていない人がいる場合、なるべく部屋を分けたいところです。
というのは、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは、とても感染力が強く、また、大人にも感染し発症するからです。
おたふく風邪の感染経路としては、咳やくしゃみなどから感染する飛沫感染と、唾液や鼻水などに触れて感染する接触感染の二つです。
そのため、まだ自分がおたふく風邪になったことがない場合、子どものおたふく風邪が治るまで、できる限り別々の部屋にいることをおすすめします。
「旦那さんじゃなく、私(奥さん)がおたふく風邪になったことがないんですけど…」
という場合、子どものおたふく風邪が治るまで別々の部屋にいることなんて出来ないですよね。
先程お伝えしたとおり、おたふく風邪の感染経路は、飛沫感染と接触感染の二つです。
そのため、マスクをして、咳やくしゃみからの飛沫感染を防ぐ。
唾液や鼻水がついたらすぐに手洗いをして接触感染を防ぐなど、できる限りのことをして下さい。
でも、旦那さんやご両親など、近くに頼れる人がいたら、迷わず頼ってください。
というのは、大人になってからおたふく風邪になった場合って本当に辛いんです。
おたふく風邪の症状としては、発熱と耳下腺の腫れ、そして痛みです。
熱が出た後に耳下腺(耳の下辺り)が腫れてきて、腫れと同時に痛みが出てきます。
また、熱が出ることで頭が痛くなったり、耳下腺が痛くなることで頸部(首あたり)が痛くなることもあります。
熱は1日・2日でひく場合もあれば、3日・4日と続く場合もあります。
そのため、時として解熱剤を使う場合もありますが、多くは自然とよくなっていきますので、早めに1度クリニックを受診し、その後、家で様子をみるのがいいですね。
大人になってからおたふく風邪になったという知人に聞いた話なんですが、本当に耳の下が腫れて痛くて、耳の下を冷やすのに保冷剤をそこに当てて、タオルであご下から頭まで包んでいたそうです。
痛みに強い大人がこれだけ言うのだから、おたふく風邪にかかった子どもはもっと痛い思いをしているはずです。
痛みが少しでも楽になるよう冷やしたり、少しでも体力がつくように消化の良い食べ物を食べて休ませてあげてくださいね。
あっ、でも、おたふく風邪の時は、唾液を飲み込むだけでも痛いので、無理して食べさせず、飲み物などから栄養を摂らせてあげるのもいいかもしれません。
あとは、先程お伝えしたとおり、もう治ったと思っても、まだ菌を持っている状態の時は、油断せず、マスクに手洗いうがいと、しっかり感染対策をしてくださいね。
まとめ
おたふく風邪は、『ん?これ、おたふく風邪かも?』と思ったら、しばらく様子をみるのではなく、早めにクリニックを受診して下さい。
たとえ症状が軽くても、おたふく風邪のウイルス(ムンプスウイルス)を持っていることには間違いはないので、登園したら周りに移してしまいます。
おたふく風邪は、いかに周りに広げず、また、看病しているお母さんたちに移さず、感染を最小限に抑えるのかも大切です。
看病しているお母さんが倒れたら大変ですからね。
おたふく風邪は、ちょっと名前がかわいい(?)から油断しがちですが、かかると大変辛い思いをする病気です。
重症化を防ぐ、また、症状を少しでも軽くするためにも、大人の方でまだおたふく風邪になったことがない人は、予防接種を打っておくことをおすすめします。
おたふく風邪は”感染しない”がベストですが、”感染を広げない”ことも大切です。